R18恋愛官能小説 青山倉庫

69H

12. ウィザード(トッカータ)


 夏休み初日の夜はめちゃくちゃ蒸し暑い。
 あたしは優くんと自転車に二人乗りして、学校沿いの坂道を走り抜けていく。体育館裏に自転車を駐める。駐車場のフェンスを乗り越えて、あたしと優くんは学校に忍び込む。階段を登って、あたしたちはプールの格子門をくぐり抜ける。優くんは靴と靴下を脱いで、ジーンズの裾を捲る。プールサイドに腰掛けて、両脚を水に浸す。あたしも同じようにする。両脚を水に浸すと、水面に映った満月がゆらゆらとカタチを崩す。
「水着持ってくればよかった」
 あたしがそう言うと、優くんはあたしの手を握ったまま、脱げばいいじゃん、と言う。

 昼間、あたしはアヤと一緒に本屋さんに行ったり、百貨店でお買い物したり、音楽を視聴したり、ずっとぶらぶらしてたけど、あまりにも暑くて早めに帰ってきて、アヤの家の前で別れて、ばいばいと手を振った直後にアヤのお兄さんの優くんと出くわした。優くんはこの間のことには何も触れずに、あたしを誘って、家族旅行でハワイに行ったときに食べたコールドストーンに似たカップアイスを駅前のクレープの販売車で買って、それを食べながら学校の近くまで来たとき、プールに入ろうと優くんが言った。
 休日の学校は空虚で、とても静かで、誰もいないプールに涼しい風が吹く。
 優くんはあたしの腰を抱き寄せて、あたしの頬に手をあてて唇を重ねる。初めてのキスもそうだったけど、流れるような動作で、避ける余地もない。熱くて柔らかい唇に覆われて、あたしはまた頭の中心がくらくらして、倒れそうになる。優くんがしっかり抱き留めてくれないと、プールに滑り落ちそう。
「優くん、ここじゃ、だめだよ」
「スポンジマットがあるよ」
「見られちゃうよ」
「覆いがあるから大丈夫だよ」
 優くんはあたしのTシャツの上から胸を撫でる。あたしは優くんの脇腹をくすぐる。優くんはあたしの両腕を押さえつけるけど、あたしは笑いながらジタバタ抵抗して、二人でもつれ合ってプールに落ちる。暗くて、青い光に満たされた水の中で、優くんの腕を掴む。浮かび上がる。
「もぉっ、落ちちゃったじゃない」
「麗羅ちゃんが抗うからだよ」
「わかった、優くんわざと…んむ」
 優くんはあたしのからだを持ち上げるように抱えて、唇をおしつける。あたしは優くんの頭を抱いて、自分から舌を絡める。柔らかくて、滑らかで、今日も優くんの唇は果物の味がする。火照ったからだが冷めてくる。グランド脇のケヤキが風に揺られて、さらさらとたわむ。優くんはあたしのTシャツを脱がせる。あたしも優くんのシャツのボタンを外す。脱いだシャツをスタート台に投げる。
「麗羅ちゃん、ノーブラじゃん」
「うん、熱いから…」
「麗羅ちゃんって、胸おっきいよね」
「えへへっ、そうかなぁ…あっ、あん」
 優くんはあたしの乳首を口に含む。舌の先端で刺激する。この間よりもずっと敏感に感じてしまって、からだが勝手にびくびく反応して、恥ずかしい声が漏れる。今日はお父さんもお母さんもいないから、夜遊びしても怒られない。あたしは夜空を見上げて、まんまるのお月様を眺めて、優くんがあたしの巻きスカートのボタンを外して、ショーツも脱がせて、鎖骨に舌を這わせて、乳首とアソコを同時に刺激して、あたしはからだじゅうの力が抜けてしまって、されるがままで、自分の声じゃないような甘い喘ぎが水面に反響するのを聞く。
「麗羅ちゃん、あがろう」
 優くんが囁く。あたしは優くんに抱かれたまま、金属のパイプハシゴを登る。壁に立てかけてあったスポンジマットを倒す。びしょ濡れのまま、あたしたちはその上に寝そべる。優くんの指先が脇腹をなぞる。乳首を摘む。お腹に優くんの唇が押しつけられる。内股を舌が滑って、あたしの粘膜に差し込まれる。そして優くんはわざと大きな音を立てる。めちゃくちゃ恥ずかしいのに、どんどんきもちよくなってきて、あたしはまた折り曲げた人差し指を噛んで声を堪える。
「恥ずかしいよ、優くん、あたし…」
「きもちいい?」
「うん、なんかふわふわする」
 優くんはベルトを外して、ジーンズとパンツを一緒に脱ぐ。あたしの両脚の間に割り込んで、覆い被さる。優くんはあたしの乳房、乳首、肩、二の腕と順に唇をおしつける。首筋を舌が這う。頬と、額と、瞼にキスをする。そして再び唇を重ねる。軽く左右に首を振って、唇どうしをすりあわせる。鈴虫の鳴き声が聞こえる。優くんの熱い部分があたしの粘膜に沈む。あたしは急に不安になるけど、優くんがあたしの両肩を掴んでいて逃げられない。
「いっ…、あっ…」
 優くんはめちゃくちゃ大きくて、あたしはめちゃくちゃ痛くて、涙が出てきて、なのに優くんは腰を動かし始めて、あたしは優くんの肩に爪を立てて泣き声をあげてしまう。
「痛い?」
 優くんは動きを止めて囁く。
「無理そうだったら、やめるよ?」
「ううん、大丈夫。ゆっくり、ゆっくりして…」
 優くんはさっきよりゆっくり動くけど、やっぱり同じくらい痛くて、横を向いて唇を噛んで優くんがあたしの底を突く回数を数えているうちに、あたしたちのアソコから濡れた音が響いてきて、優くんはきもちよさそうな甘い声で、あたしの耳元でこんなふうに囁く。
「痛くない、痛くない、痛くない、ほら、だんだん痺れてくる」
 痺れてくる。痺れてくる。痛みは消えていないけど、からだがじんじん痺れてきて、頭がぼおっとして、夜空に浮かぶ満月と星々が上下に揺れるのを見つめる。
「力を抜いて…。ほら、からだが軽くなる。軽くなる。軽くなる」
「ゆぅ、…くぅん」
「きもちよくなってくるよ、少しずつ、きもちよくなる、どんどんきもちよくなる、麗羅のお腹の奥がきもちよくなる、きもちいい、ほら、麗羅のおまんこがきもちいい、きもちいい、きもちいい…」
 呪文のように耳元で繰り返す。麗羅ちゃんはエッチだね、麗羅ちゃんのからだのなかにはエッチなお肉がいっぱいだね、麗羅ちゃんのエッチなお肉が唇と乳首とアソコから飛び出しているよ、アソコのお肉がぼくを包んできもちいい音を立ててるよ、くちゅくちゅ、ちゃぷちゃぷ、エッチだね、きもちいいね、きもちいいね、きもちいいね、きもちいいね…。あたしはその声と、優くんがあたしの中を突く律動を聴きながら、本当にきもちよくなってきて、さっきより大きな声をあげて、汗びっしょりで上下に揺れて、どうしてこんなにきもちいいのかわからなくて、あたしは優くんの首に腕を回して、自然と自分から腰を浮かす。
「はぁっ、ゆぅく…あっあっうっあっ…」
「きもちいい、めちゃくちゃきもちいい、イキそ…、イキそうだよ、イク…、イっちゃ…、三…、二…、一…」
 優くんがあたしの奥深くを突く。あたしはまるで背骨まで撃ち抜かれたみたいで、脊髄を伝って電流が頭の中に達して、光がからだじゅうに染みこんで、太股やお腹の筋肉があたしの意志に逆らって痙攣する。優くんはあたしの中でぴくぴく蠢いて、優くんが放った体液が溢れてあたしのお尻をとろりと伝う。

「涼しいね」
 あたしはプールに仰向けに浮かんで、夜空を見上げたまま囁く。優くんも同じように浮かぶ。手をつなぐ。風に揺られてたゆたって、熱くなった体がだんだん醒めてくるけど、頭の中はまだぼんやりしている。
「麗羅ちゃん、きもちよかった?」
「あたし…、初めてなのに、イったかも」
「すごい震えてたね。麗羅ちゃん、早熟だ」
「ソージュクってなに?」
「まだ子供なのに、おっぱいが大きかったり、セックスでイったり、成長が早い子のこと」
「優くんが上手なんだよ…、魔法使いみたい」
 優くんはあたしを引き寄せる。抱きしめる。唇を重ねる。ちょうどプールの一番深いところで立ったせいで、あたしは爪先立つ。優くんがあたしの体を抱える。あたしの胸に耳を当てる。
 駐車場からバイクが走り去る。熱帯夜のぬるい風が吹く。光に集まった羽虫が街灯にコツコツと当たる音。満月が雲に覆われて神秘的に輝き、蠍座の近くを光の筋が走る。
 あたしは優くんの頭を抱いて、ずっとこのままでいたいと願い事をする。
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