R18恋愛官能小説 青山倉庫

太陽ノ樹

第10話「死ノ匂イ」

 金魚鉢から電車で二駅の小津熱帯園は場末の遊園地です。
 ちいさい頃に家族でよく遊びに来た覚えがあって、遊具も当時とあまり変わっていないのですが、アミューズメントが経営難のこの時代に生き残っているのには、あまり識られていない秘密があります。
「はぁ、はぁ、莉音…、おっきぃ…」
 お姉ちゃんがぼくにしがみついて、ぼくはお姉ちゃんの子宮を押し上げながら、肩越しに観覧車の窓から隣のゴンドラを眺める。隣にもカップルが乗っていて、キスをするシルエットがみえる。その向こうもカップルで、なにかお喋りしている。ゴンドラを揺らすのは怖いから、ぼくはお姉ちゃんを突かない。入れっぱなしにして、じっとして、ときどきこんなふうにキスをする。
「はぁ、んむ、お姉ちゃん、セックスしてるの、ぼくらだけだよ」
「だね、えへへ…あん、莉音、動いてないのに、すごいよ」
 小津熱帯園は南国の植物やフルーツ、生き物、民芸品なんかがある遊園地で、観覧車のほかにも回転するコーヒーカップや鏡張りの迷路、ドーナツ形の池のスワン、路面電車などたいくつな施設がいっぱい。入場料は子どもも大人も三千六百円もして、よくしらない人なら絶対にはいらない。ここは、カップルのために緻密に設計された遊技場であることを、昨日、倉野麗奈にききました。園内は熱帯林のように様々な植物によって細かく区切られていて、一見してみえない位置にちいさなベンチや休憩スペースがあり、ほとんどの遊具は二人で遊ぶことを前提につくられていて、あまつさえ開園時間は午後一時から終電直前の零時までで、園内ではお酒も売られているし、出口のある西園の外はホテル街になっています。夫婦もまれにみかけますが、ほとんどが若い男女のカップルで、子ども連れは皆無で、そこかしこで乳繰り合う男女の姿を眼に入れなければ前に進めません。
「莉音、そろそろ終わりだよ。抜くよ…、あっ、ぅン」
 お姉ちゃんの割れ目から、根元まで濡れて輝く陰茎がぬるりと引き抜かれて、ぼくはシャツの下にそれを隠す。お姉ちゃんは黒いワンピース、ぼくはショートデニムと白黒のボーダーシャツ、お互い下着はつけない。ボーダーシャツは袖も着丈も長くて、フロントホックもボタンもしまらないショートデニムが全部隠れる。股間からみぞおちまで異様な膨らみがあるけど、今更気にしてもしょうがない。
 ゴンドラが戻って、青い制服を着て黄色い帽子を被って白い手袋をした係員がドアを開けてくれる。園内の係員はみんな女性だけど、制服を着た警備員はみんな男性です。
 ぼくたちはゴンドラを降りて、手をつないで階段をおりる。お姉ちゃんが、あれ入ろう、とお化け屋敷を指さす。小津熱帯園はワンデーパスみたいな乗り物フリーパスしかないから、施設にチケットを渡す場所はない。お化け屋敷は不人気だから、順番待ちもない。内部はとても複雑で、暗くて、順路がわかりにくいけれど、ぼくとお姉ちゃんは中のことをよく識っている。最初の通路で天井から人形が降ってきて、突き当たりがトイレみたいになっていて、六つのドアから順路を探すのだけど、間違えると機械仕掛けのお化けが出てくる。ぼくたちはまっすぐ順路を進み、牢獄通路にさしかかる。通路の両サイドに酷い拷問を受ける人形が並んでいて、以前はみんなボロをまとっていたのに、今ではほとんどの人形が肌を露わにしていて、お客さんが勝手に配置を変えて、男女の人形がエッチな格好をさせられていて、教育に悪い状態のままになっている。ぼくらはその牢獄の一つに入って、服を脱ぎます。靴だけになって、かつてどれかの人形が据えられていた椅子に座って、お姉ちゃんがぼくを跨いで、にゅるるるっとつながる。ぼくには通路がみえるけれど、お姉ちゃんにはみえない。ぼくは通路を監視しながら、お姉ちゃんを小刻みに突きます。
「あっ、はーっ、あぅあっあっあっあっ…りっ、りおん、すご…」
「やばい、お姉ちゃん、おと、音がすごい…」
 周囲でウオーとかギャーとか十年くらい前に録音された叫び声がループ再生されているから、ぼくたちの声を隠してくれるのですが、ぼくとお姉ちゃんの性器がたてるちゅぷちゅぷという濡れた音はこの空間ではとても異質にきこえます。ぼくが腰を前後に揺らしていると、通らないと思ったお客さんが通路にさしかかる。ぼくはお姉ちゃんを抱きしめたままじっとして、暗がりの人影をみつめる。それは大学生くらいの男女で、四つん這いの女性の人形が鞭を振り上げる男性の人形にバックで突かれている配置を観て、ゲラゲラ笑って手を叩く。ヤバクネヤバクネ、俺が前きたときより酷くなってンだけど、マジ係員仕事しろよ、とか言いながら、近づいてくる。人形に興味を持たれると気づかれてしまう。ぼくらは息を潜める。
「けーくんさっきのリカの反応おかしくない? ねー、あたしリカにメールしていい?」
「なんだよそれ、意味わかんないし」
「なんでけーくんと喋るときだけ声高いの?」
「あーそれは俺がタイプだからだよ」
「あーそうねヨカッタね、じゃあリカにきくね」
「やーめーろーよ。なにきくんだよ」
「けーくんと浮気してますかーって」
「ちょっと、リカはばっしーの彼女じゃん」
「ばっしーアホだからリカに騙されてんのよ」
「リカはともかく、俺がばっしーと雰囲気悪くなるとかマジ勘弁なんだけオほっ…いってー」
 女が男に腹パンして逃げていく。男が追いかけるとき「クソアマ」と呟くのをきく。ぼくたちには全く気づかない。ほっとする。お姉ちゃんが自分から動く。腰を前後に振って、ちゃぷちゃぷくちゃくちゃ、卑猥な響きで通路を充たす。
「はぁはぁ、あっ…、スゴイ、スリルだね、アハハ…あっ」
「う、お姉ちゃ…、ボク、いっ」
 また別の二人が通路に入る。まったく人が入らないはずのお化け屋敷なのに、今日は大人気。ぼくたちはふたたび息を潜めるけど、ぼくは今にもイキそう。暗がりに、ぼくたちとおなじくらいの年齢の女の子が二人、寄り添って歩く。
「なんかエッチくない? これってこういうモノなの?」
「おかしいね、誰かがイタズラしたのかも」
「みてあれ、女の人抱えてる」
「あははっ、てかそれ組体操でもやったよねー」
「組体操って、絶対エロいよねー」
 ぼくは鳥肌が立つ。きいたことのある声が近づいてくる。縞々のニーソックスを履いた子は南条留美子、その隣でライトをつけた携帯を握りしめる眼鏡の子は真島由香。どちらもぼくたちとおなじクラス、金魚鉢学園中学一年一組の女子生徒。なんでここにいるの?
「麗奈ってさ、夏目くんと組体操やってて、イったらしいじゃん」
 眼鏡の由香が言う。早口で、語尾が上がるしゃべり方。
「あっ、きいたーそれ。マジかよーっておもったけど」
「てかなんで? 触ったら感じたの?」
「倒立でさー、夏目くん、アソコでかいじゃん。だから麗奈の股間に密着してたんだって、そんなんでイクわけないじゃん、アハハッ。てか絶対、麗奈は夏目くんのこと好きだよね。イったってのも方便だとおもうよ。イったふりして、夏目くんとまんまと保健室にフケたしさー。大体、股間が触れるくらい身体反る麗奈がいけない子だよ」
「麗奈ってそういう子でしょ。てか保健室に二人きりってアヤシー。やっぱ、ヤってンじゃない? 入学式の後は、佐竹と結婚したいとか言ってたし、昨日は山本くんの子ども産みたいってきいたよ」
「絶対、将来ヤリマンになるタイプだよねー」
「留美子は、ウチのクラスの男子だったら、誰がいい?」
「ウチのクラスって、選択肢すくなくない?」
「あたしは本田くんかなー」
「あーやっぱりねー、わかるー。あたしもあーゆータイプ好き」
「でも、いま夏目くんの女子人気がヤバイじゃん」
「夏目くんはぁ、つきあったらもう他見えなくなるくらい溺れそうで怖い」
「ちんぽでかいしねー」
「きゃははは、デカイよねー。入れたら痛そう」
 怖ろしい女子トークをしながら二人が急接近する。すごい格好をさせられている他の人形は一瞥するだけなのに、よりによってぼくらの前で立ち止まる。留美子がしゃがんで、由香が携帯でぼくらを照らす。お姉ちゃんの膣が、ぎゅううっと締まる。
「この人形、超リアルだよ、ゆかりんちゃんと照らして」
「ほんとだー。なんか子どもっぽいね」
「きゃー、なんかつながってるよ、ほらみて」
「やばーい、ちょっと写真とっていい?」
 由香の携帯がパシャとシャッター音を鳴らす。お姉ちゃんの膣が、ぎゅぎゅぎゅっと痙攣しておちんちんを締めあげて、ぼくはその刺激に堪えられず、射精が始まってしまう。
 びゅうううっ、びゅっく、びゅっくびゅっく、ぼたぼたぼた。
 溢れた精液が床に落ちるすごい音が響くのだけど、由香と留美子は携帯に写った写真をみていて気づかない。ちょっと、なんでこんな人形があるのー、エロくない? 人形じゃなかったりして、元々そういう人形集めてるんじゃない、てかウチらここ入ってからすごい時間経ってるよ、はやく観覧車乗ろうよ。二人はとめどなく浮かんだ言葉を投げ合いながら奥の通路へ歩き去っていく。
「くふっ…、はあ、あ、はぁはぁ、お姉ちゃん…」
「莉音…、ヤバイ」
「写真撮られたね……」
「あたし、イったかも」
「大丈夫?」
「うん、まだ、じっとしてて」
 お姉ちゃんはぶるぶる震えて、ぼくは落ち着くまでお姉ちゃんを抱きしめて、また一組の客が通り過ぎるのをみる。携帯をみてる女と無言の男。まったく気づかない。
 お姉ちゃんの呼吸が落ち着いてくるけど、こんどは制服を着た女子高生三人組が通りがかり、一人がぼくたちに気づいて立ち止まる。ひそひそ話をして、三人ともぼくたちを指さす。もうだめだ、見つかってしまった。そう思うとおちんちんがぎゅっと硬くなって、お姉ちゃんの膣もふたたびぎゅううっと締まって、またイキそう。
 びゅくっびゅくっびゅくっ、ごぼっ、ぶりぶりっ。
 泡だらけの精液が噴き出す音が響いて、女子高生たちがぼくらを遠巻きにみながら嬌声をあげる。ぼくは顔をあげて、涙目で女子高生たちを見上げる。お姉ちゃんがぼくの髪の毛に指を絡めて、前歯がぶつかるくらい乱暴にキスをする。ぼくたちは舌を巻きつけあい、ぬちゃぬちゃ音を響かせて律動する。女子高生たちの声が囁きに変わる。どうみても子どもだよね、あの子かわいくない? 音スゴイんですけど、ほんとにカップルばっかだね、写真撮らせてもらおうよ、やめなよ可哀想だよ。
 ぼくたちはすこし落ち着いてきて、立ち止まったままの女子高生たちの前で、お姉ちゃんがゆっくり腰を浮かす。長大なおちんちんが滑り抜けると、女子高生たちはふたたび驚いて騒ぐ。お姉ちゃんはワンピースを着て、ぼくはショートデニムを履く。おちんちんは上を向いたままで、ぼくは立ち上がり、ボーダーシャツをくるくる丸める間、お姉ちゃんは女子高生たちにみせつけるように、派手な音をならしながらフェラチオする。シャツを頭から被って、裾をおろして、お姉ちゃんがハンカチでびしょ濡れのおちんちんとおまんこを拭いているあいだも、女子高生たちがみている。
「ねぇ、小学生?」
 女子高生の一人がきく。ぼくはシャツでおちんちんを隠す。
「そうです……」
 嘘をついておく。
「彼女も?」
「うん」
「二人、顔似てるね」
「ぼくたち、姉弟です」
「えーっ、姉弟でセックスしてるの?」
 三人とも驚いて、口々に囁き合う。
「だめですか?」
「だめっていうか…」
「おねーさんたち、ぼくたちのみたでしょ。おねーさんたちのも、みせてよ」
「えーっ!?」
「おっぱいみせて、おっぱい」
 ぼくは両手で乳房をもむ形をつくって、喋っていた女子高生に迫る。女子高生たちは胸を隠してきゃーきゃー騒ぐ。別のお客さんが通路に入ってくる。ギャルっぽい子と勘違いファッションの男で、通路に入って来るなり、大騒ぎする。女子高生がそっちに気を取られているあいだに、ぼくはお姉ちゃんの手を取って、奥に進む。黒い壁の部屋から赤錆の通路に抜ける順路だけど、ぼくとお姉ちゃんは従業員通路を通ってショートカットする。出口付近の通路から、壁に飾られた人形が突然迫ってくる唯一のびっくりポイントを通り過ぎて、お化け屋敷から出る。
「スリル通り越して、うちら露出狂だよね」とお姉ちゃんが嗤う。
「ぼく、みられると、きもちよくなる…」
「あたしも…、初めてイったし」
「お姉ちゃんもぼくも変態だね。血は争えないねー」
 ぼくらは手をつないでオープンカフェへ行く。カウンターでレモネードと小津バーガー、ポテト、チキンを注文する。熱帯園の小津バーガーには不思議な味のする野菜や木の実が挟まれていて、食べているうちに味が変わる。セットで千三百円もするけど、食べる価値のあるメニューのひとつ。ぼくらは長いテーブルクロスがかかった円形のバルコニー席に移動する。
「お姉ちゃんは、どうして、ぼくとしようとおもったの?」
「なに? セックス?」
「うん」
「莉音のことが、好きだからだよ」
「ぼくとは、結婚できないよ」
「でもあたしたち、別れることもできないのよ」
 ちょっと真面目な話をしているのですが、お姉ちゃんは小津バーガーをパクパク食べます。女の子は、どんな危機や深刻さに直面しても、食べることを忘れない。ぼくもポテトを摘む。熱帯園のポテトはモス並みに太い。
「莉音の大きいからさぁ、初めての時、正直、怖かった……」
「ごめんね……」
「いいのよ、全然痛くなかったし…。莉音はそのギャップがいいの。ウチのクラスの女子にも、そういうとこウケが良いんだよ」
「うん……」
「それにね、莉音は、青い匂いがするの」
「なにそれ?」
「わかんないけど、良い匂いがするよ。むかしは莉音、日だまりの匂いがして子どもっぽかったけどさ、手術受けた後から、青くて、静かな匂いがするようになったよ。セックスしてるときが、一番強く感じるかも。落ち着くのだけど、そばにいると、エッチな気分になるの。美しいものを観ている雰囲気と、崖っぷちに褄先だって震えているような危なっかしさがないまぜになって、ひたひたに溜まって溢れそうだから、あたしのカラダに注いで貰うの。あたしもおなじになるの、莉音と…」
 お姉ちゃんはそうやって自在に言葉をつかって自由に喋って、ぼくはきいているだけなのに、お姉ちゃんの方が小津バーガーを先に食べ終わる。チキンを囓る。半分以上がクラッシュアイスのレモネードを飲む。囓りかけのチキンをそのままにして、お姉ちゃんはテーブルクロスの中に潜り込む。お姉ちゃんは、テーブルの下で、ぼくのシャツをまくって、おちんちんを引きずり出す。フェラチオを始める。白いテーブルクロスは床上十センチくらいだから、ほとんど見えないのだけど、逆光ならお姉ちゃんが透けてみえるかもしれない。
「あれっ、さっきの小学生だ」
 トレーを持ってバルコニーに出てきた制服姿の女子高生三人組がぼくに気づいて声をかける。ぼくはポテトを頬張ったまま、両手で爪を立てる形にしてガオーと唸る。女子高生たちは、断り無くぼくのテーブルに座る。
「ねぇ、さっきの、妹さんか、お姉さんは?」
「お姉ちゃんは、いま、お手洗いに、行ってます」
 お姉ちゃんの扁桃腺が先っぽをにゅるにゅる刺激して、ぼくはテーブルに肘をついて座り直す。きもちよくて、腕が震える。頬が紅潮するのをかんじる。
「きみ、名前、なんていうの?」
「莉音です」
「お姉さんは?」
「あん…、杏樹」
 お姉ちゃんがぼくの陰嚢をもみくちゃにする。ぼくはレモネードを飲むけれど、身体中の力が抜けそうで、きっとイヤらしい表情をしている。薄い布一枚で仕切られて、日常と非日常の両方を体感する。
「さっきはごめんね、邪魔しちゃったよね…ウフフ」
「いいんです、ぼくたち、みられると、感じちゃう…から」
「そっかぁ、すごいよね、小学生なのに、セックスしてるんだね」
「おねーさんたちは、しないの?」
 三人はまた騒ぎ出す。したいけどー、ランはするよねー、するけど外はむりー、なっちゃん胸おっきいからモテていいよね、胸みてる男なんかヤリ目じゃん、ミオの方がもてるでしょー、あたしウチの男子興味なーいってか莉音くんみたいなカワイイ男の子すきー、きゃーショタコン。
 女の子どうしの会話はまったく隙間がみあたらなくて入れないし、お姉ちゃんの愛撫がとめどなくて震えを堪えるので精一杯。お姉ちゃんはわざと音を立てます。ちゃこっ、ちゃこっ、ちゅこっ、露骨に音が響くけどみんな気づかない。きもちよくてすっごい鳥肌。なっちゃんと呼ばれた胸がおおきくて髪が長くて背の高いギャルっぽい子はお化け屋敷でぼくたちに気づいた子で、ランは短い黒髪と長い睫と白い肌が清楚なかんじですがエッチ経験のありそうな子で、ミオは赤縁の大きな眼鏡をかけたアヒル口のカワイイ子ですが、あまり賢そうではありません。そのミオがぼくに言います。
「莉音くんと、杏樹ちゃんだっけ? お願いがあるんだけど…」
「な…ん、ですか」
 ぼくはときどき、身体を波打たせて、快感を受け流す。落ち着きがない子みたい。
「ウチら、高校の写真科なんだけど、ここで被写体になりそうなカップルみつけてさ、愛し合ってる姿を写真に撮ろうと思ってるの。携帯のカメラとかじゃないよ、ちゃんとしたカメラで、撮影したいんだけど…」
「ふっ、うん……」
「撮らせてくれる?」
「ぼくは…、い、いいけど…」
「お姉さんに許可もらわないといけないよね?」
 答えられずに頭を縦に振る。
「お姉さん、遅いね」
 ぼくは肘をついたまま、俯いてしまって、ぶるぶる震える。もうダメ、イっちゃう。
「おねえ…、ちゃ、くふっ、はぁあっ」
 びゅくびゅくびゅく、激しい痙攣にあわせて、お姉ちゃんがじゅるるっじゅるるっとリズミカルに啜る音が響く。女子高生たちも気づいて、テーブルクロスをまくって中を覗く。ぼくはテーブルに突っ伏して、射精しながら、女子高生たちが姦しく感嘆するのをきく。えーちょっとまじでー? 気づかなかったー、なっがーい、デカいよね、音ヤバイ、あたしひとの観るの初めてかも、あたしもだよ、ちょーすべすべ、毛がないんだよ、やーんめっちゃ飲んでる。ぼくの痙攣が治まると、お姉ちゃんはおちんちんをそのままにして、ミオの股の間から出てくる。スマホの画面をミオにみせる。
「パンツ撮った!」
「きゃーエッチ」
「あたしたち撮って、どこかに公開するの?」
「ううん、しないよ」
「じゃあ、なんで撮るんですか?」
「授業の、課題なの」
「セックスを撮るのが?」
「うん、そう。先生がみるけど…」
「それヤバくないですか?」
「大丈夫、どんな写真でも追求しないって、約束があるの。でないと誰も課題こなせないよ」
「ふうん」
 お姉ちゃんはミオの膝の上に座る。勝手にポテトを食べる。ぼくはまだ身体中がきもちよくて動けない。動いたら、またイキそう。
「今日はカメラ持ってますか?」とお姉ちゃんがきく。
「持ってるよ」
「じゃあ、あたしたち、あちこちでぬちゅぬちゅするから、撮っていいですよ」
 女子高生たちは、ぬちゅぬちゅ、という単語に反応して嗤う。口々に復唱する。ぬちゅぬちゅで溢れる。
「莉音くんは、大丈夫なの?」
「弟は絶倫だから」
 そう言って、お姉ちゃんはミオに抱かれてレモネードを飲む。ゲップをする。弟はいっかいで卵いっこ分くらい出るんですよ、すごくないですか、毎回ですよ、と恥ずかしいことを自慢する。そうやって毎回ドバドバ出していると、ぼくは脱水症状を起こしてしまうから、セックスするときは水分補給が欠かせない。精液の匂いは、ときどき血の臭いを想わせる。生命の雫が、死の匂いを漂わせる皮肉。
 女子高生たちはカメラを持ってぼくたちについてくる。ぼくたちは熱帯園内を走るタイヤの路面電車に乗ってセックスする。女子高生たちが写真を撮る。くるくる回転するコーヒーカップの乗り物にのってセックスする。二人乗りできる背もたれの高いメリーゴーランドにつながったまま乗る。もともと子どもを大人が抱っこして乗るために設計されたのに、危険という理由で子どもの利用が禁止されてしまって、カップルが愛し合う施設に成り果てました。座っているだけでも激しく上下するから、ぼくはお姉ちゃんを突かなくてもきもちいい。女子高生たちも木馬にまたがって写真を撮る。ミラーハウスでは、奥まった柱の影で立ったまま愛し合います。足下を見下ろせばつながってるところがハッキリ映っているのですが、写真を撮っているカメラも写ってしまうので、女子高生たちはなかなかシャッターを切れません。みんなで巨大なスワンに乗ります。ぼくはつながったままスワンを漕いで、漕ぐ脚の力でお姉ちゃんもピストンします。隣に座ったミオは全然漕いでくれなくて、たくさんシャッターを切って、そのシャッター音が響くたびに、ぼくもお姉ちゃんもきもちよくなって、座席がびしょびしょになるくらい射精して、お姉ちゃんはたてなくなるくらい絶頂して、その光景を他のスワンにのったカップルに目撃されて、ぼくたちはスワンを降りるとお姉ちゃんを肩に背負って休憩所に連れて行くのですが、休憩所でもセックスし続けて、その後もいっぱいセックスしたのですが、朦朧とするくらい溺れてしまって、どうやって帰宅したのかすらよく覚えていません。
<< 前のページ 戻る