R18恋愛官能小説 青山倉庫

太陽ノ樹

第18話「今宵カラオケ子種啜って」

 五月四日、みどりの日。
 昨日まで寒かったのに、今日は晴れてまた暖かくなった。ぼくは日中、家の手伝いをして、夕方から出かけます。遅くなっても、構わない。
 綾川邸で暮すようになって、ぼくの姿がみえなくても、お父さんとお母さんが気にしなくなった。綾川家はとても広いのです。あまりに広くて、ぼくが書斎にいるのか、客間にいるのか、バルコニーか屋根裏か、探し回るのも面倒なのでしょう。最初は気づきませんでしたが、食堂の奧の扉からしか出入りできない廊下があって、六、七段の階段を下ると、その先は和風の邸宅になっています。たくさんの広いお座敷があって、床板が剥き出しのアトリエをみつけました。綾川邸はとても有名な画家さんが住んでいたお屋敷で、舞洲薬品に買われる前は年に数回一般公開され、多くの人が訪れていたとインターネットで紹介されています。
 十七時をまわって、ぼくは駅前ロータリーの花壇脇に腰掛ける。ダークブラウンのハーフパンツに縞々のTシャツと白いパーカー。この季節は日々、気温が乱高下するので、着るものに迷う。スマホにメールが一通。すこし遅れます。ぼくもすこし遅れたから構わない。空を見上げて、夕焼けと星空の境界線がせめぎあう夜の訪れを眼に入れていると、世界がするりと滑り落ちて天地が逆さに変わる気分を味わえる。
「莉音くん、ハァハァ、待っちゃった?」
「ううん、ぼくもすこし遅れた」
 大きなボタンのついたベージュのワンピースを着た高井戸美桜は、金魚鉢学園高等部の一年生です。ぼくとは小津熱帯園で出会って、お姉ちゃんと愛し合っている姿を写真に撮ってもらった。今日は、以前から約束していた、二人で逢う日。美桜はただお喋りしたいだけのようですが、ぼくは逢う前からいろいろな妄想に苛まれ、一度きりしか逢ったことのない少女が目の前に現れ、赤縁の眼鏡を通してぼくを覗かれると、その生々しい現実感に押さえつけていた卑劣な感情が湧きあがるのをとめられない。頭の中に思い描いたアコースティックギターの弦をかき鳴らし、悪魔が囁く声を琥珀色に塗りつぶす。
「ね、お腹すいた?」
「うん、すこし」
「食べに行く? どこか」
「あまりがっつり食べたくないから、ミスドとか」
「あら、じゃあカラオケ行かない?」
「うん、行く」
 カラオケはお姉ちゃんが好きだったから、抵抗がない。駅の反対側のカラオケじゃなくて、商店街の中程にある地下のカラオケ店に行く。そこは以前カップル喫茶だったところで、経営の母体がかわっていないから、普通のカラオケ店とはすこし違う。入り口の張り紙に、十八歳未満のお客様は保護者同伴、と小さく書かれているのですが、フロントのお姉さんはほとんどぼくたちに眼を合わせず応対する。いちばん奧の部屋を指定される。見取り図でみると、他の部屋と違ってすこし狭くて、その分安い。
 部屋に入ると、床が一段高くなっていて、土足厳禁。ぼくたちは靴を脱ぐ。
「ねー、なに食べる? 二人でピザにしよっか」
「ここって、未成年お断り店じゃない?」
 ぼくは不安になって美桜に訊く。美桜はフロントに電話して、飲み物とピザとハンバーガーを注文する。ぼくの隣に腰掛ける。
「お酒を出してるからね、アルコール注文したら、たぶんなんか言われるよ」
「そっか、じゃあ安心だね」
「お姉さん、元気?」
「う…ううん」
「元気じゃないの?」
「入院したの」
「あら、どうして?」
 ぼくは頭を指さす。
「すこしヘンなんだ。もともと強迫症気味だったけど、酷くなった感じ。お見舞いに行ったら、看護婦さんの前で、エッチさせられた」
「えー、大丈夫なの? 治るの?」
「お医者さんは、落ち着いてからカウンセリングするって言ってるけど、いまはまだ投薬してる」
「そうなんだ…。早くよくなると、いいね」
「うん」
 努めて微笑む。美桜はぼくに密着したまま、曲を選ぶ。一番奥のこの部屋は、他の部屋と奥行きがおなじなのに、幅が一間もなくて、そこに二人がけの小さなソファと小さなテーブル、一番奥に古いカラオケ機器と点数が表示されるモニタが無理に並べられてまるで物置のようです。だから、美桜はその場で立ち上がって、マイクをもって歌い出します。ぼくは美桜が歌っているあいだに、じぶんが歌う曲を探す。カラオケにいくとだいたいこんな感じ。他の人の歌なんて誰もきいてない。
 美桜は最初にガリレオナントカを歌っている。意外に声が大きい。ぼくよりおおきい。歌っている最中に注文した食べ物が運ばれる。ぼくが受け取る。店員さんが入るスペースがない。美桜がぼくにマイクを渡す。ぼくはまだ選んでいなかったから、いつもお姉ちゃんと一緒に歌っていた初音ミクの曲を歌う。
「えーっ、そういう選曲なんだ。いがーい」
 そう言って美桜が嗤う。ぼくは声変わりしていないから、キーが高い。金魚鉢ではボカロ曲が流行っていて、ミクよりマイナーなグミやルカの方が人気で、何人いるかわからないアイドルの曲なんて誰もきかない。

 ラムネ瓶に迷いて死ぬ蝶のように
 紫陽花乱れる地獄を想い
 殺した鳥の翼を並べ
 あなたの綺麗な言葉を並べ
 糾うふたりの指先並べ
 妾は盲を芝居する

 ラジヲもきこえぬ地下室のように
 操に餓える肉欲を想い
 錆びたランプの芯を並べ
 あなたの卑猥な声を並べ
 乞食の腐った臓腑を並べ
 妾は悟りを芝居する

 今宵満月ニコニコ笑って
 助けた蟷螂恩を返して
 今宵唱おう子種啜って
 貨物列車がわたしを撥ねる

 ライムオレンジ走馬燈のように
 肌の爛れる真夏を想い
 芳し男の逸物並べ
 あなたのか細い喘ぎを並べ
 千切った蕾を砕いて並べ
 妾はイったフリをする

 今宵満月ニコニコ笑って
 助けた蜻蛉恩を返して
 今宵交わう子種注いで
 貨物列車がわたしを撥ねる

 人頭蛇を産ませてみたいと
 想いつつ
 女と寝ている若い見世物師

 今宵満月ニコニコ笑って
 死んだ蟒蛇仇を討って
 今宵孕もう子種散らして
 貨物列車がわたしを撥ねる

 次の曲を選ぼうとしていた美桜が顔をあげて唖然。歌い終わると、ぼくは美桜にマイクを返す。
「なに、えっ、なに、なんて曲?」
「平成猟奇歌って曲、暗いでしょ」
「有名な歌?」
「ううん、北畠市界隈のカラオケでしか歌えないんだ。
「えっ、初めてきいたよ…」
「金魚鉢で流行ってるみたいだよ。ぼくはお姉ちゃんに教わった」
「ボカロってこういう曲もあるんだ。なんか独特だね」
「でもこれ、金魚鉢高校のひとがつくった曲だよ。美桜さん、おなじ学校なのに…、識らない?」
「まじでー? 初めて識った。でも金魚鉢のひとならわかる気がする。周り才能の塊ばかりだもん」
 美桜はトレーを引き寄せて、ピザを一切れ、ぼくに差し出す。
「あーんして」
 ぼくはくすくす嗤いながら、ピザを咥える。反対側を美桜が咥える。お互いよーいどんで一切れのピザを奪い合い、その中央で唇が出会う。お互いの唇を奪い合う。前歯が触れあうスパイスのきいたキスが、信じられないくらい長い間続いて、ようやく唇を離して、美桜が囁く。
「ここ、四時間取ってあるから、ゆっくりしよう」
 ぼくは頷く。きっと、頬があかく、耳まであかくなっている。
 美桜は違う雰囲気の曲を選ぶ。RADナントカってバンドの曲で、初めて聴く。美桜は壁にもたれたまま歌う。歌いながら、ぼくに手をさしのべる。手を取り、引き寄せられる。ぼくは、美桜のワンピースのおおきなボタンを外す。ぼくはワンピースの肩紐を外す。美桜のワンピースがストンと床に落ちる。美桜のブラのホックを外す。美桜はじぶんでブラを脱ぐ。ぼくは美桜のショーツをおろす。電話で話していたとおりのハイジニーナが曝される。美桜は靴下だけになってしまい、恥ずかしそうにソファに座る。ぼくは美桜の果物みたいに色づく乳首を嘗める、吸う、嘗める、吸う。指先で、すべすべの割れ目をひらき、中指を滑らせる。美桜は音程を外す、歌詞を間違える、サビを歌えない、もう歌えない、ぜんぜん歌えない。マイクを膝の上におろす。曲が終わって、静かになると、BOSEの巨大なスピーカから、ちゅっちゅっちゅっちゅっと愛撫の音だけが響きます。
「美桜ちゃん、びちょびちょ」
「ばかぁ、莉音がイケナイの」
「ぼくだって、もうはち切れそう。美桜ちゃん、しよう」
「だーめっ、もう一曲うたって。さっきみたいなの」
 お預けされて、ぼくは短い曲を選ぶ。さっきと違って明るくポップなボカロ曲。古いブラウン管のモニタに表示される歌詞をみないと歌えないから立ち上がる。曲が始まると、裸の美桜が跪く。ぼくのハーフパンツのホックを外す。ジッパーをおろす。パンツと一緒に引きずり下ろす。シャツの中に反り返ったおちんちんを引きずり出す。歌い出しから美桜がぼくを飲み込んで、喉の奥まで飲み込んで、ぼくはいきなり歌詞を間違える。
 びゅううっ、びゅっくびゅっくびゅっく、精液が迸る。
 ぼくはマイクをおろす。震えながらリモコンを拾って、曲を止めます。マイクを股間にむける。じゅるるっ、じゅるるっ、じゅるるるるっ、美桜の濡れた唇が盛大に啜りあげ、喉を鳴らして一滴残さず飲み干してしまう。美桜は愛撫をやめてくれない。ぼくはマイクを切ってテーブルに投げ、自分でパーカーとTシャツを脱ぐ。美桜の扁桃腺がにゅるにゅる滑る音がきこえそう。駅向こうの普通のカラオケ店より壁が分厚くて、防音の密室内で響く愛撫の吐息に耳を傾け、窓もない部屋なのにこころもからだも解き放たれて。
「はぁ、はぁ、莉音、あたし、飲んだよ。すごくない?」
「美味しかった?」
「ウフフ…、まずくはなかった。でも、普通はこんなに出ないよね。莉音、すごいね」
「普通、どれくらいなの?」
「えーっ、しらないよ。もっと、ちょぼっとじゃない?」
「ぼく、もっといっぱい出たことあるんだ…」
「そんなに飲めないよー、もぉっ、莉音は腕白だね」
「ぼくも嘗めたい」
 そう囁いて膝を突く。美桜をソファに座らせ、そっと股を開く。濡れて輝く陰唇の肉色を指で拡げて、処女のちいさな膣口をつるりと嘗める。ちゅうと吸いつき、美桜にまけないくらいじゅるじゅる啜って、火照ったからだに指を滑らせ、ちいさな乳房を両手で包む。甘い声が狭い部屋に充ちる。お姉ちゃんや妹よりずっと濃い女の子の苦みと生々しい匂い。
「ああっ、はぁっ、すっご、莉音が、あたしのまんこ、なめてる」
 ぼくは唇をつけたまま、きぼちいい? とききます。美桜はこたえられず、両脚を更にひらいて、褄先をソファの縁にのせて、両膝をじぶんでひろげて、腰を突き出し、すこしずり落ちた赤縁の眼鏡のまま、ぼくの愛撫をつぶさに観察。ぼくは美桜の乳首を指先でこりこりしながら、乳房をもみながら、肉鞘の先端に膨らむ陰核を口の中で弄ぶ。美桜がしてくれていたよりずっと長く、美桜の敏感な粘膜を愛撫するけど、美桜は乳首をはじく指先を掴んで、くすくす嗤って身を捩る。
「やん、乳首、くすぐったい」
「きもちよくない?」
「嘗められるとすごいけど、指先でされると、くすぐられてるみたい…。あたしお子ちゃまだね」
「美桜ちゃん、処女だね」
「うん…、わかるの?」
「処女膜があるよ」
「みえるの、やーん」
「入り口が狭いだけだよ。指なら入りそう。ねぇ、これ、拡げていい?」
「えっ、やん」
「ぼくのちんぽで」
「莉音のちんぽで?」
「うん、ぼくのちんぽ」
「莉音のちんぽなら、いいよ。でも、入るかなぁ……」
 ぼくは美桜をソファに仰向けにする。股を開いて背を丸めたままだと、膣が内側に折れて、入れるとヘンなところに当たって、女の子は痛がります。美桜はぼくのおちんちんを怖がっているから、先っぽを割れ目にあてて、手を握って、眼をみつめてリラックスするのを待ちます。すこしおしつけて、キスをして、囁きます。
「ほら、もう入った」
「え、うそ?」
「先っぽ半分入ってるよ」
「どこ、みせて」
「だーめ」
 ぼくは美桜の眼鏡を奪う。テーブルに置く。美桜は泣きそうな顔で微笑む。
「先っぽだけじゃ、いや」
「全部欲しい?」
「全部ちょうだい、莉音のちんぽ、奧まで」
 ぐっとおしつける。まるで肉の壁をおしているようだけど、突然ぶりっと熱い粘膜に包まれて、おもったよりまっすぐな美桜の膣は、引っかかりもなく奧まで満遍なく濡れていて、子宮頚までスムーズに到達します。美桜の体温にぼくの理性はドロドロに溶かされて、ぼくたちはみつめあったままゆっくり上下に揺れ始める。先っぽに子宮頚のこりこりが様々な角度でぶつかり、ちゃぷちゃぷ潤んだ音が響き、廊下からミスチルが流れてきて、壁一枚隔ててぼくたちは非日常をツギハギしていて、ソファの肘掛けの破れ目を越えて美桜の身体ぜんぶを突き上げて、無言だった美桜が泣き声で「スゴイ、スゴイ」を連呼し始める頃には、ぼくはもう限界。
「美桜、なかに…、だっ」
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