R18恋愛官能小説 青山倉庫

太陽ノ樹

第14話「星屑サマーセックス」

 二十一時三十分、四月だというのに異様に蒸し暑い夜の空にちらつく星屑。
 ぼくはお姉ちゃんと夜の学校に忍び込んで、体育館裏のプールに全裸で入って、水に浸かりながらセックスします。中学生が安心してセックスできる場所なんて、どこにもありません。いつも人目を気にして、いろいろな死角をみつけて、そのようなスペースをみつけるとそこでのセックスを夢想して授業に身が入らず、昼休みや放課後お姉ちゃんをそこへ引っ張っていって、ひっきりなしに愛し合います。
 思春期の火照った身体から溢れる性衝動は汲めども尽きず、ぼくは学内だけで、保健室、教材準備室、体育倉庫、体育館の二階、屋上、西館階段の踊り場、理科準備室、視聴覚室のブース、古いロッカールーム、プールの更衣室など、いろいろな場所にセックスできる空間を見いだします。金魚鉢中学のプールは室内プールなのですが、入り口に扉が無く、外廊下につながっているので、誰でも侵入できてしまいます。
「莉音、すごい、音、ひびく、ねっ」
 お姉ちゃんが囁く。ぼくらが上下するたびに波立つプールの水面がちゃぷちゃぷ水音を響かせ、天蓋から差し込む月明かりが散り散りの輝きを揺らす。プールの水は想像以上に温くて、たゆたっているだけでも心地よいのですが、ぼくたちは裸で抱き合い、一番敏感な粘膜を潤んだ粘膜で包んで、刺激しあうのです。
「一年生って、水泳の授業、ないよね…」とぼくがきく。
「来月からだって。水着貰った?」
「まだ…、女子は貰ったんだよね」
「もらってないけど、みたよ。ちょーエロいの…フフ」
「どんなの?」
「普通のスクール水着なんだけど、お腹がぱっくりひらいてて、おっぱいからアソコまで露出するの。体操服もヤバイけど、水着はもっとヤバイよ…」
「男子もそんな感じなのかなぁ」
「沖田くんにきいたけど、男子はブーメランパンツで、はみ出るんだって。普通の子がはみ出るなら、莉音はまず履けないよね…」
「憂鬱だなぁ」
「莉音はサボる口実無いからね…」
「サボる?」
「沖田くんと佐竹くんは、小学生の頃から金魚鉢だけど、水着着たくないからって仮病とか撮影とか大会とか練習とか、理由つけて出ないんだって。あの子ら、一度も学校のプールで泳いだことないんじゃない?」
 ぼくたちは飛び込み台まで移動する。お姉ちゃんを壁に押しつけて衝く。水の中では、ぼくはすこし鈍感になるから、なかなか射精しない。お姉ちゃんは変わらない。いつものように、だんだん熱くなって、きもちよくなって、膣が風船のように膨らんで、ぼくの長い陰茎に引き延ばされて、声を押し殺します。
「莉音は…、サボっ…、ちゃ、だめ、んっ」
「どうして?」
「莉音の、からだ、自慢、しっ、はぁー、あいく、いくいく」
 お姉ちゃんの声がプールに響き渡り、ぼくの背中に爪を立てて震える。ぎゅっぎゅっぎゅっと締まる。いつもより短時間でおさまる。キスをする。
「どうせ、あたしたちのセックス、バレてるんでしょ? だったら、莉音の身体、自慢したいよ。こんな綺麗な身体に抱かれて、こんなたくましい…ちん、ぽ、入れてるって、すごい恥ずかしいけど、なんか、周りにみせつけたい…あたし、変態だよね。ごめんね、お姉ちゃん変態で」
 雷鳴が轟いて地響きが伝わり、室内プールのアクリルの天蓋に、ザアッと豪雨が降り注ぐ。稲光に照らされ、雷が落ちて、お姉ちゃんの身体が敏感に反応する。ぼくの身体とおちんちんを締めつける。
「すごい雨降ってきた…、どうしよう、傘ないよ」とお姉ちゃんが言う。
「大丈夫だよ。ちょっと冷えてきたね。更衣室でしようよ」
 そう言って、ぼくはお姉ちゃんから抜き取る。プールから出る。ぺちゃぺちゃ、足音を響かせながら、シャワーと塩素プールを通過して、更衣室に入る。電気をつける。更衣室はひとつしかない。男女で、分かれていません。もと女子中の建物はほとんどそのままですから、お手洗いだけは男子のマークがあるのだけど、個室しかないし、利用者がすくないから女子が平気で入ってくるし、棚の上に生理用品が置いてある。この学校で一月が過ぎようとしていますが、そういう風土にまだ慣れることができません。
 更衣室には背もたれのない長椅子があって、ぼくはその上に仰向けになって、お姉ちゃんを跨がせます。濡れた肌が触れあって、熱い粘膜にぬるりと滑り込んでゆく柔らかな感触に包まれたとき、ぼくは女の子みたいな甘い声を漏らして頭を起こし、つながっている部分を覗き込みます。雨音が激しくなって、どんどん空気が冷えていきますが、ぼくたちのカラダはめちゃくちゃ熱くて、濡れた肌から立ち上る湯気がゆらゆら。
「はぁぁ、きもちいいよ、莉音の…ちん…ぽ、どうしてこんなにきもちいいの?」
「おっきいから?」
「それもあるけど、いちばん感じるところに、スポって、はまりこむ感じ…。やっぱ、姉弟、だね」
「お姉ちゃんのおまんこ、すっごいぬるぬる」
「あたし莉音が近くにいるだけで濡れちゃうの」
「ぼくも、お姉ちゃんが傍にいると勃起しちゃう」
「アハハ、今日さー、莉音、昼休みのあとから、あっうっ、ずうーっと、勃起してたよね? 芙実がずっと、あっ、チラ見、してたよ」
「芙実ちゃん、ぼくと喋るときも股間、みてるもん」
「やーん、そうやって、他の子…、ふっあっあっあっ、すご、すご、あっ」
 お姉ちゃんを突き上げる。腰を浮かして、すごい勢いでピストンする。ちゃぷちゃぷが、小刻みなちゅっちゅっちゅっという音に変わって、その連続した飽きるほどの繰り返しが壁に反響して、理性とか判断力とか諸々が麻痺して溶け出しそう。
「りっお…ん、がっこの、なっかで、するの、すき、だね」
「あちこちに、セックスできそうな、空間があるんだ。そういうとこ、見つけ…、だめ、いくっ」
 びゅーっ、びゅーっ、びゅっびゅっびゅっびゅくっ。すごい量の精液がお姉ちゃんの胎内に注がれて、ぼくたちの股間からごぼごぼと溢れだします。お姉ちゃんの手がぼくの肩をつかんで、膣口を蠕動させて、ぼくをのみこんで、ぼくは眼を見開いたままあることを思い出します。
「お姉ちゃん、この学校、地下室が、あるんだって」
「地下室?」
「うん、斉藤先生が言ってた。実験するのに使ってるんだって。探してみない? あまり識られてないらしいから、ここより安心できるよ」
 ぼくは上半身を起こして、お姉ちゃんを抱っこしたまま胡座をかきます。お姉ちゃんがゆっくり腰を浮かしますが、膝が滑ってぶちゅりとおちんちんを根元まで包んでしまい、先っぽが子宮頚をぐいっと押し上げます。
「だっ、いぐっ、くふぅっ…」
 お姉ちゃんが弱々しい悲鳴をあげて、身体を硬直させる。ガクガク震えだす身体を抱きしめる。やがて、落ち着く。今度は慎重に、おちんちんを抜き取る。精液の塊がぶりぶりと溢れて糸を引く。ぼくは震えてまだたてない。お姉ちゃんがタオルを渡してくれる。おちんちんを拭く。身体を拭く。ぼくたちは、制服に着替える。
 今夜、お父さんが出張から帰ってくるので、お母さんが空港まで迎えに行っていて、夜の十一時半まで帰ってきません。それまで、ギリギリまで学校のなかで楽しみたい。まだしらない空間があるかもしれません。
 ぼくはお姉ちゃんの手をひいて、更衣室を出る。外廊下から菜園を通り抜けて校舎脇の火事のあった教材準備室、まだ窓ガラスが入っていないから、手を差しこんで鍵を開けます。ぼくが先に這い上がって、お姉ちゃんを引き上げる。すでに壁紙も天井も床も剥がされて、新しい建材が積み上げられています。
「どこにあるか、識ってるの?」
「ううん、識らないよ。でも、地下室の入り口なんて、そう隠せるモノでもないでしょ」
「校舎の中に、地下室に行けそうなところって、なくない?」
「うーん、この部屋にはなさそうだね。ここを出ると、社会科の教材室があって、教員のロッカー、お手洗い、給湯室、校長室、ひろーい職員室、またロッカーがあって、保健室、お手洗い、階段の前を通ってはじっこが服飾デザインの人形が置いてある部屋で、突き当たりは技術室。技術室っていま使っていないんだっけ?」
「技術室は、L教室で使う椅子とか机が積まれてるだけだよ。あたし入ったことあるもん」
「じゃあ、人形の部屋かなぁ…」
「まって、莉音、一部屋飛ばしてない?」
「どこ?」
「階段の前って、部屋なかった?」
「ないよ、壁があるだけだから、人形部屋の一部じゃない?」
「トルソーの部屋って階段に面してないよ」
「じゃあなに?」
「入り口のない空間じゃない?」
 ぼくたちは手をつないだまま、教材準備室を出る。夜の廊下は静かで、暗くて、非常口の緑色の光が床に反射しておぞましい彩りを放つ。土足で廊下をあるく、きゅ、きゅ、という足音がこだまする。職員室の前で立ち止まって、お姉ちゃんを抱き寄せて、キスをする。指を嘗めさせる。スカートに手を入れて、お姉ちゃんはパンツを履いていなくて、濡れた指を濡れた割れ目にじかに滑らせて、膣ににゅるりと沈めます。職員室の前で、お姉ちゃんのおまんこを指で愛撫するちゅっちゅっちゅっちゅっという場違いな音を響かせ、お姉ちゃんはぼくの手首を掴んで首をよこにふりふり。
「だめ、だめ、恥ずかしい…」
「お姉ちゃん、エッチな音…。ここ、職員室の前だよ」
「やっ…、ん、イっちゃ…」
 お姉ちゃんの身体がぎゅーっと縮むのを感じて、ぼくは指を引き抜きます。絶頂の直前で適度に焦らすと、お姉ちゃんはどんなにエッチなことでもしてくれるようになります。焦らしすぎると、怒り出します。
「お姉ちゃん、行くよ。ここでイっちゃ、だめだよ」
「くふ…ん、意地悪……」
 お姉ちゃんは内股でヨタヨタついてくる。保健室とお手洗いの前を通り過ぎると、左手は階段で、下駄箱に通じる廊下。右手はコンクリートの壁。その向こうが人形部屋。
「人形部屋の一部にみえるけど…」
「あたし、一昨日入ったけど、部屋狭かったよ。ドアからこっちは壁だもん」
 ぼくたちは人形のある部屋に近づいて、スマホのライトをつけて中を覗き込みます。たくさんのトルソーが並んでいて、階段側の壁は確かに何もありません。
「へんだね、校舎の外側も壁だから、入れないよここ」とぼく。
「向こう側はお手洗いだもんねぇ」
「あっ」
「なに! ちょっとびっくりさせないで」
「この真上って、理科教材室じゃない? 薬品庫があるとこ」
「えーっ、入るの?」
「ここまで来たら、確かめたいし」
 ぼくはお姉ちゃんの手を曳いて、階段を上る。理科室はいつも鍵がかかっているけど、外から開ける方法があります。でなきゃ、昼休みに理科準備室でセックスできません。ぼくは引き戸にもたれかかって、お尻をよこにスライドさせる。もたれるだけで、奥の戸と手前の戸の間に隙間ができて、鍵をかけている意味がなくなります。僅かな隙間から、ぼくたちは理科室に滑り込む。黒いテーブルの間を抜けて、準備室のドアを開ける。スマホのライトをつける。お昼休みになると、この部屋の一番奥にあるソファの上でセックスすることがあります。他の場所に比べて安全なのですが、セックスのリズムにあわせて棚の教材がカチャカチャ揺れて気が散るのです。気になるのは、そのソファの前に引きずった跡があること。ぼくはお姉ちゃんと二人でソファを引っ張り出します。
「お姉ちゃん、扉があるよ」
 ぼくがライトで照らした床に、金属の扉があります。ぼくはソファの裏側に踏み入れて、扉を引き開けます。ライトで照らすと、さび付いた螺旋階段がみえます。
「莉音、怖いよ。やめよう」
「大丈夫だよ。斉藤先生が入ってるくらいだから」
 ぼくは先に階段を下ります。お姉ちゃんは、しぶしぶついてくる。螺旋階段を照らす手元と、錆びた手摺と、赤茶けた足下がぼんやり浮かんで、降りるに従って空気が冷えて、外の雨音も聞こえなくなります。
「お姉ちゃん、ほら、灯りがみえるよ」
「莉音、やめよう、帰ろう」
「斉藤先生がいるのかも。ぼくたち怒られるかなぁ?」
「莉音! まって」
 ぼくは階段を駆け下ります。お姉ちゃんが怖がるのがすこしおもしろくて、意地悪したくなったのですが、それが、総ての、間違いのもとでした。
 灯りの見えた最下層にたどり着き、半開きだった金属のドアを開けます。煌々と白い明りの降り注ぐ部屋で、大きな筒状の水槽が壁際に並び、部屋の中央には器具の並んだテーブルが鎮座します。遠心分離器と光学顕微鏡、キラキラ輝くスパチュラ、くるくる螺旋を描いた得体の知れないガラス器具に、アルコールランプなどのつるつるした輝きを眼にいれて、入り口にたどり着いたお姉ちゃんに振り返って、やっぱり地下室があった! と言おうとおもいました。
 ぱっ、と血の煙が浮かんで、ぼくの制服と、棒立ちのお姉ちゃんの制服の胸元が赤く染まる。お姉ちゃんの背後に、傷だらけの妹が立っていて、お姉ちゃんのお腹に突き抜けた血まみれの長大な刃物を更に突き立てて、お姉ちゃんはびっくりした表情のままぼくを見つめて、背後の妹に背中から全身を持ちあげられて、声がだせなくて、かわりに、げぼっと血の塊を吐く。ぼくは、大量の血が床にまき散らされるのをみつめて、刃物が引き抜かれて、膝から崩れたお姉ちゃんが、そのまま血だまりに倒れ込むのを支えることもできず、ぼくの思考も、身体も、心も、停止する。
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