R18恋愛官能小説 青山倉庫

69H

02. おやつ


 ホテルを出てからすぐにタクシーを捕まえる。
 携帯で店に電話して、昔SMクラブのオーナーだった店の女の子たちからママさんと呼ばれてる柏木さんを電話口に呼んでもらって、あたしあのおじさんもうヤダヨとすすり泣く。あいつ口に出して飲めって言うくせに追加料金払わないし携帯で女に電話してなんか喋れ喋らないなら喘いでみろとか命令するし挙句の果てに金を積むから本番させろとかなんであんなのがお得意様なのあたしもうわけわかんないもう限界なの。ママさんはいつものように、まぁほんと困るわねぇと言って慰めてくれるけど、タクシーに乗っているとあの男の加齢臭を思い出して吐きそうになって、すいません、もうここでいいです、と言って青山だかそのへんで下ろしてもらう。
 バス停で三つ分か四つ分の距離を歩いて自宅のマンションにたどり着くと、鍵を忘れていたことに気づいた。自室に電話すると、浪人生の弟が出る。
「ゆうくん、鍵がないの」
「姉ちゃん?」
「あけて」
「待って」
 マンションのオートロックの扉が開いて、あたしは郵便受けを開ける。チラシの山。エレベータに乗って、十階に上がる。ずっと気分が悪い。玄関に弟が出る。紺色の綿入れを着ていて、額に熱冷まシートを貼りつけたまま、今日は早いねと言う。あたしは自分の部屋に戻るなり、ベッドに倒れこむ。
 弟の裕一は半月前から居候してるけど、生活時間帯が違うから、ほとんど顔をあわせない。歯科医になれというお父さんと喧嘩して、うちに転がり込んだ。姉弟揃って勘当。縁無しの丸眼鏡をかけて、ミディアムレイヤーの髪は手入れしてなくて、あたしと同じで枝毛だらけ。
 着信。同じ店のキョウコの日本が世界に誇る小型軽量化技術をあざ笑うようなデコ電からメール。先月までミクシィを勧めてくれたくせに、今はモバゲーにハマってるとか言ってるかわいそうな子。若い女がみんな新しいメディアに弱いおつむの不自由な子ばかりだと勘違いされる一因になってるし、メールにアバター貼り付けられても困る。削除。キョウコはスーフリにも入ってたっけ、スーフリ、懐かしい響き、よく知らないけど。
 事務所で電話番の時以外はいつも客を取っていて、四六時中働いてるイメージがあるけど、あたしを指名するお客さんは六人前後だから、ときどき手を抜いたりできるし、緊張しなくて済む。みんな良い人だったらいいんだけど、中には今日みたいなヒドイ客もいて、そういう奴に限って店の出資者だったり何かしらつながりがあって厭なおもいをしなくちゃならない。あいつのせいで女の子が二人も辞めた。あたしはママさんに借りがあるから簡単には辞められない。
 あたしはうつ伏せに寝転がったまま、お風呂入らなきゃとひとりごちて、ストッキングを片方だけ脱いで眠ってしまう。

 昔の彼氏と会って、原宿でご飯を食べて、どういうわけか駅のベンチで脱がされて、キスされて、アソコに指を入れられて、濡れてるよとかなんとか言って、今あたしデリヘル嬢やってるのとは言えずに目を閉じて、もう一度キスされて、前歯がぶつかって、目を覚ますと弟があたしに乗っかっていて。
「なにすんのっ」
 突き飛ばされて盛大に転んで、裕一は開きっぱなしのクローゼットの扉に頭をぶつける。
「あんた馬鹿じゃないの、何考えてんの」
「ごめんなさい」
「何した? なんか入れた?」
「まだ」
「まだってなによ」
「ごめんなさい」
 裕一は頭をさすりながら、後ろ向きに部屋を出て行く。あたしは膝まで脱がされたショーツを履きなおす。濡れてる。ううん、違う、夢の中で濡れただけ。
 シャワーを浴びて店に電話する。ママさんはお休みだから、新人のカホちゃんの携帯に直電。生理きちゃった、ちょっときついから一週間くらい休むね。嘘をついて休むとほんとうに生理がきたときに困るけど、ピル飲んで少しは誤魔化せる。ピル余ってたっけ。バスタオルのままリビングで本棚の引き出しをごそごそやってたら、裕一が部屋でずっと咳をしている。弟はバカだから勉強の道具だけ持って家を出て、健康保険証とか持ってないから風邪をひかれても病院に連れていけないし、こっちは体が資本だからうつされても迷惑だから、あたしは何種類かの風邪薬とか解熱剤とか持って、コップに水を注いで裕一の部屋をノックする。ドアを開けた弟は真っ先に風邪薬でもコップでもなくあたしのバスタオルに包まれた胸元を見て、こいつも他の男と変わんないなとおもった。
「ちゃんと薬飲んで、風邪うつさないでよ」
「あ、うん、ありがと」
 薬とコップを受け取った裕一は、マスクを顎に引っ掛ける。
「姉ちゃん、ごめん」
「いいのよ、気にしなくて。勉強進んでる?」
「うん、まぁ、ぼちぼち」
「そか。うわ、きったねー。ゆーくん、たまには片付けなよ」
 あたしが弟に与えた部屋は細長い四畳半くらいのフローリングの部屋で、参考書とかノートの間に、コンビニの袋とか空き缶とかペットボトルとかゲームの取説とかDVDとか散乱していて、男の子の匂いが充満している。予備校の友達がたまに遊びに来るらしいけど、煙草を吸うならせめてベランダで吸って欲しい。
「あたししばらく休むから」
「そう。飯作る?」
「いい。昼間寝てるから、ゆーくん寝る前に起こして」
「わかった」
 あたしは部屋に戻ってパジャマに着替えて、もう一度ベッドに倒れこむ。嫌な客を掴むと二日分くらい疲れが溜まる。しかも弟に起こされた。弟に触られるなんて考えもしなかったけど、あまり嫌な感じはしなかった。同じ屋根の下で同じ空気を吸っていると、お互いに性欲が薄れるんだって、学のなさそうなキョウコが教えてくれたっけ。そうやって、生き物は近親交配を避けている。ほんとかどうかわからないけど、裕一とはあたしが高校を中退してから四年も離れて暮らしていた。まじめでおとなしくて背もあまり高くはないけれど、顔は可愛かったし、奥手な性格さえ直せばきっとモテるはずなのに、多分未だに、童貞。震えながらあたしのアソコに指を滑らせて、不覚にも濡れてしまった。

 目を覚ますと真っ暗で、電気をつけると時計は十一時をさしていた。昼か夜かわかんないけど暗いから夜だとおもう。
 バスルームで歯を磨いて、ばさばさの髪の毛をかきむしる。このまま床に寝転んだら床掃除ができそうだ。トイレに行ってから、廊下を覗くと、弟の部屋からまだ明かりが漏れている。あたしはコーヒーを淹れて一昨日店で貰ったコートダジュールのチーズケーキをお皿に載せる。あたしは食べない、ダイエット中じゃなくて、チーズケーキが嫌い。痛んでなきゃいいけど。
 両手が塞がっていたから、ドアの前でゆーくんと呼ぶけど返事がない。コーヒーを玄関の靴箱の上に置いて、そっとドアを開ける。裕一はテレビ画面に向かって背中を向けて座っていて、ヘッドホンをしているから気づかない。オナニーしてる。もう何度か見てるから、今更どうということはないけど、慌てふためく顔を久しぶりに見てみたい。
 あたしは音を立てないようにコーヒーとケーキを机に置いて、エッチビデオを見ながらオナニーする弟のすぐ後ろに立つ。
「お姉ちゃん…」
 弟は画面を見たまま、気づいていないのに。
「ああ、お姉ちゃん、おねえちゃ、あ、いく…」
 仰け反った裕一と目があってしまって、あたしは後退って、裕一はダンゴ虫みたいに丸くなって、ねーちゃん、なんだよ、と言って慌ててテレビの電源を切ってヘッドホンを外そうとしてコードで自分の首を絞める。
「ゆうくん、お姉ちゃんを想像して、してるの?」
 弟は体育座りで黙ったまま。
「ゆうくん、お父さんと喧嘩したって、ほんと?」
「う…ん」
「あたしと一緒に暮らしたいだけじゃないの?」
 また黙秘。
「はっきりしなよ」
「お父さんと喧嘩したのは、ほんとだよ。でも、姉ちゃんと一緒に暮らしたいってのも、その通りだよ」
「そう」
「お願い、追い出さないで」
「追い出さないよ」
「ほんと?」
「ここに座って」
 裕一は素直に自分のベッドの上に座る。あたしは裕一のズボンを下ろして、ボクサーパンツの上からイキそこねて硬くなったまんまのペニスを擦る。パンツの上からキスをして、指先をわき腹に這わせたら、まだなにもしていないのに体を折って敏感に反応する。全然、開発されてない。やっぱ童貞。
「だめだこいつ」
 あたしは笑いながら裕一をベッドに押し倒して、パンツを脱がす。処女はめんどくさいらしいけど、童貞は簡単。適当なサービスでも心底喜んでくれる。あたしは裕一に覆い被さって、唇をすり合わせる。股間で裕一の男を刺激する。いろんな男のモノを見てきたけど、裕一のはすごく硬くて、熱い。
「ゆーくん、おやつ、持ってきた」机の上を指差す。
「あ、ありがと」
「食べてね」
「うん…」
「あたしは、ゆーくんを食べちゃう」
「お…ねぇちゃん」
「いや?」
「ううん、いやじゃないよ」
「どうされたい?」
「食べられたい」
 バカな弟。でも、あたしのショーツは汁をいっぱい吸って冷たくなっていて、弟がもたもたしながらパジャマを脱がしてショーツに手をかけたとき既にあたしはずっと焦らされてるような気分になって、自分でショーツを脱ぎ捨ててびちょびちょの肉の花弁を弟の鋼鉄のような肉におしあてて、ゆーくんのちんぽ硬いねゆーくんたくましいねお姉ちゃんの粘膜はきもちいい?お姉ちゃんのおまんこに入れたい?ほら言ってごらんぼくのちんぽをお姉ちゃんのおまんこに入れさせてくださいってちゃんと言ってごらんと囁きながら、腰を前後に揺らして弟の裏筋をにゅるにゅるとマッサージする。弟は顔を真っ赤にして、お姉ちゃんのおまんこに入れたいですとかなんとか言うから、汗びっしょりのおでこにキスして、片手を添えてゆっくり導いてあげる。
「ゆーくんは、あたしのおやつ」
 弟のペニスは長かったけど、そんなに太くないから、入るときもスムーズで、動き出すと奥を突き上げて、あたしはめちゃくちゃ声が出て体の中がどろどろに溶け出すほど感じてしまって、普段は公園で鳩に餌でもあげてそうな穏やかな弟が猛々しい肉パイプであたしをぐちゃぐちゃに突き上げてあたしはゆーくんだめーと叫びながら考えてみれば前彼と別れて二年ぶりくらいにマジで絶頂してデカいのが二発くらいきて二発目にイってる最中に弟も性器をぴくぴく震わせながらあたしの中に射精した。
 お互い震えながら抱き合って、しばらくそのまんま。
「ぼく、お姉ちゃんが初めてなの」
「ほんとに? ごめんね、ゆうくんの童貞、奪っちゃった」
「すごくきもちよかったよ」
「そっか、よしよし」
「お姉ちゃん…」
「なあに?」
「もっかい、しよ」
 あたしは裕一の唇を軽く噛んで、このスキモノめ、と言う。あたしは今度は下になって、獣に変身した弟に滅多突きにされて、処女のときみたいにシーツを掴んでしおらしい嗚咽を漏らして何度も何度もイかされる。
 あたしの大好きな裕一はあたしに従順で、いくら食べても太らない。
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