R18恋愛官能小説 青山倉庫

絶頂ラジアン

第16話「厭じゃないです」

「ヨオッ」
 華欄ホテルの地下ホールじゅうに響き渡るような太い声で、大内刑事がぼくに声をかける。
「大内さん。お久しぶりです」
「櫻井くん、こーんなとこでなにやってんの? ハッパ? ハッパか? 最近中学生の間で大流行だろ」
「ぼく、友達のオカルト研究会のひとたちと、ホテルに出る幽霊の正体を探りに来たんです」
「あー、そういう話は上できくからな」
 ぼくたちは穴から久松を助け出したあと、警察に通報した。芝山さんと、数十人の警察官が駆けつけて、ぼくたちは穴の前まで案内した。周囲にはテープが張り巡らされて、歩いていい道にロープが張られる。鑑識のひとたちが照明を持ち込んで、番号札を地面に置いて、写真を撮影する。無数の足跡にドロドロの液体を流し込む。スコップをスプレーして、ブラックライトで照らす。
「いやっしかし、誇り高い臭いだなこれは。おい芝山、便利な芝山、これなんぼあんの?」
「見える範囲では六体あります。この下にどれだけあるのかまでは……」
「これ全部出しちゃえよ」
「いや、西条さん来るまでそっとしておかないと」
「なんだニシさん来んのか、めんどくせえな。おい、ここは臭くてかなんぜ、上でさっきの話聞くぜ」
 大内刑事がぼくたちを促して、地下室から非常階段で地上へ戻る。警察車両が六台も停まっていて、新たに鑑識チームが到着する。バンから降り立った白い髭のおじさんが、大内刑事をみつけるなり、大声をあげる。
「しゅーへー! てめえ現場を…」
「汚してねーよ」
「お前、久田山のマワシ、片付いたのかよ」
「あれ上に引きあげられたんですよ」
「じゃあなーんでこんなとこで油売ってんだよ」
「三島追ってたら、巡り巡って戻ってきたんですよ」
 その怖そうな白髭のおじさんは舌打ちをして、若い鑑識さんたちを連れて地下へおりていく。ぼくたちはホテルの玄関前に設置されたテントの中へ。パイプ椅子に腰掛ける。大内さんがクリップボードをテーブルに置いて、ノートパソコンを拡げる。煙草に火をつける。
「じゃあ、一通り」
 そう言って、大内さんは聴取を始める。ぼくたちがここへ来た経緯と時刻。どのルートで移動したか。なにをみたか。なにをきいたか。どうしたか。パソコンに打ち込んで、時々、クリップボードの図面をめくってぼくらに見せる。ホテルの見取り図。すべてを説明し尽くすと、最初からおさらいする。久松や栗山が誇張した部分があやしくなる。すこしずつ正確な内容になってくる。いつも言葉が乱暴な大内さんも、いまだけは無表情に質問を繰り返すだけ。煙草の煙、青いテント、しとしと降り注ぐ雨音と、ノートパソコンのキーを叩く音、警察官の話し声、発電機のエンジンがぶんぶんうなっている。
 足音、テントに小柄な若い刑事さんが入ってくる。大内さんがクリップボードを見せて、小声で話す。
「五階に人形、この奥の部屋。他の部屋も全部サラって。人形師っぽいのがエレベータ使って逃げてる」
「キンパイしたほが」
「人相わかんねえし」と大内さんが首を横に振る。
「ウチの班でまわります?」
「便利な芝山、置いてってくれ」
「了解」
 小柄な刑事さんはテントを出る。その背中に「ニシにはまだ言うなよ」と大内さんが声をかける。五本目の煙草に火をつける。久松が口を開く。
「あ、あの、刑事さん」
「なんじゃ」
「あの死体って、殺人事件なんですか?」
「しらんわ、だいぶ腐ってるしよ」
「ぼ、ぼくたち、オカルト研究会は、怪奇現象の真実を暴くための組織で……」
 栗山が口を挟む。
「久松くん、やめるんだ、こんなときに。警察組織にぼくたちの存在がしれるとのちのち…」
「違うよ栗山くん。こういうときこそ、正直に話して、ぼくたちは疑いを晴らしておくべきだ」
「疑いとはなんだ、久松くん。ぼくたちが事件に関係しているとでも言うのかね」
「栗山くん、事件の第一発見者は第一被疑者なんだ。ぼくはオカ研にそのような汚名を…」
「はいはい、わーったわーった、静かにしろ。あ、そうだ、櫻井」
 大内さんがぼくを見下ろす。
「この町に死に損ないホームあんだろ」
「なんですかそれ? あ、あー、はい…」
 大内さんの口の悪さには辟易していたけど、だんだん染まってきた。
「お前の名前が、貴婦会のボランティアリストにあったぜ、なんだあれ」
「ああ、松下さんのお母さんに誘われて、お手伝いに行ったことが」
「あのババアどもに誘われても、行くなよ」
「え、なんでですか」
「今日はもういいから、まっすぐ帰れ」
「いや、あの…」
「なんだよ」
「今日、恵未が手伝いに行ってます…」
 大内さんは無言で立ち上がる。煙草の火を消す。テントの入り口で、芝山さんを呼ぶ。
「老人ホームって、何かあるんですか?」
「なんもねえよ」
「なにかあるみたいに、きこえます」
「ホームには、なにもねえよ。あのババアどもは政治支援団体なんだよ。爺婆の汁を啜って、政治豚に献金してんだ」
 大内さんは雨の中を現場へ走り去る。代わりに芝山さんが走ってくる。ぼくたちに、雨が上がるまで雨宿りしていいから、と声をかける。ぼくたちは、帰ります、と言う。

「泥だらけじゃないの。どうしたの?」
 玄関先で早苗さんにタオルを渡される。頭と顔を拭いて、濡れた靴と靴下を脱ぐ。早苗さんは起き抜けで、水玉のパジャマを着たまま。
「友達が穴に落ちちゃって、助けようとしたぼくも泥だらけになってしまって……」
「まぁ、危ないことはやめてよ」
「ごめんなさい…」
 早苗さんはくすくす笑う。ぼくはすこしムっとする。
「可笑しいですか?」
「ううん、トモくんも男の子だね。こんな泥だらけで帰ってくるなんておもわなかった」
 そう言って、早苗さんはぼくの手をひく。脱衣所へ連れて行く。早苗さんはぼくのシャツを脱がす。洗濯機に放り込む。ベルトを外す。濡れたジーンズは脱ぎにくい。ぼくは早苗さんの肩に手を乗せて言う。
「じぶんで、脱ぎます」
「だめよ、トモくん。冷え切ってるから、ちょっと暖まらなくちゃ」
「でも……」
「ちっちゃいころ、一緒にお風呂はいったでしょ」
「あ、うん」
 それはほんとうにちいさいときだ。だけど、ちいさいながらにぼくは早苗さんのことがすきで、一緒にお風呂に入るたびに、生まれつき大きなおちんちんを硬く反り返らせていた。その当時は、どうして勃起するのかしらなかったから、恥ずかしくもなかったのだけど。
 早苗さんはぼくのジーンズを脱がせて、洗濯機に放り込む。早苗さんがぼくのパンツに指をかける。ぼくはその手を掴んで、腰を引く。
「やっ、恥ずかしいです」
「トモくん、パンツまでびしょ濡れだよ」
「ひとりで入れます」
「ひとりで?」
「ぼく、もう中学生ですよ!」
 ちょっと語気が強くなる。早苗さんはびっくりして、肩を震わせる。ごめん、と呟く。
「いや、ぼくは、早苗さんが厭なんじゃなくて、恥ずかしいだけで」
「そうだよね、こんなオバサンと一緒に入りたくないよね」
 眼を潤ませて呟く。ぼくは首を横に振る。
「ちが…そんなことないです」
「ごめんね」
 早苗さんはうつむいて脱衣所を出る。ぼくはその後ろを追いかけて、背中から抱き留める。
「トモくん、いいのよ。叔母さん変な気起こしちゃった」
「そんなことないです、一緒に入ってください」
「厭じゃない?」
「厭じゃないです。その代わり…」
「うん?」
「早苗さんも、脱いでくれますか」
「いいよ…」
 声が甘い。普段、早苗さんはぼくたちにそんな声を発しない。恵未の甘い囁きにそっくりで、ぼくは腰が抜けそうなくらい、その一言に陶酔する。
 脱衣所に戻って、早苗さんは水玉のパジャマを脱ぐ。ぼくの肩に寄り添って、耳元で「外して」と囁く。ぼくは早苗さんの背中に手を回して、ブラジャーのホックを外す。脱いで、籠に入れる。小振りな乳房と、桜色の乳首。ウチの家系はみんな色素が薄い。早苗さんは跪いて、ぼくのパンツを脱がせる。跳ね上がったおちんちんが、お腹にぱちんとあたる。想像以上に硬くなっている。早苗さんが微笑む。
「元気いいね……」
 早苗さんは立ち上がって、ショーツを脱ぐ。ぼくたちは全裸になる。早苗さんには毛が生えていない。ぼくもまだ生えていない。心配していたことだけど、そういう家系かもしれない。お父さんも生えていなかったから。
 一緒に浴室に入って、向かい合ったままシャワーを浴びる。早苗さんの手がぼくの胸を滑って、ぼくの躰を流す。肩を滑って、背中に腕を回す。ぼくは早苗さんに抱かれて、躰が温まるのを感じる。硬くなったおちんちんが、早苗さんのお腹に圧迫されて、自然と腰が前後に揺れる。
「あたしも洗って」
 そう言って、早苗さんは背中を向ける。ぼくは早苗さんの背中を撫でる。首筋に指先を滑らせると、早苗さんは肩を竦めて、眼をとじる。ぼくは早苗さんの胸をさりげなく撫でる。お腹から肩、肩からお腹をゆっくり往復して、やがて乳房を両手で包む。大きくはないけれど、手に吸い付くような弾力があって、めちゃくちゃ柔らかい。桜色の乳首に指先が触れると、早苗さんは、あっ、と甘く喘いで、ぼくの両手首を掴む。声を出さずに、唇が、だあめ、と言う。
 シャワーをとめる。座る。早苗さんは、ぼくを背中から抱くように座る。石鹸を泡立てる。ぼくの背中を洗う。肩を洗う。ぼくの背中に密着して、ぼくの胸を洗う。まるで仕返しするみたいに、ぼくの乳首を摘む。
「トモくんは、いつから恵未のことがすきになったの?」
「えっと、ここへ来てからです」
「それまでは?」
「それまでは、恵未は妹みたいな感じで、そういう好きとは違っていました」
 早苗さんは、ふうん、と言って、ぼくのお腹と両太股を撫でる。早苗さんの指先が、下腹部に迫る。目の前の鏡に映るぼくはだらしない格好で、腰を前に突き出して、体格に合わないサイズの性器を反り返らせて、早苗さんに泡だらけにされている。
「初めてしたのは、いつ?」
「えっ?」
「初めての、セックス」
「えと、夏休みの直前……」
「きもちよかった?」
「あ…、は、い」
 早苗さんの指先が、ぼくの陰茎にまきつく。するするとのぼって、先端まで。にゅるにゅるとマッサージされる。
「恵未と、結婚するの?」
「ケッコン…?」
 唐突に訊かれて、ぼくは言葉の意味が一瞬わからなくなる。早苗さんの左手が、ぼくの陰嚢をもみくちゃにし始める。腰が抜けそう。もう抜けてるかもしれない。
「まだ、考えたことがありません…」
「そうだよね」
「でも、従姉妹同士で結婚できるんですか?」
「できるよ」
 昔、ずっとむかし、恵未がまだちっちゃくて、おんぶして公園で遊びにいっていた頃、恵未は「トモくんのお嫁さんになりたい」と言っていた。恵未は言葉を喋れるようになったのが早かったし、とても滑舌がいいから、半分本気にとらえてしまって、子供心に暑苦しく感じたこともある。
「ちゃんと避妊してる?」
 ぼくはドキリとして、短く「はい」とこたえる。
「こどもどうしでこども作ったら、叔母さん赦さないよ」
「はい……」
「恵未は痛がったりしない?」
「いえ、初めてのとき以外は…」
「優しくしてあげてね」
「はい…」
 早苗さんの左手の指先が、お尻の穴を刺激する。一本、つるりと中に滑り込む。ぼくは情けない声を漏らしてしまう。
「早苗さ…、あん、ぼく…そこ」
「トモくん、おっきいよね。浩一とどっちがおっきかった?」
 浩一、ぼくの失踪したお父さん。最近、想い出す回数も減ってきた。男の子が父親を想う気持ちは儚い。早苗さんはこれみよがしにぼくのおちんちんをしごく。ちゅるちゅる、にちゃにちゃ、すごい音が浴室に響く。
「ぼくのほうが…少しだけ…」
「スゴーイ、トモくん、巨根だ」
「恥ずかし…いです」
「やっぱり、おっきい分、いっぱい出るのかな?」
「あっあっあっ、だめ、さな…え、さん」
「イキそう? いいよ、イって、いいよ」
 恥ずかしくて堪らないのに、早苗さんはマッサージをやめてくれなくて、ぼくが椅子から転げ落ちてもしごき続けて、お尻の穴をかきまわして、ぼくは完全に腰が抜けて抵抗できなくなって、鏡に向けてドバッと派手に射精する。
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