R18恋愛官能小説 青山倉庫

絶頂ラジアン

第19話「快楽の点と点」

 つぷり。
 智之お兄ちゃんにまたがって、お兄ちゃんの先っぽだけを沈める。そのままお兄ちゃんの乳首を吸う。つながってるところをみる。先端の丸い部分だけをくわえ込んで、ぴくぴくと蠢くところを、奈々がすごく間近で凝視する。
「ホントに入ったぁ。恵未ちゃん、すごいね」
 奈々が感心する。
 土曜日、雨。あたしは昨日退院したばかりだけど、からだの調子はよくて、どこも痛くない。今日はお母さんが泊まりになって帰れないから、朝から奈々を呼んで、お兄ちゃんの部屋で、初めてセックスをみせる。奈々は以前から、あたしたちのセックスをみたいと言っていた。お母さんは、週末の泊まりが増えた。また男の人かもしれない。
 あたしはゆっくり腰を沈めて、お兄ちゃんを根元まで包んでいく。あたしより背の高いゆきえでさえ飲み込めなかったお兄ちゃんの陰茎を、あたしはすっかり全部包み込めるようになった。ゆきえは、いま、どうしてるだろう?
「全部這入っちゃった。すごい、深いのねー」
「まいにちしてたら、深くなったの」
「おまんこ、伸びたの?」
「えへへ、わかんなっいっ、んっ…あっあっあっ…」
 お兄ちゃんが動き始めて、あたしは声をあげて、奈々がすこし大人しくなる。こんな声は、奈々に聴かせたことがない。恥ずかしくて、からだじゅうが熱くなる。今日はまだ雨が降っていて涼しいのに、汗がじわりと滲む。ますます濡れちゃう。お兄ちゃんのピストン運動にあわせて、ちゃっぷちゃっぷとエッチな音が響く。聴き慣れたおとなのに、奈々に聴かせるには卑猥すぎる。
「奈々ちゃん、この町で、大事件があったの、しってる?」
 お兄ちゃんが唐突に言う。
「しってるー。死体がいっぱいみつかったんだよね」
 奈々が言う。言いながら、あたしとお兄ちゃんの結合をみつめて、眼をはなさない。
「貴婦会のひとたちが、何人も捕まったみたい。お爺さんお婆さんたちが、亡くなるたびに、遺体を片付けて、死んでないふりをしてたんだって」とお兄ちゃんが説明する。
「どうしてそんなことするの?」
「お爺さんお婆さんたちはさ、生きてるだけで、お金がもらえるの」
「そうなの?」
「うん、だったら、死んでも、死んでないふりするよね、みんな」
「うーん…」
 奈々はあたしたちのセックスを観察するのに意識が向いてて、お兄ちゃんの言葉を理解しようとしていない。お兄ちゃんは誰かに喋りたいだけ。この話は、あたしも今朝きいたばかり。今朝も雨が降っていた。なかなかやまない秋の雨。
「日本中、そういう人がいるみたいだけどさ、この町では、貴婦会が仕切って、みんなが、やってたんだ。殺人事件じゃないけど、なんか不気味だよね」
「それでゆきえちゃん、いなくなったの?」
「うん…、ゆきえちゃんは、千葉に、引っ越し…はぁーっ」
 びゅーっびゅーっびゅーっ、びゅっくびゅっくびゅっく。
 お兄ちゃんの射精の振動を感じる。すごい大量。あたしが入院していたあいだの分。
「引っ越したんだぁ。あたしは学年違うから、知ら…きゃっ」
 あたしたちの股間から精液の泡が噴いてとびちって、奈々が悲鳴をあげる。痙攣するおちんちんを深く沈めて、あたしの子宮頚におしつけて、腰を回転させる。腰を上下させる。あたしの両手をお兄ちゃんの胸にあてると、絶妙なあのカタチ。
「お兄ちゃん…あたし」
 ずしーん、と大きな至福。からだじゅうに散らばった快楽の点と点が線で結ばれて、あたしの肉が勝手にぶるぶる引き攣って、智之お兄ちゃんの太くて長いちんぽの不可思議な形状を一瞬だけくっきり胎内に感じて、もうお兄ちゃんとお兄ちゃんのちんぽのことだけで頭がいっぱい。頭のてっぺんから足指の先まで満ちた純白のしあわせを、お兄ちゃんのピストン運動が波打たせる。だめだめだめだめ、零れちゃう。
「恵未ちゃん、なんかいっぱい溢れてるよ」
 奈々が訊く。股間を見下ろす。ちゃっぷちゃっぷとリズムに合わせて、精液に濡れた奈々の表情が現れたり消えたり。
「それ、せーえき」とあたしが答える。
「これ、せーえき? こんなにいっぱい出るの……」
 もういちど、さざ波があたしの脊椎を通り抜ける。あたしは両手をつっぱる。奈々が携帯で写真を撮る。太股がひどい痙攣。
「恵未、この角度がきもちいいの?」
 そう言って残酷に衝く。だめ、きがくるいそう。あられもない、悲鳴、涙がながれて、また絶頂。
「イキやすい角度なんだね」
「あっ、あーっ、あ……、おに、いっ…、だっ、だっ、あっ」
 あたしはお兄ちゃんの胸に崩れ落ちる。奈々の手のひらがあたしのお尻に触れるだけで、感電したみたいにあたしは悲鳴をあげて、涙が溢れ出す。鼻を啜る。しゃくりあげる。奈々が心配そうな声を出す。
「恵未ちゃん、泣いてるの?」
 ごめん、いま、こたえられない。

 ゆきえが千葉の親戚に引き取られた話をお兄ちゃんにききました。
 町も学校も静かだけれど、なにか異変が起きていることは感じる。ゆきえの家に張り巡らされた黄色いテープ、断片的な情報しか流さないテレビ、ありもしない噂で盛り上がるネット、繰り返されるキーワード――年金、大麻、児童ポルノ、組織犯罪、ボランティア、拉致監禁、高齢化、不倫、干物人形、貴婦人の会、トリック、失踪した家族、キノコ栽培に投資詐欺、不況、ニート、高校教師のレイプ事件、メディアはどんどん関係ない方向まで突っ走って、蛍ヶ浦を個々の単語に分解して、恐ろしい魔界都市に組み直してしまう。世の中のことにあんまり興味のないあたしでさえ、気味が悪くなる。この町を肴に勝手気ままに妄想する関係ない大衆の視線。
 あたしは松下朋子に殺されて、その後、松下朋子に救われました。
 幸い、あたしはそのことを覚えていない。息苦しい地下室で、車椅子の青年と、不思議な少女に出会ったことだけ。その後、なにもかも真っ白になって、あたしは淋しくて、お母さんを呼んでいた。お母さんを呼ぶあたしは六歳に戻って、狭いアパートをうろうろして、襖の隙間から漏れてくる声におびえていた。虐められているような悲鳴。あたしが襖をそっと開くと、仰向けのお母さんに男の人が覆い被さって、律動している。振り返った男の人は、智之お兄ちゃんで、お母さんを突きながら、くすくす嗤う。
 眼をひらくと、制服姿のお兄ちゃんがベッド脇にいた。お兄ちゃんの眼は真っ赤。
 大内さんじゃなくて、もっと年配の刑事さんが話を聞きに来た。老人ホームのバルコニーできいた会話は断片的すぎて、あまり役に立たなかったかもしれない。あたしやお兄ちゃんが吸わされた煙は大麻。他にも大勢のひとが、大麻を使っていたのだけど、ほとんどのひとが、それを大麻と知らずに、知らぬ間に誰かに吸わされていた。貴婦会がだれかに誘いをかけるとき、大麻を使って暗示をかけていた。誰が暗示をかけていたかわからない。年配の刑事さんがそう教えてくれた。大内さんと違って、お喋りなひと。
 いろいろなことが一斉に起こって、あたしはなにも考えられなくなった。もう一晩、病院に泊まって、退院した。結局、ゆきえからは連絡がない。その代わり、奈々からメールが来た。いつかの約束を果たして欲しい。奈々は、あたしとお兄ちゃんのセックスをみたくてしょうがない。奈々は、セックスを、お芝居かなにかと勘違いしている節があります。ネットでみるより、生で間近でみたいなんて、九歳の子が言う台詞じゃない。

 窓を濡らす雨粒のおと。知らない間に暴風雨になっている。
「奈々は、セックスしたいの?」
 お兄ちゃんが訊く。
「うん、したい」
「ぼくとする?」
「ううん、恵未が悲しむから……」
「恵未に気兼ねするの?」
「それもあるけど、トモくんは平気なの?」
「ぼくも、恵未が傷つくことはしない」
「ほら、あたしとおなじじゃない」
「そうだね、あはは」
 お兄ちゃんが嗤うと、振動が胎内に伝わって、やっと落ちついたからだがまた火照る。あたしは頭をあげる。お兄ちゃんにキスをする。舌をくるくると絡める。
「はむ…、んむ、あ…、あらし、きもちよくれ、ねてた…」
「恵未、ひっひん、ひてらよ」
「なんれいってるか、わかんない…、あははっ、あっあっあっ、あーっ、あん」
 お兄ちゃんが小刻みに衝く。ちゅるちゅる。奈々がまた携帯で写真を撮る。ベッドの上を這って、あたしに写真をみせる。携帯のちいさな画面に、あたしとお兄ちゃんのアソコがいっぱいに拡がる。セックスしていると、そういう光景をみる機会はないから、妙な興奮を覚える。
「こんなふうに、なってるんだ…、はぁはぁ、エロいね」
「恵未ちゃん、イクって、きもちいいの?」
「きもちいいよ」
「どれくらい?」
「失神しちゃうくらい」
「やっぱり気を失ってたんだ。すごいね、そんなにいいんだ」
 お兄ちゃんは起き上がる。座ったままあたしを衝きあげる。ベッドがゆわんゆわんとたわむ。奈々が潤んだ瞳であたしをみつめる。ゆきえもこんな眼であたしをみていた。ゆきえからまだ連絡なし。だれかとの別れは、こういうものかもしれない。突然の喪失じゃなくて、だんだんと失われたものを実感する。奈々がそばにいなかったら、あたしは淋しさのあまり、お兄ちゃんに八つ当たりしていたかもしれない。
 あたしは奈々の細い二の腕を掴んで、引き寄せる。キスをする。奈々の薄い唇を噛んで、ぬるりと嘗める。
「あっ…」
 奈々はびっくりして、すこし仰け反る。唾液の糸がきらきらと滴る。あたしは上下に揺れながら、奈々をみつめる。奈々もあたしを見つめて、頬を真っ赤にして、うっとりしたまま上下に揺れる。窓に稲光が閃く。遠くで雷が轟く。
 びゅーっびゅーっびゅーっ、お兄ちゃんが噴射する。あたしはお兄ちゃんをぎゅっと抱きしめて、お兄ちゃんもあたしをぎゅっと抱きしめて、キスをしたまま、あたしは胎内のお兄ちゃんもぎゅっと締めつけて、泡がぶりぶりと溢れるおとをきく。密着した胸に、お兄ちゃんの激しい鼓動を感じる。雨が滴るおと。外廊下にまで雨が降り込んで、窓や玄関ドアをザアッと叩く。
 お兄ちゃんはあたしを仰向けにする。衝く。すごい衝撃。あたしは仰け反って、悲鳴をあげる。
「恵未は、この角度がきもちいいの?」
 さっきも同じコトを訊かれた。きもちよすぎて、あたしが答えられないことをしっているくせに、いじわるで、きもちいい。
「おにい…、イキそ…」
 お兄ちゃんは股間を密着させて、あたしを限界まで衝きあげる。そのまま、腰を回転させて、おちんちんの先端で子宮頚をぐるぐると二周する。また絶頂。膣壁が勝手に引き攣って、他にもあちこちが引き攣って、どうしようもない。お兄ちゃんに抱えられた両脚がガックガック痙攣して恥ずかしい。
「奈々ちゃん、退屈したら、テレビ観てていいよ」
 お兄ちゃんがリモコンを指さす。奈々はその場にころんと横になって、涙を滲ませるあたしを眺める。
「うん、いいの。あたし、恵未ちゃん観てる」
「恵未をみていたいの?」
「うん、あたし、いま、恵未ちゃんのこと、すきになった」
「あら、いままで嫌いだったの?」
「ううん。恋に堕ちたの」
「奈々ちゃん、知ってる? 恵未は、おんなのこだよ」
「うん、あたしが男だったらなぁ」
「男だったら、ぼくと奪い合いになるよ」
「奪い合いしないよ。あたし、恵未ちゃんとトモくん、両方に入れるもん」
 あたしは顔を横に向ける。奈々をみつめる。
「あたし、二本もはいらないよ」
「かわりばんこにするよ。あたしが恵未としてるあいだは、トモくんをお口でしてあげるの」
「奈々ちゃん、エッチ…、はぁはぁ」
 お兄ちゃんが再び衝きはじめる。ベッドが揺れる。天井が揺れる。壁に掛かった制服も揺れる。きもちよくてなにも考えられなくなる。お兄ちゃんがあたしの乳首を嘗める。先っぽで子宮頚をこりこり刺激する。汗だくのお兄ちゃんが上下に揺れる。あたしも上下にゆさゆさ揺れる。お兄ちゃんが指先であたしの乳首を摘む。あたしもお兄ちゃんの乳首を摘む。キスをする。舌を絡める。舌を出し入れする。お兄ちゃんが衝くたびに、からだの芯を通って快感が全身に拡がる。うえもしたも、びしょ濡れで絡み合う。目を閉じる。あたしは唇と乳首とアソコだけになって、お兄ちゃんを感じる。お兄ちゃんのことで頭がいっぱい。きもちいい、きもちいい、またイっちゃう、お兄ちゃん。
「恵未…、はあぁぁっ」
 びゅくっびゅくっびゅくっ、お兄ちゃんが激しく射精する。暖かい噴射の刺激がズーンと奥まで響いて、あたしも同時に絶頂する。両脚をお兄ちゃんの腰に巻き付けて、ぐっと引き寄せて、胎内のおちんちんをぎゅーっと締めあげて、抱きしめて、抱きしめられて、頭の芯が痺れて、また気を失いそう。
 気がくるいそうな快楽に痙攣するあたしのすぐ隣で、奈々は静かに寝息をたてる。ゆきえが居たときは交代できたのに、奈々は代わってくれない。あたしは明日まで繰り返し繰り返しお兄ちゃんの求めに答え続けなくちゃならず、途方もない絶頂の繰り返しを想像して、あたしはうれしいやらしあわせやらそらおそろしいやら。おちんちんをおまんこに出し入れするだけの行為なのに、お兄ちゃんは何百種類ものつながりかたとリズムと角度を持っていて、そのひとつひとつであたしに愛を伝えようと必死にもがくのだけれど、結局さいごはあたしの耳元で甘く囁く。
「恵未、あいしてる」
 そのひとことであたしを溶かしてしまう。
 あたしも、あたしも、ことばにならないくらい、あいしてる。
 絶頂のおさまらないまま、お兄ちゃんはあたしを抱き起こして、再び座ったまま衝きあげる。あたしの、すきなカタチ。汗だくの肩越しに、寝そべった奈々の太股を眺めて、上下に揺れて、からだじゅうに満ちた至福が波打って零れて、時計の秒針が一周する間になんかい揺れるかを数えて、いつしか弱まった雨がしとしと滴る音に耳を澄まして、この揺れが時間とベッドと壁とことばと音とあたしたちの躰のすみずみに染みこんで、バラバラにほどけてしまいそうで、あたしはあたしがあたしであるためにお兄ちゃんの肩にしがみついてキスをして、ぜったい離さない。
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