R18恋愛官能小説 青山倉庫

太陽ノ樹

第23話「世界で一番美味しいミルク」

 ちゃぷちゃぷちゃぷ、ぬちゃっぬちゃっ。
 静かな病室に、潤んだ粘膜のこすれあう悲惨な音が響きます。ぼくはベッドの上でお姉ちゃんに覆い被さって、お姉ちゃんの両脚を持ち上げて、ちいさな子宮を丁寧に衝きおろします。ベッドの傍らに、タオルを持った看護婦さんと、海野先生と、妹の亜梨子の三人が並んで椅子に座り、ぼくたちをみています。
「はぁ、はぁ、おねえ…、はあぁっいくっ、でるよ、でっ、ぐっ」
「お兄ちゃん、顔にかけてあげて」
 亜梨子が指示する。ぼくはガクガク震えながら、三十二センチ五ミリの肉を抜き取り、お姉ちゃんの顔を狙います。精液を顔にかけるなんて、もう戯れを越えて鬼畜の所行です。その悖徳にぼくの心は戦き、しかし、身体は緩みきってびしゃっと勢いよく精液を噴き、お姉ちゃんの頬と瞼と額に命中してキラキラした飛沫を散らします。それに飽きたらず、二発、三発、四発、痙攣するたびに大量の精液が噴き出して、五発、六発、七発、お姉ちゃんの顔全部、顎も首筋も濡らし、八発、九発、十発、髪の毛の生え際まで拡がって、枕に滴ります。ぼくは余韻に浸る間もなく、ふたたびお姉ちゃんの膣に滑り込みます。
「もう、誰だかわかんないね」
 亜梨子がぼくのスマホをかざして、動画を撮ります。ぼくは残酷にお姉ちゃんを突きあげ、分厚い精液に覆われたお姉ちゃんの顔の上で精液の泡がピストンの振動に揺れて、精液の鼻提灯が膨らみ、お姉ちゃんが唇をひらくと、精液が上唇と下唇にいくつも糸をひいて、お姉ちゃんの舌がそれを絡め取ります。
「夏目くん…」
 看護婦さんが声をかける。プロテインの入った水筒を差し出して、ぼくはストローを咥えて飲む。お姉ちゃんを突きながら、飲みます。もう三本目が空になる。セックスしていると、酷く喉が渇く。口を離して、お姉ちゃんと舌を絡める。唇をこすりあわせ、頬を嘗める。鼻すじを嘗めて、額を嘗めて、瞼のうえに溜まった精液の泡を啜る。ようやく、お姉ちゃんの眼があく。
「なんで、海野先生が、いるの?」
「先生が、この病院に、ぼくたちを送って、くれるんだよ」
「なんで先生が?」
「お姉ちゃんを、最初に、この病院に、運んだから」
「莉音、先生と、セックスしてるの?」
「どうして?」
「海野先生、美人だよ」
「うん」
「してるの?」
「うん」
「なんかい?」
「一回」
「中に出した?」
「うん」
「きもちよかった?」
「すごい、よかった」
「あたしと、どっちがきもちいい?」
「お姉ちゃんの方が、きもちいいよ」
「あたりまえでしょ、馬鹿」
 お姉ちゃんが身体を起こす。ぼくは仰向けになる。お姉ちゃんは病院のパイプベッドがギシギシ軋るくらい乱暴にぼくをピストンする。妹がぼくたちに近づいて、動画を撮る。つながっているところを撮る。おちんちんがおまんこに咥えられて、にゅるにゅる蠢く姿は、もう何度もみて、見飽きているのですが、やっぱりじっとみてしまいます。病院で、腕に注射を打たれるときにも、痛いことがわかっていながら、じっとみてしまいます。それらに共通するのは、とても狭い範囲で起きる深刻な肉体的暴虐であって、腕に静注される抗生物質や、少女の胎内に注がれる精液がどのような効力をもたらすのか考えられず、その瞬間は、鋭い痛みや、溶けてしまうような快感の潮に、あるいはその期待に、視線をその部位に集中させるのです。
「莉音、あたしのまんこ、綺麗?」
「きれいだよ」
「嬉しいけど、まんこばかり、みないで」
「うん」
「あたしをちゃんとみて」
 ぼくはお姉ちゃんをみる。みつめる。精液で濡れた前髪が額にはりつき、首筋を伝って胸まで流れた精液が幾筋も輝く。いつもぼくを慕わしくみつめていたお姉ちゃんの瞳は、あの日から変わってしまって、ぼくをセックスの道具みたいに見下して、ときどき人形のように生気を失って、かとおもえば淫婦のように猥褻な眼差しで、いまそうであるように、ぼくを瞳孔に閉じ込めて、濡れた粘膜で締めつけて、セックス以外の行為を許さない。

 二時間前。
 ぼくは誰もいない病院の待合室の椅子に座り、受付の女の人とにらめっこしていた。
 海野先生が給茶器のつめたいお茶をくれる。隣に座る。私服姿の先生は、あまり大人っぽくない。
「先生、お姉ちゃんは、いつ退院できるのですか?」
「わからないけど、夏休みには、一時帰宅できるかもね。いま、少し安定してるから」
「それは、退院じゃないの?」
「残念だけど……」
 お茶を飲む。今日は暑くて、汗をかいたけれど、病院の中は涼しい。かかりつけのお医者さんがいる近所の病院や、術後にお世話になった医大の待合室には、患者さんが大勢いたのだけれど、この病院ではほとんどみかけない。ぼくは、病院がすきじゃないけれど、手術する前から身体が弱くて、病院の匂いを懐かしく感じる。
「じゃあ、お姉ちゃんは、治らないの?」
 畏れていることを訊く。先生はすぐに答えない。
「杏ちゃんの病気は、先天性のものだからね…」
 そう言って、先生は頭を指さす。
「悪化することはあっても、改善することは、ほとんどないの。だんだん、記憶障害も出始めているから…」
「記憶障害?」
「自宅の住所や電話番号、友達の名前とか、忘れてるみたいなの」
「もう、思い出さないの?」
「そうね…」
「ぼくのことも、忘れてしまうの?」
「いつか、夏目くんの顔がわからなくなるかもしれないけれど、それでも、夏目くんは杏ちゃんに優しくしてあげて。きっと、杏ちゃんは、最後まで夏目くんのことは、忘れないでいるはずだから」
 ぼくは俯く。スリッパを履いた自分の両脚をみる。黒い短い靴下に、赤と黄色のチェックが入っていて、それはしまむらで三足五百四十円くらいで買ったものです。お姉ちゃんと一緒に、服を買いにいって、いっぱい試着して、みせあうのが好きでした。そうやってじゃれあっていられる時期はとても短いのに、お姉ちゃんは長期入院どころか、もう治らないと先生はいいます。
「お姉ちゃんは……」
 発した声が震えて泣いている。
「お姉ちゃんは、辛い想いを、する?」
「わからない。痴呆だったら、本人はそれほどでもないけれど…」
「お姉ちゃんは?」
「杏ちゃんは、賢い子だから、自分の心と頭が、だんだん崩れてきてること、自覚してるみたい。ときどき、ひどく、落ち込んでいるわ。でも、先生の前でも、夏目くんの前でも、気丈に、振る舞っ…」
 言葉が途切れ、先生の頬を涙が伝う。膝の上にぽたぽた落ちる。ぼくは先生の袖を曳いて言う。
「どうして、先生が、泣くの? 泣きたいのは、ぼくだよ、せんせい、なかないで」

 びゅっ、びゅっ、びゅっ、びゅくっ。
 なんかいも出し過ぎて、引き攣る筋肉に鈍痛。でもとまらない。途中でとめられない。お姉ちゃんの濡れたお腹を撫でて、先っぽの沈んでいるあたりに手を密着させると、射精の振動が伝わってきます。もしかすると、お姉ちゃんの筋肉の痙攣。お姉ちゃんの指先が、ぼくの頬を滑る。
「なんで、泣いてんの?」
「う…、うん、きもち、よくて」
「うそばっか、莉音、きもちいいとき、そんな、哀しそうな顔しないもん」
 ぶじゅるるるっ、凄まじい音を響かせて、ぼくとお姉ちゃんの密着から精液が溢れます。
「ごめんね、ほんとうは、お姉ちゃんに買っていくはずだった、お土産を、忘れちゃったの。それで、悲しくて、ないてるの」
「お土産?」
「ジョウセンのスフレ」
「なにそれ?」
「お姉ちゃん、好きだったでしょ?」
「しらない。あたしがすきなのはー、莉音の、ちんぽ。莉音がすきなのはー」
 お姉ちゃんはぼくに覆い被さって、お腹を密着させる。精液の味がする唇を重ねる。そのまま囁く。
「莉音がすきなのは、なにかな?」
「お姉ちゃん」
「あたしの、どこ?」
「お姉ちゃんの、まんこ」
「ウフフ、えろーい。莉音、あたしのまんこすきだもんねー。素直だから、あたし、お土産にミルクおねだりしちゃおうかな」
「ミルク?」
「莉音の、おちんぽミルク、飲ませて」
「うん…」
「まだ、出るよね?」
「もう、出そう…」
 お姉ちゃんは慌てて起き上がって、腰を浮かしておちんちんを抜き取ります。ぼくの両脚の間にうずくまり、咥えて、ゆっくり飲み込んでゆく。陰茎に唇をつけずに上下するから、ぐちゃこっ、ぐちゃこっ、ぐじゅぽっ、ぐじゅぽっ、と扁桃腺が摩擦する複雑な音が響きます。どんなにびしょ濡れの膣だって、こんな卑猥な音は立てない。その風景を、亜梨子が近づいて撮ります。お姉ちゃんは亜梨子と喋らないけど、亜梨子がスマホを近づけると、髪を掻き上げて、愛撫を見せつけます。
「お兄ちゃんのミルク、人気だね」
 亜梨子がぼくに言う。看護婦さんが、汗に濡れたぼくの首筋をぬれタオルで拭く。
「ミルクって、言わないで」とぼく。
「お兄ちゃんのおちんぽミルクは美容と健康に、ひゃっ」
 ぷしゃあっと精液の飛沫が飛び散る。公園の水飲み場みたいに、噴き出す精液がお姉ちゃんの唇を濡らし、お姉ちゃんはぼくを一息に根元まで飲み込んでしまう。にゅるるるっと舌と扁桃腺を滑り、先端が食道へ到達する。ぼくはもう一回、二回、三回、四回、五回、六回、射精する。射精の痙攣にあわせて、お姉ちゃんの喉が蠕動して、ぼくのおちんちんが吸われて更に奥深く。
「ぷはっ、はぁっ、はぁっ、いっぱい、飲んだよ、ほら」
 お姉ちゃんがあーんする。咳き込む。ふたたび僕を跨いで、おちんちんを割れ目に挿しこんで、焦らすように腰を回転させながら、ゆっくり、ゆっくり、秒速五ミリの緩慢さで腰を沈めてゆく。終わりのみえない悦びに充たされて、仕合わせなはずなのに、ぼくの心は心を失ったお姉ちゃんの心を求めるばかりで、看護婦さんと海野先生にずっとみられている羞恥も、亜梨子に撮られている意識もとりとめなく、薄く引き延ばされて、ぼくの上で揺れ始めるお姉ちゃんの傷一つ無い裸を眺めることでとうとう消えてしまいます。
<< 前のページ 戻る