R18恋愛官能小説 青山倉庫

太陽ノ樹

第32話「致死性ソラリス」

 夏休み初日。
 ぬちょっ、ぬちょっ、ぶちゅっ、ぬちゅっ。
 仰向けのぼくのおちんちんを五年生くらいの子が両足で挟んで、その上で名前も識らない六年生の子が上下にピストンしていて、両方の乳首と脇腹を中学の一組と二組の子四人が舐めていて、ぼくは二人の割れ目を指先で弄りながら、ぼくの顔を跨いだ四年生の益田真理杏の割れ目に舌を入れてかきまわす。
 ぼくは女子寮に与えられた自分の部屋に仰向けになって、遊びに来た二十人以上の女の子たちと朝早くから延々と乱交しています。ドアがノックされて、名前も識らない子が入ってきて、乳首を舐める子の背中と、気を遣って腰を浮かしてくれた真理杏の太股の隙間から、ぼくに手を振る。
 こんにちは、と言う。
 ぼくも、こんにちは、と答える。
 しばらくもじもじしていたけれど、傍にいた内山沙耶が、ここに座りなよ、と手をひく。たぶん、ショーにも参加していない初めての子。ぼくはつい先程、二人の処女を貫きました。ぼくが今朝、寮に引っ越してきてから、そうやって徐々に女の子が増えている。みんな騒ぐわけでもなく、人の部屋でだらだらだべるわけでもなく、静かに見学して、隣り合う子どうしで愛撫しあって、誰かがイったり、ぼくが射精すると、静かに交代する。
 びゅうううっ、びゅるっ、びゅるるるっ。
 結合から溢れた精液が、根元を挟んだ五年生の足を濡らす。こうやって根元を挟んで貰うと、ぼくの長すぎるおちんちんが深く入りすぎることもなく、女の子は心置きなく上下に動けます。
「寮に入ったんですね」
 いま部屋に入ってきて、裸の沙耶の隣に座った子が言う。つながっていた子が離れて、真理杏が交代する。ああ、おっきい…、おっきい、と呟きながら腰を沈める。今来たばかりの二人だけ、服を着ています。
「お願い、したんだ。藤井先生に。そしたら、ぼくは特別だから、許可してあげるって」
「とくべつ、なの?」
「先生たちは、ぼくに、みんなと…、あっあっあっ、セックスさせたいん…だ、はー、きもちい…」
 真理杏は挟んでいた足を手で払って、ぼくを限界まで胎内におさめて、大きなストロークで上下に動くのだけど、膣が恥骨側にカーブしていて、ぼくは入り口でごりごり刺激されて、先端が子宮頚にぶつかるたびに、下腹部がぎゅっぎゅっと緊張する震えが伝わって、もうもたない。腰を突き上げ、真理杏を動けなくする。
「えー、そうなんですか?」
「そうだよ」
「どうして?」
「なにが?」
「どうして、夏目くんとエッチさせたいの?」
「誰と?」
「みんなと」
「しらない」
 今きたばかりの二人は、呆れ顔で笑う。女の子と会話するためだけに適当な話をしていると、女の子はそうやってときどきぼくの馬鹿さ加減に呆れてしまう。ぼくは一生懸命なんだけど、女の子はだんだん緩んできて、心をひらいてくれる。黙っているより、幾分、マシ。
「ウチらも、エッチしていいですか?」
「いいよ…、しよう、んふっ」
 ぼくは耐えきれなくて射精する。精液が溢れて、突き上げた股間からお腹を流れて、ぼくの脇腹を舐める子たちにじゅるじゅる啜られる。それを眺める二人はお互いの耳に手をかざしてひそひそ話。真理杏が離れて、乳首を愛撫していた子が交代する。別の子がぼくを愛撫する。なにかの儀式のように、整然と快楽が連続していく。
 ぼくは藤井先生にお願いして、女子寮に入寮させてもらいました。
 金魚鉢の寮はあくまで女子寮だから、男子が入ることは許されていないのですが、ぼくが事情を話すと、藤井先生は校長先生にかけあってくれて、特別に認められました。ただし、寮に入っていることは他の男子には秘密。もし渡辺先生が生きていれば許されなかったはずです。いま、学校は渡辺先生という御旗を喪い、だれが中心になるわけでもなく運営されていて、先生方は若い人たちばかりで、ぼくを他の子とセックスさせようと躍起になっているのが誰の目にも明らかで、休みがちなほかの男子と違ってぼくには体調以外に休む理由もないから選ばれたのだとおもっていました。だけど、藤井先生が電話口で校長先生と称するだれかにむかってこう云ったのを盗み聞きして、物事は想像以上に複雑だと確信しました。
「致死性ソラリスに感染した心臓を移植されて、もう一年以上ですから、定着してますよ。最適な検体だとおもいます。斉藤先生が持ち込んでいたものです。いいえ、輸血より負担が少ないです。本人も悦んでいますから…」
 いや、ダメ、イっちゃう…。
 ぼくの上でピストンしていた子が絶頂する。ぼくがイクと射精中でも乱暴に交代するのですが、女の子がイクとみんな落ち着くまで待ってあげます。そのあいだ、女の子の筋肉の収縮とか、泣きそうな表情とか、声も出せずに硬直して背を丸めて、他の子たちがべちゃべちゃに愛撫しているぼくの胸に崩れる瞬間まで、女の子の長い絶頂の反応を確かめることができます。
「大丈夫?」
 ぼくがきくと、まだ名前も識らない子は汗だくの顔をあげて、震えながら答える。
「きもちよすぎます…、こういうの、初めてかも」
「もっとする?」
「や、や、交代…しなきゃ」
「いいよしても、ぼくがイクまで…」
「だめです、おかしくなっちゃう」
 まだ名前もしらない子は腰を浮かせて、長いおちんちんをゆっくり引き抜いていく。さっきまでぼくのおちんちんを足で挟んでいた子と交代する。名前も識らない子たちと、こうやって連続でセックスを繰り返し、全員一巡すると二回目、三回目を楽しむ。
 またドアがノックされて、識らない子たちが四人、五人、入ってくる。さっき来たばかりの子は裸になって、沙耶と愛撫しあう。おちんちんを足で挟んでいた子が上下する。粘膜が粘膜をマッサージする、つっちゃつっちゃ、ぷっちゃぷっちゃ、という音が響いて、ぼくは胸とお腹を愛撫する子たちの隙間から、音が発生する濡れた肉をみつめて、あまりのきもちよさに鳥肌がたち、涙が滲む。
「莉音って、エッチしてるとき、すごい綺麗だね」
 乳首を舐めている子が言う。
「綺麗なの?」
「うん、綺麗だよ。すごいウットリしてるから、もっときもちよくしてあげたくなっちゃう」
 そう囁いて、乳首を吸う。舐める。舌先が胸のあちこちを滑って、肌の上に歯を立てて強く吸う。そうやって、ぼくの胸もお腹も首筋もキスマークだらけになって、からだじゅうが敏感になって、あちこちに電流が走ってびくびく痙攣するのがとめられず、待ちきれない子たちがぼくの両脚をひろげて陰嚢を吸い込んだり、足指を舐め始めると、ぼくはまだ幼い少年の声で、あーっ、あーっ、と助けをもとめるように喘ぎます。部屋の壁に反響する自分の声があまりに幼くて恥ずかしくなる。恥ずかしくなると余計にきもちいい。
「あーっ、だっ、やっ…、イックゥ…」
 びじゅるるるるっ、びじゅっ、ぶびゅっ、びゅるるるるっ。
 凄い量が噴き出し、突き上げた股間からぶりぶり音を響かせ流れ出す。ジュネが、人間の量じゃないよね、と呟くのがきこえる。そんなことを言いながら、押し合いへし合いしながらぼくの精液を啜る。ぼくは鮮魚のように仰向けのまま全身をびちびち痙攣させ、その引き攣りを抑えることができず、白目を剥いて、世界が暗転する。

 狂った学校。
 外部からおかしな人間を呼び込んで、カルトまがいの教育が横行し、生徒を使ってなにかおぞましい実験を繰り返し、みんな黙って怯え、戦慄が過ぎ去るまで息を潜め、途方もなく沈滞した空気が淀む姿をみたとき、それは初めてこの中学を訪れたときからわたしの心の中で膨らみ、わだかまりを抑えることができませんでした。
 わたしが最初に肉体を得たとき、わたしは校内のサーバーラックに火を放ち、悪戯書きをしました。
 それが最初、それまでは、ただ、兄の前に現れるまぼろしに過ぎなかったのに、私はしばしば、兄の身体を盗むことができると気づいたのです。
 調子に乗った私は、百道先生を公然と非難し、生徒たちに猜疑を抱かせることに成功したのですが、それは最大の誤算で、それがきっかけとなり、わたしの愛した兄が、わたしを殺した姉と結ばれてしまいました。
 ひとは死してなお嫉妬するものです。
 兄が自分の意志で箱崎の自宅からパソコンを盗み出したとき、わたしは初めて姉のことを責めたのです。姉がわたしを殺したことなんて、些末なことです。だけど、わたしの兄をわたしの目の前で簒奪したことを許せなかった。わたしは、姉がわたしにしたように、ソラリスの製剤を姉の身体に打ち込んだのですが、兄にはそれが、あたかも刃物を突き立てたようにみえたようです。姉はさして苦しまずに死ぬはずでしたが、わたしと同じように舞洲の病院で一命を取り留め、わたしと同じように心を破壊されてしまいました。あの細菌は、わたしたちの身体と置き換わる複写機能を持っていますが、皮膚や臓器、血液だけでなく、骨も神経も、そして脳まで冒されてゆき、じぶんがじぶんでなくなってしまうことを常時自覚させられる恐怖に苛まれるのです。
 わたしは復讐を遂げました。
 それからのことは、実のところ曖昧で、模糊として、わたしはゆっくりと兄になり、兄はゆっくりとわたしになって、わたしがほんとうに望んでいた、ふたりが一つに溶け合って昇華する段階に歩み出したのです。それが、わたしたち兄妹に唯一許された、非業の結実。わたしが姉の制服を着て、渡辺に冤罪を被せ、あの肉塊が文字通り肉塊に果てたとき、わたしはわたしであったのか、兄であったのか、それすらわからないほどに溶け合い、いまこうして少女たちに愛撫され、貪りあい、得も言われぬ快楽に溺れているのはいったいどちらなのか。
 そして、これから何が起きるのか、じっと、そのときを待ちます。

「あーっ、おっきぃ、おっきっうっぐっぐっいっあっ…、あーっ」
 窓枠を掴んだまま、少女が開けっ放しの窓から喘ぎ声を中庭に響かせます。
 名前をきいたばかりなのに、こうして窓際に立たせて背後から突いているうちに忘れてしまうほど大勢の子が入れ替わり立ち替わり訪れ、いま現在十二畳ほどの部屋に三十人もの少女たちがひしめき合い、エアコンをつけても暑くて汗をかき、甘酸っぱい汗の匂いとフェロモンが蔓延し、ぼくは幾度となく断続的な失神に襲われながらも休み無くセックスし続ける。部屋の隅で立ちバックしながら両脇に女の子を抱え、背中に密着されて、文字通り女に溺れる昼下がりの倦怠。
 女の子はみんな、初めての子も、二回目の子も、それ以上の子でさえ、おっきい、おっきい、といいます。そんな台詞はエッチな漫画や小説のなかだけのものだとおもっていたのですが、それ以上に露骨な表現でぼくを責め、辱め、身体が変調を来すほどきもちよくしてくれます。そういう言葉や仕草を、女の子はどこで覚えてくるのでしょうか。
「あーだめっ、いくっ、ふーっ、いくいくっ、あっぐっ…」
 名前を聞いたばかりなのに忘れてしまった女の子が窓枠を掴んだまま痙攣して、もう立っていられなくてしゃがみこんで、陰茎がぬるりと抜けて、両脇に抱いた子がおちんちんを奪い合い、交互に飲み込んで、じゅぴじゅぴ音をならして愛撫する。窓は開けっ放しで、女子寮の中庭に面して、ぼくたちの乱交は中庭で縄跳びしている子たちから丸見え。だけど、その縄跳びをしている子たちも、噴水の水に触れている子たちも、ベンチに座ってお喋りする子たちも、地面にチョークで絵を描いてケンケンしている子たちも、さっきまでぼくの部屋で喘いでいた。
 ぼくはふたたび仰向けになって、ふたたび識らない子に跨がれる。濡れた割れ目が五センチ五ミリに拡張され、三十二センチ五ミリの陰茎が十八センチほど沈み込む様子をじっと観察する。
「藤沢美優といいます」
 つながったばかりの子が自己紹介する。ちゃんと名前を教えてくれる子はすくない。
「美優ちゃん、初めてじゃ、ないよね?」
「ショーのときが、初めて、です」
「何年生?」
「五年生」
 女の子三人がぼくの胸と脇腹を舐め始める。朝から入り浸る南条留美子がぼくに膝枕をしてくれる。見えないところで、誰かがぼくの陰嚢を飲み込む。
「ねぇ、これ、この、状況、どうおもう?」
「どう…って、すご…い、あっ、すごい…ですね」
 小さく上下に揺れ始める。汗に濡れた美優の脇腹を、識らない子が舐める。
「うーっ、ウフフ…。夏目くんって、ご両親は?」
「市内に、住んでいるよ」
「寮に入るの、反対されなかったの…ですか?」
「されたよ、すごく。お姉ちゃんも、妹も死んだから、ぼくが出て行くのは、とても辛いみたい…」
「それでも、出たんですね。寮の…ほうが、よかった?」
「セックス、するとは、おもってなかった…」
「あら、きっと、まいにちですよ。朝から晩まで、こうして…、こっ…やっ、はぁーっきもちいい…」
 美桜は身体を仰け反らせ、鞭をうつように波打たせ、十センチくらいの振幅でぼくの陰茎をちゅるちゅるマッサージする猥褻な立ち振る舞いにも稚い仕草が際だち、取り囲む少女たちの固唾をのむ戦慄の静まりが、著しくぼくの感覚を鋭敏に変え、いくら堪えても迸る快感から逃れられない。
「みんな、ぼくとして、しあわせですか?」
「なにが……、ですか?」
「ぼくと、セックスして……」
「しあわせ、だと、おもいます」
「それなら、いいのだけど」
「わたし…たち、男の人と、恋愛……できないから」
「どうして?」
「禁止、ですよ」
「そうなの?」
「それなのに、えっち…、性的な、コト、教わるから……はー、すごい、いいきもち」
「小学校でも、性教育ってあるの?」
「ありますよ…、夏目…くんの…、あーっ、はぁはぁ」
「莉音って、呼んで」
「り…莉音の、ビデオ、みて、二人組、つくって、あい…、あっ、いくっ」
 陰茎全部を飲み込むような蠕動で絶頂を迎え、吸われるようなその感触に身を任せ、ドバッと精を放ち、奥歯をかみしめまたどこかへ連れ去られることに抵抗するも虚しく意識が宙を舞い、臨死体験のように三十人の少女たちがひしめく自室を俯瞰し、ふたたび自前の肉体に戻って瞼をあけたとき、すでに別の子がぼくの陰茎を膣に沈めるところでした。
 にゅるるるるるっ。
 まいにち、朝から晩まで、こんな、イイコト、繰り返すなんて、信じられない。姉と妹を喪い、望みを失い、総てを失い、十二歳で手詰まりを迎えたぼくは寮に入って孤独に過ごし、残り少ないじかんを沈黙して過ごすつもりでいましたが、それは想像したほど不幸なことではなさそうです。

「あたし、莉音は長生きするとおもう」
「それは、希望?」
「ううん、勘」

 怖気立つような力強さで鼓動する妹の心臓はぼくの全身に枝を張り、太陽ノ樹となりぼくの肉体を簒奪するならば、もしかするとぼくは年を取らずに長く生き続けることになるかもしれない。杏樹お姉ちゃんは、そう直感していた。
 じぶんの中の妹の人格との間の輪郭をうしない、溶け合い、女の子だらけの環境への焦燥も薄れ、窓から差し込む琥珀色の夕陽がぼくを跨いで上下する少女の輪郭を描いて眼に染み、この異常が日常にすり替わったぼくの世界は、十二畳の狭い空間と十二年という短い人生のなかにぎゅっと不可逆圧縮され、二度と元通りに展開されないし、潤んだ少女の胎内にびゅくびゅく脈打ちむりやり途中で引き抜かれ、四人の美しい少女に怖ろしく卑猥な方法で貪られる行為がそうして何度も繰り返されるうちに総てがバラバラに砕け散って、この部屋で行われる乱交という儀式がなんのためのものか、きもちよすぎて全然理解できない。

 黒いカプセル錠剤を二錠、水でいちどに流し込む。生涯飲み続けるはずだった免疫抑制剤はもう必要ない。ふたたび床に横たわり、識らない少女とつながり、識らない少女たちに愛撫される。
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