R18恋愛官能小説 青山倉庫

ガマガエルと鶴の群れ

第17話「寄生虫・前編」

 朝九時からいつものラブホ『バンガリー』に中学生二人と小学生を連れ込んでヌード撮影。
 午前のフリータイムは九時から六時までで、九時ぴったりを狙って入れば、他のお客さんとすれ違うリスクが少ない。十時を過ぎると、朝の客と泊まり客の入れ替わりで混雑する。中学生の頃から利用してるからラブホに入るのはなんともないけど、小中学生を三人も連れてるところはみられたくありません。
 三味線部のカスミとハナの友達はレイナといいます。まだ五年生ですが、可愛い服を着て髪を染めた派手で垢抜けた子。シャッターを切りながら可愛い可愛いと褒めちぎっているだけで、自分から服を脱いじゃう子です。ぼくたちは瞬く間に裸になって、四人でシャワーを浴びて、ベッドで寄り添う三人をまた撮影する。ぼくは三人の間に仰向けになって、カスミに重たいN700を渡して撮って貰う。N700は室内みたいな暗いところでの撮影に適した高感度耐性を持っているし、絞りを2.5、ISO1000くらいで絞り優先なら素人でもガンガン撮れる。携帯やコンデジより簡単かもしれない。
「ねえ、ダブルして」
 ぼくは仰向けになって言う。カスミとハナがぼくの両脚に身体をのせて、すっかり硬くなったおちんちんに舌を這わせる。いきなり咥える子もいるけど、舌先と唇だけで焦らされるのが好き。
「レイナちゃん、もっと近くでみてごらん」
「うん…でも」
「舐めてあげるから、跨いで」
 そう言って、レイナにぼくの顔を跨がせる。カスミとハナがおちんちんを飲み込み始める。二人ともぼくの足首に割れ目をこすりつけて、くちゃくちゃ、ちゅぼちゅぼ、ぼくのみえないところで卑猥な音を立てる。レイナはぼくの胸に両手をついて腰を沈め、ぼくはレイナの太股の付け根に両腕を巻きつけて引き寄せる。十歳の処女に唇を密着させて、舌先で粘膜を刺激する。膣口を感覚で探り当て、舌の先端をおしこむけれど、処女には入らない。
 初めての子とするときは、独特な緊張感がある。処女膜は珍しくないけれど、この子は貫通するとき平気かどうか心配になってくる。七十人もの処女を奪っていれば、挿入に苦労する子、そもそも入らない子、死ぬほど痛がる子、平気な子、初めてなのに感じる子、いろんなタイプの子と絡むわけだから、やればやるほど処女はわからなくなる。一歩間違うと身体も心も傷つけてしまう。
 レイナは一番恥ずかしい格好で一番恥ずかしいところを舌で愛撫されながら、鼻先でぼくのおちんちんがしゃぶられている場面をみせつけられる。呼吸が荒い。ぼくは両手を伸ばしてレイナの小さな乳首を摘む。すこしコリコリしたしこりを感じる。
「いたっ」
「ん、ごめん、痛かった?」
「うん、いまなんか、乳首が痛いの」
「こりこりするね」
「病気かな…」
「ちがうよ、みんなそうなるの。おっぱい大きくなる前触れ」
「そうなの?」
「しらなかった? あっ…ふぅっ、カスミちゃん」
 カスミがぼくのおちんちんを膣に半分沈める。レイナのお尻で見えないけれど、カスミの膣は奥の方が圧迫感があって、ハナは入り口が狭くて中はすこし余裕がある。
「どうしてわかるの?」とカスミ。
「なんども生でしてるから…ぼく敏感だし」
 感じ分けられるのは初回の挿入だけ、ぐちゃぐちゃになった二度目三度目になるとだんだん差がなくなってくるし、きもちよくなってきた女の子は子宮が降りてきて膣の形も変わってしまいます。中三のときに目隠してして挿入した相手をあてるゲームで鍛えました。三人以上の女の子を相手に乱交するときにしかできない贅沢な遊びなのですが、ネットで調べてもあまり人気がない。
「瑠偉くんって、初エッチっていつ?」
 腰を浮かしたままレイナが聞く。
「小五だよ」
「相手は?」
「同じ小五だよ、クラスメートだもん」
「そっかあ」
「どうして?」
「うーん、早すぎるかなっておもってたの、エッチするの」
「うん」
「でもあたしと同い年でする子もいるんだね」
「いるでしょ、クラスに数人くらい」
「瑠偉くんは何人くらいとした?」
「いっぱい」
「アハハ、モテそーだもんね、あん、うっ…」
 ぼくはレイナの愛撫を再開する。カスミが腰を波打たせてぼくをどんどん溶かしていく。ハナが乳首を舌と指先で愛撫して、身体がぐんぐん温まる。モテそうだもんね。その言葉は、ある厭な過去をおもいださせる。

「瑠偉くん、モテそうだもんなー」
 高校一年の三学期、東北の他校から転入してきた沖田と初めて喋ったとき、確かそう言った。その前後の会話は覚えていないけれど、あまりモテそうと言われたことがなかったから、印象に残っている。別に嬉しくもなんともなかったけれど。
 おなじクラスに転入してきた沖田は友達ができなかった。ぼくも席が離れていたし、転校してから一ヶ月くらいは喋ったことすらなかったのですが、彼はぼくと同じIT部に入ったのです。それをきっかけにちょくちょく話をするようになったけれど、最初のうちは単なる部活の同期でしかありませんでした。
「学校の公式サイト作るのに、cakeみたいな雑なMVC使っちゃダメだよ」
 高校の公式サイトをリニューアルするとき、当時採用されていたMovableTypeから独自仕様に変更しようとみんなで企画したのですが、沖田がMVCというタイトで合理的なフレームワークの採用を主張した。だけど、そんな超合理主義の理想を高校の公式サイトというルーズで場当たり的な組織に押しつけるのは間違いだとぼくは直感していたから、反対の立場を取った。
「今時ならMVCが普通じゃないの?」と沖田。
「五年以上使い続けるならそれでいいけど、二年に一回くらいリニューアルするんだよ」
「ああ、そうか」
 納得したようなふりをしているけれど、それ以上なにも言わない沖田をみて、この男がまるでわかっていないことは明白でした。MVCというフレームワークが主流と聞きかじった程度で、どのように機能するのか知りもしない。だからそれ以上追求しない。
 MVCは文字通りプログラムをModel、View、Controllerの三つに分割するフレームワークで、データ構造を操作するビジネスロジックをModel、インターフェースをView、それらの制御をControllerで実行する。別に先進的でもなんでもなく、かなり古くから確立された理想的な実装です。しかし、流動的で場当たり的な現実のビジネスロジックは大抵一貫性がなく、MVCはどこかで破綻を来す。MVCのプロジェクトはうまくいけば五年は維持するが、開発コストが大きく歩留まりが悪い。
 MVCで構築するのはプロが『整然とした』企業でやることであって、散らかった組織には片付ける必要のないフレームワークが必要です。沖田が挙げ連ねたフレームワークの中にはViewがModelとREST通信するようなアクロバティックなものもあって、それは公道を走る百五十馬力程度の市販車に馬鹿みたいなリアウイングを取りつけて「空力ガー」と騒ぐ走り屋と似たような技術者のかっこつけに過ぎません。難しいことを難しくやっても全然かっこよくないし、REST通信は高校生レベルのIT部にとっては、バグの追跡がかなり難しい。どうせRESTと叫んでいても、最終的にはデータ構造をJSONでぶん投げる程度の着地におさまるいい加減な部活に理想論はいらない。
 ただ、その一件以来、沖田はぼくに敬意を示すようになったから、好きにはなれないけれど、無碍にあしらうこともできず、ときどき部活のことで話をする機会が増えました。休み時間になるとぼくの席まで来るし、お昼休みは元カノと一緒に食べているのに、それにまで顔を出すデリカシーの無さをみせつけていました。
 部活終わりに、廊下で元カノと待ち合わせているとき沖田が駆けてきて「おつかれー、帰りどっか行く?」と声をかけてきて、タイミング悪く元カノが現れてすごく気まずかったことを覚えています。

「今更そんな機能、追加できないっすよ」
 公式サイトのリニューアルを新学期に間に合わせようとおせおせで作業をしている最中に、神楽先輩がかなり精密なアクセス解析機能を要求してきました。それに沖田が反論した。
「アナリティクスで集計値はとれるけど、ユーザ個別のトラッキングが絶対欲しいのよ」
「トラッキングしてなんに使うんですか?」
「他校の生徒とかのアクセスも多いし、ゆくゆくは学校全体で使うようなSNSに仕上げたいと思ってるからさ、今の段階でないと後付は厳しいでしょ?」
 公式サイトのリニューアル作業はぼくがメインでやっていて、沖田はサブツールを二つ作っただけだから、途中から暇になっていた。「仕様に関する打ち合わせは俺が引き受けるから、瑠偉くんは作業に集中して」と言ってくれたので、ぼくはそのときは彼の思い遣りを受け入れた。だけどそれが、ぼくがこの部活から追い出されてしまう原因になるとは思いも寄らなかった。
「それって端末IDとか取得するんですよね?」と沖田。
「それができればガラケーは一番だよね。スマホとパソコンはクッキーしかないけど」と神楽先輩。
「端末ID収集するのって、俺は賛成できないんですが」
「なんでよ?」
「万が一流出したら、誰が責任とるんですか?」
「ああ、まーそうだな」
 IT部の部室は広かったけれど、部屋が分かれているわけではないから、その話し合いの内容も作業を進めるぼくに届いていました。「ハッシュ化すればいいじゃん」と言いたいのをぐっと堪える。解決策はあるのだけど、解決してしまえば作業が増えて困るのはぼくだ。IT部には開発のできるメンバーもいるけど、大半はパソコンがちょっと好きなだけのオタクばかりで、こういった構築作業の進捗を何も出来ない彼らが管理する。周囲で知ったかぶりな会話を聞かされ、納期が迫り、よくわかってない連中がくだらない機能を追加しようとする。沖田はそのプレッシャーに対する防波堤を自ら買って出てくれているのだから、感謝するべきなのですが、彼らのどこかズレた会話を聞かされるたびに苛立ちが募る。

「作業場を別にしてください」
 顧問の柊先生にそうお願いしたのは、三月半ば頃でした。構築は終わっているのだけど、結合テストにまだ着手もしていない。だから、ぼくはもっと集中できる作業スペースを用意して欲しいと顧問の先生に詰め寄った。開発部隊が一分一秒を争っている横で、沖田たちオタク部隊は昨日見たアニメの話で盛り上がる。ぼくたちはもう限界だ。
 問題のある生徒と個別面談するために使う談話室の長テーブルを与えられ、ぼくと他三人のメンバーがそこで遅い時間までテスト作業をすることになりました。しかし、ぼくが部室から離れたことで、沖田が暗躍する隙を与えてしまったのです。
 春休みも登校して作業することに他のメンバーは同意してくれていたけど、沖田たちはしっかり休んでいた。新学期始まってスグに旧公式サイトから新サイトへのデータ移行を始めたのだけど、データ変換に思いがけない不具合があり、移行作業は想定外に長引いてしまう。ぼくは顧問の柊先生に部室に呼び出され、こんな会話をした。そのとき確か、部室には神楽先輩と、沖田と、女子部員が二人いた。
「一条くん、いまどのくらい?」と柊先生が聞く。
「現在は記事データの変換不具合を修正中です」
「それって、なんで起きたの?」
「三年以上前の記事データって、文字コードがシフトJISなんですよ。表示するとき無理矢理変換してるって知らなくて…。仕様書もないですし」
「でも一回変換のテストってやってるよね?」
 なぜか責める口調の顧問。
 学校の公式サイトは学校行事や先生の小話的なトピックが膨大にあって、それが単なる学校のサイトとは決定的に違っていて、アクセス数がすごく多い。写真部が撮った写真を使っているから、すべてがプロ仕様。その管理とリニューアルを生徒に無償でおしつけておいてこの態度で接する教師が顧問をやっています。
「変換した後、記事の確認を直近二年でかいつまんでやっているので、三年以上前の記事はみてないです。そこまで必要ないとおもったので」
「んー、テストって言うのは、総てのデータに対して行うべきであって、直近だけ確認するとそういうことが起きるんだよ。全部見るのが難しければ、最古の記事まで無作為に百件ずつとかピックアップしてやっていくべきじゃないかな?」
「じゃあ最低限、現行の仕様書も用意しておくべきなんじゃないですか」
 沖田が片手をあげて前に出る。
「そこまでやるって認識が、この押せ押せの状況では生まれないですよ」と余計なフォローを入れる。
 柊先生が腕を組んで考え込む。ほんとうはこんな作業報告してる場合じゃないのです。舵取りしている教師や外野の生徒は作業現場がどれくらい切羽詰まっているか全然認識していない。すぐにでも作業に戻りたいのに、のんびり考え込んでいる。
「あとどれくらいかかる?」と先生が聞く。全然わかってない人の質問。
「それはぼくが教えて欲しいです」
「今回は誰のせいで遅れたってことじゃなくて、とにかく全部綺麗に移行させて動かすってことを念頭に置いて欲しい。その上で今の体勢も見直していかないといけないだろうけど、現状は一条くんが責任者だから一条くんが主体でやっていってください」
 そんなふうに雑にまとめられたとき、カっとなって怒鳴りそうになった。だけど、相談室で黙々と作業している他のメンバーを窮地に立たせるわけにはいかないから、ぼくは黙ってその場は引き下がった。
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