R18恋愛官能小説 青山倉庫

金魚博士の些末な日常

第6話「パーフェクト」


 十二月二十八日、水曜日、曇り、最高気温は十五度。
 今年の冬は暖かい。あたしたち三人は、朝ご飯を食べ終わると、着替えて一緒に出かけます。シュンに新しい服を着せる。選んだときはそうでもなかったけど、シュンに着せてみると完璧に女の子になってしまいました。サイズぴったりなはずのショートパンツはシュンのアソコを納めきれず上二つのボタンがとまらないですし、大きめだったはずの女の子用のショーツは全然履けなくて、結局ノーパンになってしまいます。そのままだと見えてしまうので、着丈の長いニットで隠します。前から見ると大丈夫ですが、横から見るとすごく張っていて不格好。シュンはずっとそういう苦労を重ねてきたのでしょうか。
 駅ビル方面は歳末セールで人通りが多いので、あたしたちは市の子ども図書館へ行きます。子ども図書館の前にはくまのプーさんの風船人形があって、子どもたちに蹴飛ばされていつもお尻が真っ黒。図書館の二階は視聴覚ブースがあって、図書館の映像資料とかビデオを借りてみることができます。
「なにか観たいものある?」
 あたしがそうきくと、シュンはオリジナルのチェブラーシカを選ぶ。
「これ、昔のやつだよ。最近のじゃなくていいの?」
「両方観たの。ぼくは古いのが好き」
「真優は?」
「あたしもそれでいいよ」
 あたしたちはそのDVDを持って、角の視聴覚ブースに入る。二人がけの椅子に、あたしと真優でシュンを挟んで座る。角のブースだけ入り口にカーテンがあって、外から見えないようにできます。DVDを再生する。ヘッドホンはつけない。カーテンを引く。あたしと真優は速やかに机の下へ潜り込んで、シュンのアソコをショートパンツの上から撫でる。
「観ないの?」とシュン。
「あたしたち、何回も観たもん」
 フロントのボタンを上から一つずつ外し、下向きに巻かれたシュンのアソコを引きずり出します。真優とふたりで左右半分ずつ舌を這わせると、シュンの長い陰茎はみるみる太く硬くなって、上向きに反り返ります。あたしたちは唇を密着させて、根元と大きな陰嚢をびしょびしょになるまで舐めまわし、艶のある茎をつるつるとのぼって、先っぽをパクリ。
「んっ、はあぁ……」
 シュンが艶めかしい溜息を漏らし、ウットリした眼差しであたしたちを見つめる。
「シュン、イキそうになったら言ってね。飲んであげる」
「誰かくるよ、みられちゃうよ」
「大丈夫だから、じっとして」
 あたしは真優と交代で先っぽを飲み込む。真優がすごく深く飲み込むから、あたしも負けないようにおなじくらい深く飲み込んで、舌をくるくる巻きつけて、扁桃腺で先っぽをにゅるにゅるしごきます。女の子の服を着て、女の子の顔をしたシュンは、敏感に太股が跳ねて、自分の乳首を触りながら、横を向いて涙をにじませます。感じ方まで女の子みたいです。だけど、おちんぽだけはパーフェクトなオトコのフォルム。そんなパーフェクトな部位に、あたしたちは、おちんぽ、などと地方のゆるキャラみたいな名前をつけて、様々な方法で愛でることができます。あたしと真優は、そういう身勝手ないきものなのです。
「イク…、沙希ちゃ……くうぅっ」
 あたしはシュンを咥えたまま、迸る精を口で受け止めます。最初の二回は、びゅーっ、びゅーっと間延びして、その後はびゅくびゅくと短く区切られた痙攣と共に、びっくりする量の精液が噴き出します。シュンの胎内の熱をそのまま感じて、あたしは両頬をいっぱいに膨らませ、思い切って飲み込みます。ごく、ごく、じゅるるっ。喉に焼けるような感じがして、すこし甘苦い。おいしいものではありませんが、これならあたしにも飲めます。一滴もこぼさないように、じゅるじゅる啜りながら慎重に唇を離します。
「お姉ちゃん、飲んだの?」と真優が訊きます。
「シュンの、余裕で飲めるよ。飲むとき喉に来るけど」
「飲んでも大丈夫なの?」
「平気よ。栄養たっぷりなんだから」
「あたしでも飲める?」
「真優にはちょっと早いかな?」
「えー、飲むもん。あたしも飲む」
 真優はシュンの先端を咥えて、ちゅるりと喉の奥まで飲み込んでしまいますが、げぽっ、と変な音を立てて吐き出します。
「真優、慌てちゃだめだよ。そんなに飲んだら苦しいに決まってるじゃない」
「ハァハァ、マジで吐きそうになった……」
 シュンがつらそうに、またイク、と呟き、真優が慌てて咥えます。ただみているだけのあたしにもきこえるくらいの勢いで、びゅーっ、びゅーっ、びゅーっとあたしの口に出したよりも大量に射精して、みるみる真優の頬が膨らみます。ダメ、溢れちゃう。あたしが両手を真優の顎のしたにかざすと、真優はごぶりと喉を蠕動させて、頬にためた精液を一気に飲み干してしてしまいます。
「ぷはぁっ、けほっ、けほっ……。ヤバイ、鼻に……」
 真優が鼻を啜る。あたしたちはくすくす笑って、左右からおちんぽの先端をぱくりと咥えて、にゅるにゅると官能的なキスをする。シュンはあたしたちの頭に手をのせて、椅子からずり落ちそうなくらい腰を突き出して、長い睫が涙に濡れて、キラキラ潤んだ瞳であたしと真優をみつめます。その愁いた眼差しのとき、シュンがなにを想っているのかわからないのですが、こうしてお互いをむさぼりあうたびに、切なくて狂おしい表情であたしの心をかき乱し、かつてのシュンの非道い想い出を遠ざけます。
 あたしは真優の、真優はあたしのアソコに手を伸ばして、狭いブースの中でお互いの割れ目をショーツの上からなぞる。真優が頭を右に傾けているとき、あたしは左に頭を傾けて、お互いわざとぴちゃぴちゃ音を立てて、舌と唇で徹底的にシュンを愛撫する。ショーツに手を入れて、直接真優の粘膜に触れる。指先には柔らかい敏感、舌と唇で硬い敏感を感じ、あたしの割れ目に真優の細い指先がちゅるちゅる出入りします。
 足音が近づく。あたしたちのブースの前で立ち止まり、あたしたちは動きを止めて男性の革靴をカーテンの裾から観察、しばらくして東館の方へ歩き去る。視聴覚コーナーは、午前中はほとんど人が来ないので安心していたのですが、ときどき職員が見回りに来ます。気をつけなくては。
「シュン、入れたい?」
 あたしが訊くと、真優がシュンを飲み込んでしまう。ちゃっこちゃっこと愛撫を響かせます。シュンの頬を溢れた涙が伝います。ほんとうにきもちいいと、甘い声なんて出さずに、ひとは涙を流すのです。
「入れたいけど、怖いよ」
「怖いの?」
「これ以上きもちよくなったら、きがくるっちゃう」
 そう訴えながらもお尻に力を入れたり抜いたりして、もどかしく腰を上下させるシュンの困り果てた表情が可愛らしくて、あたしは腰を浮かしてシュンの濡れた唇をぬるりと嘗めます。どんなにエッチなことをしたって、シュンは受け入れてくれる。
「声出しちゃ、ダメよ」
 そう囁いて、あたしはショーツを脱ぐ。シュンを跨いで、真優がおちんぽを支えてくれて、あたしはゆっくり腰を落とし、シュンの巨根がぬるりと滑り込んでくるのを感じます。四日前のクリスマスイヴ、午後六時十八分に処女を失って以来、まいにちこっそり身体を重ねているのだけど、なんかいつながっても、シュンのおちんぽは太くて長くて、あたしの未熟な膣にはフィットしません。まるでシュンの履いているショートパンツみたい。根元が一握り分余るから、そこを真優が握って、あたしの律動にあわせてシコシコします。これでシュンのおちんぽは、根元から先端まで満遍なくマッサージされます。
「沙希ちゃん、すごい……。ぼく、泣きそうだよぉ」
「シュン、さっきから、泣きっぱなしだよ」
「ぼくばっかり、こんなに……きもちよく…」
「じゃあ、シュンは真優を、きもちよく、してあげて」
「うん。真優ちゃん、こっち座って」
 シュンの隣に真優が寝そべるように座って、シュンは真優のスカートをまくり、ショーツに手を滑らせます。ぴちゅぴちゅ、あん。真優が鼻声を漏らし、あたしは人差し指を唇につけて、しーと言って窘めるのですが、真優もシュンと同じような卑猥な表情であたしをみつめます。ひょっとして、あたしもこんな顔をしているのかしら。じぶんの恥ずかしい姿を想像して、上下運動が緩むと、シュンが積極的にあたしを突き上げます。子宮に、ずしん、ずしん、と大きな衝撃。
「そんな、に、ぶつけ、あ、だっ……」
 シュンは下唇を噛んだまま、真優を愛撫しながらノンストップであたしを突き上げる。ピストンというより、バイブレーション。三十二センチ五ミリの振動が、あたしの未発達な子宮をぶるぶるふるわせて、快楽物質がドバドバ分泌されてあたしのからだじゅうを敏感にする。おまんこ。あたしの身体にはおまんことおなじいやらしいお肉が詰まっていて、股間と乳首と唇に氷山の一角が現れているだけで、ほんとうはぜんぶおまんこなのです。恥ずかしくていやらしい熟れすぎたトマトみたいないきもの。
「くふっ、ふあっ……」
 シュンが息を漏らして振動がとまり、代わりにびゅくびゅくと射精の痙攣が伝わります。先端があたしの子宮をぐーっと押し上げていて、子宮そのものにびゅるっびゅるっと注入されるような感覚があって、頭がぼんやり。どこか下の階で子どもの泣き声が響いて、視聴覚コーナーを歩く足音がきこえてきて、あたしは公共の場にいることを思い出します。
「真優もする?」
 一応訊いてみますが、真優は首を横に振る。一緒にシュンと戯れても、真優にセックスする勇気はありません。あたしはつながったまま鞄からポケットティッシュを出して、ティッシュでおちんぽの根元をくるみ、ゆっくり腰を浮かして抜きとる。先っぽが抜けると、泡だらけの精液の塊がドボリとこぼれて、シュンのおちんぽと太股とソファにボタボタ。ポケットティッシュ一個分の束では拭き取れない量が溢れるのですから、後始末が大変です。あたしはハンドタオルを一枚犠牲にして、あたしとシュンの股間を綺麗に拭きとる。シュンは拭かれてる間も、先っぽから透明の体液をにじませる。きもちよさそうな声を漏らす。あたしは、出しちゃダメよ、と言って、わざと執拗にマッサージして、シュンを困らせます。
 正午を回って、視聴覚コーナーにも人が増えてくる。あたしはまだ胎内に精液が残っている気がするので、ショーツは履きません。勃起してしまったシュンは、おちんぽを上向きにしたままシャツの下に。お腹になにか隠してるみたい。あたしと真優はDVDを元に戻して、手をつないで図書館を出る。鈍色の空を見上げて、粉雪がはらはら舞い落ちるのをみる。

 午後一時七分。帰宅すると、お父さんが居間でカメラを弄っていました。お母さんは長電話をしています。
 あたしたち三人はコタツに入って、狭いコタツの中で脚を複雑に絡めあう。真優は仰向けになる。シュンは籠のミカンをむく。あたしはお父さんがお手入れしているカメラを後ろから眺める。お父さんはあたしにも真優にもその銀色のカメラを触らせない。
 代わりに、お父さんはあたしたちに黒いプラスチックのおもちゃみたいなカメラを買ってくれました。銀色のカメラはフィルムを使いますが、黒いカメラはデジカメで、今年の春頃に買ったばかりです。とても性能が悪くて、暗いところでは全然撮影できませんし、携帯みたいに自動で調節してくれないので、自分で安っぽいボタンをキコキコ弄りながら露出計をあわせなければいけません。券売機のタッチパネルみたいな荒い液晶しかついていないようなカメラを、どうして写真好きなお父さんが買ってくれたのか理解できなかったのですが、三百枚ほど撮った写真のうち、ほとんどがひどい写りだったなか、数十枚ほど素敵な写真が撮れていることに気づいて、あたしも真優も写真を撮るのが楽しくなってきました。
「シュン、写真撮ってあげようか?」
 あたしが鞄から黒いカメラを取り出すと、シュンはミカンを食べながら頭を横に傾けてへんなピースサインをする。シュンが家に来て、初めて撮影。もう一枚。コタツに潜り込んでしまった真優も撮る。
「お姉ちゃん、あたしも撮る」
 真優が手を伸ばす。カメラを渡す。真優はあたしを撮る。あたしは鏡でみるより、写真でみるほうが幼くみえる。このままずっと大人になれないかもしれない。お母さんが暖かいお茶を出してくれる。あたしもミカンをむく。誰もテレビをつけない。我が家は、みんなテレビをみない。お父さんは昔からテレビが嫌い。お母さんは不買運動の延長でテレビをみなくなった。真優はニコ動がすき。あたしは本を読むのがすき。そういえば、シュンもテレビをみない。どうして我が家にテレビがあるのか、どうしてどの家庭にもテレビがあるのかわからない。大地震が来て原発が格納容器ごと爆発したときくらいしか、テレビには価値がない。
「パーフェクトな日本人の冬だねえ」
 真優がおばあちゃんみたいな口調で独りごちて、胸の上でカメラを構えたまま、いつの間にか寝息を立てます。あたしたちが寝てると、以前のシュンはすぐちょっかいを出してきて、本気で怒って叩かれるまでいたずらする子だったのですが、いまのシュンはおとなしく二つ目のミカンをむいているだけ。
 サッシのむこうに見える庭の松の木に、うっすらと雪が積もり始める。ちりぢりに砕いた冬の欠片が、今日もやはり精密な物理演算のもと千分の一ミクロンの狂いもなく、町のすそ野をハイキーに埋め尽くしていく。
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