R18恋愛官能小説 青山倉庫

金魚博士の些末な日常

第8話「お留守番」


 一月四日、水曜日、午前十時十七分、快晴。
 あたしのお腹におさまったシュンの長い陰茎が抜けていく感覚はどことなくうら淋しくて、まだつながってて欲しいのだけど、瞬く間にちゅるりと滑って排出。泡まみれの精液が割れ目からドボリと溢れて、ベッドに敷いたバスタオルの上にこぼれ落ちます。
「すごいいっぱい……」
 真優がそう言って、あたしの割れ目に指を滑らせ、精液の塊を掬う。指先でねばねばしてあたしにみせる。
 今日からお父さんとお母さんはお仕事です。あたしたちは今週いっぱい、六日まではお留守番。来週早々に始業式があります。子どもたちだけの三日間。あたしたち姉妹は一緒に出かけたり、お友達を呼んだり、部屋にこもってゲームをしたり、自由に過ごすことができるのですが、今年はシュンと三人でいいことしています。
「避妊って、しなくていいのかな?」と真優。
「したほうがいいんだろうけど…、どうするの?」とあたし。
「コンドームつけるとか」
「シュンは入らないよきっと」
「お姉ちゃんもあたしもショチョーきてないから、まだ大丈夫だよね」
「真優は関係ないじゃない」
「うん……」
「真優もする?」
 真優はすこし考えて、首を横に振る。
「こわい?」
「うん」
「大丈夫だよ。最初はちょっと痛いけど、最初だけだよ」
「血が出るよ。パンツについちゃうんじゃない?」
「自分で洗えばいいの。そうだ、ちょっと待っててね」
 あたしは震えながら起き上がる。まだ身体中がきもちよくて力が入りません。シュンがあたしを介助してくれる。びしょ濡れのシュンの陰茎はまだ硬くて上を向いたまま、あたしはセックスの途中でシュンが萎れたところをみたことがありません。あたしひとりでこんなに元気で腕白なおちんちんを躾けるなんて無理。真優に手伝ってもらわなければ。
 裸のうえにジャージの上だけを羽織って、部屋を出る。階段を下りる。誰もいないキッチンの前を通って、忍び足でお父さんの部屋に入る。北向きの薄暗い寒い部屋。本棚がひとつと木のデスク、巨大なMacのモニタ、カメラ用品を置いてあるメタルラック。あたしはメタルラックに重なったドライボックスを引っ張り出して、一つずつ中身を確かめる。フィルムカメラとレンズ、レンズ、レンズ、フィルム、清掃用品、みつけた、デジタルビデオカメラ。お正月のあの日、おかーさんにいいつけるからね、とあたしが言ったせいで、お父さんは不安になって隠したのだと思います。お母さんは吝嗇で、お父さんの無駄遣いを許しません。しばらくの間、お父さんはお母さんの前でこのビデオカメラを取り出すことはないはず。あたしはそれを手にとって、デスクに起きっぱなしの三十二ギガのSDカードを差し込む。引っ張り出したものを元に戻して、急いで部屋に戻ります。
 部屋では、仰向けのシュンに真優が覆い被さって、キスをしていました。戻ってきたあたしに驚いて二人同時にふりむいて。
「きゃー、浮気現場みたい。アハハッ、エローい」
 そう言って、あたしはビデオカメラを構えて、二人に向けます。
「お姉ちゃん、恥ずかしいよ」
「いいの、記念なんだから。シュン、真優の上になって」
 あたしが命令すると、シュンは起き上がって、真優を仰向けにします。真優はシュンの濡れたおちんちんを握ったまま、ちゅるちゅるマッサージ。じゃあ、キスして。首筋嘗めて。乳首吸って、ちょっと歯を立ててみて。ゆっくり、ゆっくりだよ。真優は両脚ひろげて、もっと力抜いて。あたしの命令に従順な二人をみていると、だんだんわくわくしてきます。いままで知らなかった自分の性癖というものがじんじんと痺れのように手足に行き渡り、シュンと愛し合っているじかんよりも、あたしは命令するのがすきだと識る。二人のはじめてのセックスを、あたしが支配する。
「あっ……」
 シュンの愛撫が脇腹まで滑り降りて、真優が甘い声を漏らす。たいへん、あたしが手綱を取らないと、みんなばらばらに壊れてしまう。
「シュン、真優の内股を嘗めて。右から。ゆっくり、ゆっくり、そうそう。真優、きもちいい?」
 真優は瞼をとじたままうんうんと頷いて、こんどは、あーっ、あーっ、と先程よりもずっと甘い声で喘ぎます。その声はあたしに似ていて、あたしが自分の声と認識するものよりずっと緩んだ切ない媚声で、まるであたし自身がシュンに愛撫されているようで、じぶんの恥ずかしい姿を撮影しているようで、あたし自身がきもちよくなるために、してほしいことをシュンに命令して、したいことを真優に命令します。
「おまんこ、嘗めて」
 シュンの舌先が真優の割れ目をつるりとなぞる。真優は仰け反って、シュンの髪の毛をくしゃくしゃにする。ねぇ、わざと音たててよ、啜って、くちゅくちゅして、びちょびちょにしてあげて、真優は両脚をもちあげて、もっとひろげて、じぶんでおまんこひろげてごらん、もっと上をむけて、きもちいいでしょ、シュンが真優のおまんこ嘗めてるんだよ、吸われてるのわかる?
 真優の反応はひたすら愛らしくて、シュンはどこまでも従順。時計が十一時三十三分をさして、石油ファンヒータが三時間経過のメロディーを流す。延長。起きてから三時間もいいことしてる。お腹がすいてきたけど、真優の初エッチが優先。あたしはビデオカメラを持つ腕がだるくなってきた。あたしは二人のすぐ横に寝そべって、クッションに肘をついて撮影する。撮る、ということ自体は退屈、撮ったものを後でみるのはすき。いま、の一部を切り取って少しく残しておいて、朧な記憶に頼らず精細な映像として甦る瞬間はそれはプライベートな儀式であって、種としての人類に与えられた特権のひとつです。命令することもそう。あるいは、セックスだってそうかもしれない。動物のなかで、これほど長いじかん、性の享楽に耽る種はそうありません。
「沙希ちゃん、ぼく、真優ちゃんに入れたい……」
「あら、入れたいの?」
「入れていい?」
「だめ、あたしの妹だから、あたしに許しを請うの」
「どうするの?」
「ボクのおちんぽ、真優のおまんこに入れさせてくださいって言うの」
「ぼくのおちんぽ、真優ちゃんのおまんこに、入れさせてください」
「沙希お姉様」
「沙希おねえさま」
「お願いしますは?」
「お願いします」
「いいよ、許してあげる。真優、力抜いてね」
 あたしは仰向けの真優の頭上からカメラを構えて、二人の性器がよく映るように角度を変える。もっと焦らしたいけれど、ハイビジョン画質は、このSDカードでは二十分くらいが限界。
 シュンの先っぽが真優の割れ目をぐにゅりと拡げます。あたしよりちいさな身体の真優にとって、骨格の挿入限界を越えるような巨根がめりめりとねじ込まれるのは耐え難い激痛なのでしょうけど、真優は万歳したまま枕をつかんで、唇を噛んで、初めての痛みに耐えます。シュンは体重をかけて真優の処女におちんぽをおしつけるのですが、先っぽの粘膜だけがまわりのビラビラや丸い膨らみと一緒にめり込んでいるだけで、ちっとも入る気配がなく、それじゃだめとあたしが手を伸ばしかけた瞬間、唐突にちゅるるるっと滑り込んでしまいます。
「あああっ、駄目っ、シュン、いたい」
「大丈夫だよ、真優、ちゃんと入ってるよ」
「お姉ちゃん、痛いよ」
「泣かないの。すこしだけ我慢しなさい」
 シュン、おちんぽ出し入れして。命令と同時にシュンの長大な陰茎がつっちゃつっちゃと卑猥な音を響かせます。その律動にあわせて、真優のびらびらした粘膜がめくれあがってめりこんで、はじめてみる性の結合はあたしにとって衝撃映像。もっと淡泊な性器の出し入れを想像していたのですが、真優の性器は幼くて陰毛が生えていないので、あたしにだって生えていないので、きっとあたしもこんなふうに悲惨な拡張と艶めかしい粘膜の動きをシュンの目の前にさらしているに違いありません。
「真優は、血、出てないよ」
「うん……」
「痛くなくなった?」
「痛いけど、シュンのために我慢する」
 真優は仰向けのままあたしをみあげて、滲んだ涙を指で拭く。眼を閉じて、ピストンのリズムにあわせて浅く呼吸。
「シュンはきもちいい?」
「うん、いいきもち…」
「あたしとどっちがきもちいい?」
「うーん、わかんない」
「真優の方がきもちいいの?」
 あたしは手を伸ばして、真優に出入りする陰茎の根元をぎゅっと掴む。
「ううん、違うの、ちがうの。よく、わからないけど……」
「なにが違うの?」
「ぼく、沙希ちゃんと、真優ちゃんしか、しらないから、はぁっ、はっきりと…は、言えない…けど、すごく似てる…気が、あっあっあっ」
 シュンの腰の回転が速くなって、真優は悲鳴をあげます。あたしの手をちゅるちゅるとなめらかに滑るシュンの直径五センチ以上ある陰茎が真優の柔らかい肉に満遍なくマッサージされていて、セックスの体液に濡れて魚の鱗みたいにヌラヌラ鈍く輝く午前十一時五十七分。あと二分四十三秒で正午になります。あと七分十三秒以内に射精してもらわなければ、すべてをビデオに収めることができません。
「なにが似てるの?」
「おまんこの、感触……というか」
「おまんこが、似てるの?」
「そんな……気が……すっ、あっ。真優…ちゃ……」
 シュンが真優を思い切りつきあげて、あたしにはみせない荒々しさで真優のお尻が浮かぶくらいぐいっとつきあげて、ぶりぶりぶりっと目茶苦茶卑猥な音を響かせて、泡だらけの精液のかたまりがどぼりと噴き出します。ビデオカメラを間近に近づけて、その溢れざまと噴出音を撮りながら、あたしは左手でじぶんのあそこに指を沈めて、さっき中に注がれた濁りがとろとろ流れ出すのを感じるのですが、射精の快感は甦りません。
「真優、フェラチオして。あたしもするから、ほら…」
 シュンの陰茎を掴んで乱暴に引き抜き、じぶんにカメラを向けて、シュンをちゅるんと飲み込みます。女の子の苦みが混じった精液の味。真優の味。真優はもたもた起き上がって、泡と体液に覆われた陰茎に唇を滑らせます。あたしと先っぽを半分こ。シュンはゆっくり仰向けになり、真優はビデオカメラの液晶を回転させてこちらに向けます。あたしは枕の上にカメラを置いて、あたしと真優が画面中央にはいって、その向こうにシュンが映るように角度を調節し、あたしと真優はカメラ目線でシュンのおちんぽを愛撫します。液晶画面にあたしたちの愛撫にくねくねと踊る長大な陰茎が映し出されており、あたしと真優の舌や唇の絡み方まで克明につぶさに記録されていくエロさに、シュンという実体が入った入れ物がシュンの肉体そのものであって、シュンの世界はその肉体のぎりぎり限界域にまで拡がっていて、求める快楽のぶんだけ性器が太く長く膨張しており、それはあたしたちの肉体もおなじであると仮定するとき、あたしたちとシュンの薄い粘膜が密着したこの境界線のくねくねと、形とか味とか匂いとか感触とか温度とかお互いを少しずつ共有する、あるいは与えあい奪いあうことがセックスであって、陰茎を膣で包むことだけじゃなくて、もっといろいろな楽しみがあることを直感します。恋愛や結婚とかの一部などではなく、それだけで独立していて、ほかの様々と少しずつ交わっている。

 午後二十時三十一分、お母さんが帰宅する。
 あたしたちは先にお風呂に入って、おとなしく居間のコタツに入って、あたしたちが共有で使っているノートパソコンでお昼に撮った動画を編集していました。急に帰ってくるものだから、あたしは慌てて編集ソフトを起動したまま画面をスワイプさせてインターネットをみているふりをする。お母さんはキッチンへ直行。もっと早く帰ってこられるはずなのに、安売りのシールが貼られるまで売り場をウロウロしているからこんな時間になります。
「沙希、ちょっとお母さんのお手伝いして」
 あたしはノートパソコンを閉じて、お部屋に戻しておいてと真優にいいつけます。あたしが台所へお手伝いにいくと、シュンも一緒についてきて、あたしたちは二人で冷蔵庫からお野菜さんやドレッシングを出したり、お湯を沸かしたり、ビューラーで人参を剥いたり、おとなしく従順な子どもを演じます。ですが、シュンと手が触れあうたびにお昼のことをおもいだしてドキドキして、さっきみていた動画の映像がぱっと思い浮かんでしまって、お母さんがとなりでジャガイモさんを切っているのに、あたしはじぶんが剥いている人参をみていて、人参よりずっと大きなシュンの性器を連想してしまい、頬を真っ赤にして俯いてしまい、お母さんに人参ちょうだいと言われるまで剥かなくていいところまで剥いていました。
 シュンがどうおもっているかわかりません。シュンが余所の家の子だったら、どんなによかったことでしょう。
 夕食のカレーができるころになって、ようやくお父さんが帰宅する。あたしはビデオカメラを返していません。ですが、お父さんは平日、カメラを触ることがないので、返すのは金曜日にしようと計画します。それまで、あたしたちはセックスをたくさん撮影して、動画を編集して、じぶんのiPodにいれておくつもりです。
 キッチンの食卓ではなく、今夜は居間のコタツの上にカレーが並びます。あたしたちはあたしを中心にして三人並んでおとなしくいただきますと言う。お父さんは年末にもらった辛子高菜を独り占めしてしまう。お母さんは福神漬け、あたしたちは辣韮をのせます。
 ご飯の後はお片付けを手伝って、あたしたちはあたしの部屋にもどる。ふたたびノートパソコンを開いて、座卓を三人で囲み、編集作業を再開します。音楽つけよう、小窓を出そう、かっこいいロゴアニメーションいれよう、あれこれ盛り込んでいるうちに、数分の動画がすごい密度になってしまって、いったん書き出し。音を小さくして再生。ロマンス映画の予告編をテンプレートにしたから本格的なのだけど、ロマンチックなのは最初のあたしとシュンのキスだけで、ハメ撮り、性器をクローズアップ、真優の顔に射精する瞬間をインスタントリプレイ、ピストン運動を背景にあたしとシュンの横顔をポップしたり、その後ろでちょっと古い映画のオープニングみたいな曲が流れていて、あたしと真優は思わず手を叩いて笑ってしまう。シュンは恥ずかしそうな表情で、すごいエッチだよ、と呟きます。編集中からシュンはすっかり勃起してしまって、もてあましているようです。
「今夜はもうダメだよ。お父さんとお母さんいるし」
「そうだね……」
「早めに寝て、明日早くから、いいことしましょ」
「うん、早く寝る」
「シュンは良い子だね」
 あたしはシュンの頭を撫でる。三人で歯磨きに行く。顔を洗う。部屋に戻って、目覚ましをセットする。早寝早起き。夏休みの間は全然できなかったことですが、今年の冬休み、あたしたちは両親の前では、とてもよい子になるのです。
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