R18恋愛官能小説 青山倉庫

太陽ノ樹

第11話「復讐アペルトゥーラ」

 お姉ちゃんが病院の廊下で泣いています。
 ぼくは病室の丸椅子に腰掛けて、ベッドに横たわる本田晃弥の有様をぼんやり眺める。顔と頭にも包帯が巻かれて、右目しか覗いていなくて、右腕と左脚にギプスをはめていて、晃弥の浅い呼吸音だけが響く。消毒液のにおいが蔓延するなか一時間ほどそうして窓から差し込む柔らかな光を眺めているのだけど、大きめの余震があって点滴のスタンドを支えてナースコールするかどうか悩んでいる自分の滑稽さにさえ気づかない。
 つけっぱなしのテレビが競馬予想を流している。ぼくは普段みないテレビで、事件のあったことを識った。
 同級生をリンチした写真をネットに載せて「俺らにたてついた奴の末路」とツイートしたことでちょっとした祭りになり、ものの半日で金魚鉢学園の生徒、八尾政志が特定された。八尾とその友達の橋本が補導されたニュースを今朝自宅でみて、ぼくは晃弥の自宅に連絡を取った。両親は不在で、代わりに晃弥の伯父さんにつながり、病院を教わった。晃弥の伯父さんのことはよくしらないのだけど、伯父さんはぼくのことを識っているようで、自分が行くまで病室に居て欲しいと頼まれました。
「莉音、お姉ちゃん、降りるけど…」
「帰る?」
「ううん、飲み物、買いに行く。莉音はなにがいい?」
「ぼく、お茶がいい」
 お姉ちゃんは眼を真っ赤にしたまま、ポトポト廊下を歩いていく。晃弥が顔の形が変わるくらい暴行されたことが信じられなくて、ぼくたちはしばらく呆然としていたのですが、お姉ちゃんは事態を把握し始めると泣き始めて、慰めてもずっと泣き止まない。お姉ちゃんも本当は晃弥のことが好きなのかもしれないという醜い猜疑が浮かんで、ぼくはそれを掻き消して、なにか悪い夢を見ておびえた仕草で寝返りをうとうとする晃弥をみていると、背後から声をかけられる。
「夏目くん」
 振り返ると、晃弥の伯父さんが手招きする。そっと立ち上がってお辞儀する。叔母さんが病室に入って、ぼくと交代する。ぼくは伯父さんについていく。ひとつ下の階の非常階段にある喫煙所に出る。
「八尾んトコの下のガキが捕まったそうだな、きいたか?」
「はい、ニュースで…」
「ああ、もうニュースになってんのか」
 八尾にはかなり年上の兄がいて、その兄も暴行事件で何度も補導されていたが、とうとう実刑を受けた。まだ刑務所にいて、出てきていない。当時、八尾が学校でイジメを受けて問題になったことがあった。先生の話で、八尾は兄からも暴力を受けることがあったときいた。兄に暴力をふるわれ、父親は酒乱で、母親が蒸発して、学校でイジメられる環境だったら、小学生のミジンコみたいな人格なんて容易に歪む。
 晃弥の伯父さんは煙草に火をつける。携帯をひらく。電話をかける。もしもし、俺だ、いま夏目くんに来て貰ってる、例の件、頼んでいいか? お前が言い出したんだろ、わかった、夕方にはそっち戻る。携帯を閉じて、伯父さんは火をつけたばかりの煙草を消す。
「晃弥は、もう普通の生活にもどれないかもしれないそうだよ」
「そうですか…」
 ぼくは項垂れる。数少ない友達のなかで、一番仲の良い友達を失うかもしれない。小学生の頃からの友達は、幼なじみ、と言えます。幼なじみは、もう増やすことができない。長らうか、喪うしかない。
「伯父さんは、仇を討ちたい」
「ぼくもです」
「頼まれごとを、してもらっても構わないか?」
「なんですか?」
 伯父さんは非常階段の手すりから顔を出して、上下の階を確認する。
「決まった時間に、あるところに行って、あるものを持ち出して欲しい」
「はい」
「できるか?」
「なにかを盗むんですか?」
「そうだ」
「それは、伯父さんにはできないことですか?」
「伯父さんは全容をしってるからな。夏目くんには、細かいことは教えない。よくわからない状態で、おっさんに無理強いされるんだから、罪にならない」
「ぼくは、晃弥の仇が討てるなら、罪になってもいいです」
「罪にはならないし、させない。晃弥の父さんは、北畠署の署長だ。いざとなったら、おっさんと晃弥の父さんが全部被る」
 ぼくは、わかりました、と言う。

 お姉ちゃんと病院を出て、綾川邸に戻る。
 リビングには亜梨子だけがいて、お母さんは緊急保護者会でまだ帰っていない。お姉ちゃんは無言で自分の寝室に閉じこもってしまう。亜梨子はあまり晃弥と親しくないから、ぼくに質問しない。
「お兄ちゃん、携帯忘れていったでしょ。電話あったよ」
「誰から?」
「しらない女の人。彼女?」
「違うよ。なんか言ってた?」
「写真ができましたーって伝えてください、だって。なんの写真?」
「あ…、たぶん、学校関係だとおもう」
 ぼくは小津熱帯園で知り合った女子高生三人にメアドと電話番号を教えていた。メールは亜梨子に読まれることがあるから、電話してくださいと言っておいた覚えがある。亜梨子が隣に座って、携帯を渡してくれる。着信履歴をみて、かける。三人のうち、誰の番号かわからない。
「はい、高井戸です…」
「もしもし、夏目です」
「あー莉音くん? みおりです。さっき電話したら、妹さんが出たみたいでー」
 ミオのこと。赤縁の眼鏡をかけたショタコンでアヒル口の可愛い子。
「すいません、携帯忘れて出かけてて…」
「写真仕上がったの、連絡したくて」
「そうなんですか」
 ぼくは立ち上がって、話しながら寝室に入る。会話を聞かれたくなかったのだけど、亜梨子はついてくる。ベッドに腰掛ける。亜梨子も隣に腰掛ける。亜梨子は電話の先の女がぼくの彼女ではないかと疑っているようです。九歳の少女も嫉妬するのです。
「莉音くん、パソコン持ってる?」
「家族で共用のならありますけど…」
「じぶん専用のは持ってない?」
「夏休み前に買って貰えることになっています。学校のタブレットがありますよ」
「そっかぁ、じゃあ買って貰ってから渡したほうがいいよね」
 亜梨子がぼくのハーフパンツのホックを外す。ボクサーパンツごと膝までおろす。おちんちんを咥える。ちゅるりと飲み込む。ぼくはベッドに仰向けになる。
「莉音、いま電話大丈夫?」
「あ、いいですよ」
「ウフフ…、呼び捨てにしちゃった。あのね、莉音に内緒でお願いがあるの」
「なんですか?」
「ナツやランにも秘密で、二人で逢わない?」
 その一言で、ぼくはみおりの裸を想像して、具体的に愛し合っている場面を想像してしまって、亜梨子のあたまが上下してにゅるにゅるがまとわりつくのが妄想を加速する。ぼくも腰を上下させる。
「い…いいですよ」
「あたしね、莉音を撮りたいの。お姉さんと愛し合ってるのも素敵なんだけど、莉音だけで撮ってみたいんだ。だめ?」
「いえ、大丈夫ですけど…それって」
「それって?」
「ふぅっ、普通の……ですか?」
「あー、うんとね、あたしは莉音の肌が撮りたいな。だってすごく綺麗なんだよ、こんな綺麗な男の子、あたし初めてみたもん。熱帯園では、莉音、脱いでくれなかったけど、あたしの前では、全裸になって欲しいの。莉音だけで恥ずかしかったら、あたしも脱ぐよ」
「頑張ります。でも、ぼく、胸に手術の痕があって……」
「しゅじゅちゅ?」
「心臓移植を、受けたんです。胸の…真ん中と、みっ、右胸の上あたりに、結構、お…あ…大きな傷が、あっ、うっ」
「えーますます興味あるー」
 びゅっびゅっびゅっびゅっ…、小刻みな痙攣をともなって、ぼくは亜梨子の喉に精液を送り込む。亜梨子の喉がにゅるにゅる蠕動して、精液を飲み込んでゆきます。
「莉音ってさぁ、スタイルいいのに、ほら…、おちん…アソコが…大きいじゃん。すごいギャップ萠えだよねー…エヘヘ。ムキムキのマッチョだったらキモいけど、莉音は子ども体型だし、つるつるすべすべでしょー、指先とか綺麗だし、あたしもっと全部みてみたいなー。莉音はお姉さんの身体みてるから、あたしのなんか興味ないだろうけど……」
「そんなこと…ないですよ」
「興味ある?」
「うん、ある」
 亜梨子がじぶんのショーツをおろして、ぼくの股間に跨ります。濡れた粘膜を濡れた陰茎に押し当てる。小刻みに前後して、ちゅくちゅく音をたてます。
「じゃあ、逢ったときに、みせてあげるね。あたし胸ちっちゃいから、あんまりおっぱいは自信ないんだけど…」
「うん…」
「でもアソコはお姉さんとおなじだよ。つるつるなの」
「そうなの?」
「みたい?」
「うん、みたい」
「莉音になら、みせてあげる。いつ逢おうか?」
「土日ならいつでも…」
「じゃあ、ゴールデンウィークにしよっか?」
「うん」
「じゃあ、あけておいてね。あとでまた連絡するからね」
 じゃあね、と言って電話を切る。携帯を枕元に投げる。亜梨子のワンピースを脱がす。自分のシャツを脱ぐ。抱き寄せる。キスをする。舌を絡め合いながら、亜梨子は「なんの話?」ときく。
「授業で撮った写真の受け渡しなんだけど、ぼくパソコンないから観られないって話」
「胸の傷は?」
「夏前に、水着で撮影するって言うから」
「お兄ちゃん、もっこりになっちゃうよ」
 ぼくは亜梨子の髪に指先を巻きつけて、くしゃくしゃにする。亜梨子の髪の毛はさらさらのストレートで、ぼくやお姉ちゃんのような癖がない。キスをする。上下を入れ替わる。からだを起こして、おちんちんの先端で亜梨子の割れ目をにゅるにゅるまさぐる。すこしおしつけると、亜梨子は横を向いて、シーツを掴みます。我慢の表情。にゅるるるっと独特の摩擦感を伴って、三分の二が幼い胎内に包まれる。ぼくは亜梨子を抱き起こして、膝にのせる。乳首を吸う。キスをする。亜梨子は腰を上下させる。
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