R18恋愛官能小説 青山倉庫

トッカータ

第7話「ビデオ」


「でかっ」
 あたしの家に初めて来たアヤの第一声。あたしの家は今の中学の校区ギリギリにあって、学校から遠かったけど、自然が多くて住みやすいところだった。もともと別荘として建てた家だから、洋風の外観で、庭師が剪定した草花に囲まれていて、あたしにとっては広すぎる家だった。
 あたしは玄関の鍵を開ける。テンキーパネルにパスワードを入力して、セキュリティを解除する。アヤは恐る恐る、お邪魔しますと言って靴を脱ぐ。
「今日、誰もいないから大丈夫だよ」
「お父さんとかお母さんは?」
「今日は妹に付き添って、ピアノの発表会に行ってるの。今夜は向こうの家に泊まるみたいだから、夜になったら家政婦さんがお弁当持ってきてくれるよ」
「向こうの家って?」
「うち、実家は世田谷なの。あたしだけ住民票移してて、お父さんとお母さんは世田谷区民だよ」
 あたしはキッチンで冷蔵庫を漁る。ティーカップを用意して、昨夜訪問した会計士さんから貰ったケーキをお皿に載せる。アヤを連れて二階に上がる。部屋に入るなり、アヤはすっごーいと声を上げる。あたしのお気に入りのクッションに腰掛ける。
「女の子の部屋って感じ。いいなぁ、あたしもこんな部屋がいい」
「掃除大変だよ。アヤ、優くんと共同部屋だよね。自分のお部屋はないの?」
「ううん、あるよ。あたしが勝手に荷物とか運び込んで、占拠してるの。でもあたしの荷物って漫画とCDとゲームソフトだけだもん。ぬいぐるみとかないし。いやん、これ、かあいい」
 アヤはあたしが達磨本舗で買ったウサギのぬいぐるみを抱っこする。プライズやおもちゃ屋さんのぬいぐるみよりずっとふかふかしてて気持ちいいから、いつの間にか数が増えてしまった。
 あたしは電気ポットからお湯を注いで紅茶を淹れる。エアコンをつける。ケーキを食べる。
「麗羅って、成績いいよね。塾に通ってるの?」
「ううん、うち家庭教師だよ」
「そうなんだぁ。カテキョって高いんでしょ?」
「よく知らないの。でも、お父さんの知り合いの学生さんが来てくれてるから、そんなでもないとおもうけど」
「学生? 大学生? 男の人?」
「うん、小野寺さんって人。背が高くて、声が低いの」
「ふーん、かっこいいの?」
「さぁ、どうだろ。あたしきょーみないし」
 アヤは天真爛漫に笑う。あたしはテレビを点ける。アヤがあたしのリモコンを奪う。チャンネルをころころ変える。
「なんかいろいろやってるよ」
「ウチ、ケーブルテレビだからさ」
「恵まれてるね。めちゃくちゃお嬢様じゃない」
「アヤ、クリームついてる」
 あたしは嘘をついて、アヤの頬にキスをする。そのまま唇を奪う。アヤは仰向けに倒れる。とろけるような瞳であたしを見つめる。あたしはアヤの手首を押さえつけて、再び唇を重ねる。アヤの唇は優くんと違って、柔らかくて、薄くて、女の子らしくあたしに貪られるのを待っている。あたしはアヤの乳房を片手で包む。優しくなで回す。
 あたしはアヤが初めてだったから、タチとかネコとかそういう単語を知っている割に、現実的なことを考えていなかった。あたしもアヤも多分受け身な性格。あたしは急に不安に駆られる。
「麗羅、どうしたの?」
「あたし、エッチなビデオみつけちゃったの」
「なにそれ?」
「あたし忘れ物係じゃん。だから教材室の備品庫に入れるんだけどさ、あそこって生徒から没収したものとか色々保管してあるから、それをチェックして内容を紙に書くの。でもさ、ビデオテープって何が入ってるかわかんないじゃん。だから教材室のデッキで中身を見てみたの。そしたらエッチビデオだった」
「うん…」
「持って帰って来ちゃった」
「えー、麗羅なにしてるのよ」
「観る?」
「うーん、ちょっと観てみたいかも」

 映像の最初の方は予備校の授業風景だけど、早送りすると急に画面が切り替わる。
「やーん、エローい」
 あたしはアヤに寄り添って、部屋のカーテンを閉めて少し暗くして、ボリュームを下げる。
 ビデオは援助交際モノっぽくて、高校の制服を着た女の子二人がヒゲのオヤジに奉仕している。あたしはいつもされるがままで、自分から何かすることはない。女の子たちは頭髪の後退したヒゲのオヤジと何か喋っているけど、ボリュームが小さくて聞こえない。あまり興味がない。女の子は制服を中途半端に脱がされて、頭髪が後退して腹を突き出したヒゲのオヤジに交互に犯される。女の子ふたりはきもちよさそうに喘ぐけど、頭髪が後退して腹を突き出したヒゲのオヤジは無言で動いて、ときおり獣みたいな声で唸る。
「なんか、人がヤってるのって、あんまり心楽しまないよね」とアヤが囁く。
「オジサンがちょっとヤだよね」
「お兄ちゃんと全然違うよね…」
「うん…」
 アヤはあたしを覗き込んで、反応を待っている。あたしはビデオのボリュームを少し上げる。女の子たちがすごくエッチな言葉を発して、大声で喘ぐ。
 あたしはアヤのスカートの中に手を滑らせる。指先で濡れたクロッチをなぞる。アヤはあたしの手首を掴むけど、抵抗しない。あたしはショーツの上からアヤのアソコを愛撫する。アヤはテレビ画面を見つめたまま、時々反応して肩を震わせる。
 ビデオの女の子は、一人がヤられている最中に、もう一人が女の子を愛撫する。ヒゲのオヤジの動きが速くなる。オヤジが性器を抜き取る。女の子の顔を跨ぐ。ぽたぽたと精液の雫が滴る。アヤがくすくす笑う。
「こういうのって、男の子は興奮するのかな」
「するんじゃない? 美しいモノは壊したいって、なんかで見たよ」
「麗羅、かけられたことある?」
 あたしは首を横に振る。アヤはあたしを見つめて言う。
「終わっちゃったよ」
 三十分前後のエッチなビデオは再び予備校の映像に戻る。あたしはリモコンでビデオを止める。テレビのチャンネルを変える。MTVで止める。あたしの指はアヤのショーツの中に滑り込んで、敏感な部分を振動させる。くちゅくちゅ濡れた音が響く。アヤは自分からあたしにキスをしてくれる。舌を絡める。長い長いキス。アヤの手があたしの乳房を包む。アヤの膣口に中指を沈める。アヤが甘い声を漏らす。
「くふぅ…」
「アヤ、きもちいい?」
「はぁっ、はぁはぁ、麗羅…」
「アヤ、かわいい」
「麗羅、聞いてもいい?」
「なぁに?」
「お兄ちゃんに、フェラチオしたことある?」
「うん、あんまり上手じゃないけど…」
「あたし得意だよ、えへへ」
「アヤ、サービス上手そうだよね」
「あたし、女の子にサービスするのって、どうすればいいかわからない」
「あたしもよくわからないかも」
「あはは、だめじゃん」
「頑張るよ」
 アヤは急にあたしを抱きしめる。頬をくっつける。
「ねぇ、麗羅。男の子怖いの?」
「うん、怖い」
「あたしのお兄ちゃんは、平気なの?」
「優くんは、優しいから…」
「じゃあ、あたしたちの間に、入って貰う?」
「どういうこと?」
「さっきのビデオみたいにしてもらうの。お兄ちゃん強いから、ビデオより激しいとおもうよ」
「アヤはそれでいいの? イヤじゃない?」
「麗羅ならいいよ」
 そう言ってアヤは唇を重ねる。あたしの下唇を噛む。アヤの唇は生クリームの味がする。
 あたしたちは何度も何度もキスをする。
<< 前のページ 戻る