R18恋愛官能小説 青山倉庫

絶頂ラジアン

第9話「発覚」

 交差点。
 横断歩道の向こう側で手を振るゆきえに、あたしもバイバイと言って手を振る。帰り道にふりかえると、住宅街に挟まれた直線の上り坂に逃げ水が揺らめいて、濡れて、緩みきった、酷暑に始まった二学期のいちにちめから風がまったく凪いで動かない。九月、秋の気配はまるで見えず。智之お兄ちゃんは、こういう日に、あちいね、あちいね、と可愛いことばを遣うことをおもいだす。
「恵未ちゃん」
 背後から声をかけられて振り返る。達也が立っている。
「なんですか?」
 あたしはできるだけ冷たく振る舞う。
「こないだのこと、ちゃんと話そうとおもって……」
 達也が言う。あたしは歩き出す。達也がついてくる。
「ねぇ、恵未ちゃんは、ほんとに覚えていないの?」
「覚えてません」
「ねぇ、それって、俺のことを玩んだってこと?」
「あたしが、そんなこと、するわけないじゃないですか」
「どうして?」
「あたし、すきなひとが他にいるんです」
 達也が歩みをとめる。郵便配達のバイクが通り過ぎる。五叉路を右に曲がって、中央公園の西口の前。達也が走ってくる。
「そのすきなひとって、恵未ちゃんと同じ学校?」
「なんでですか?」
「知りたいだけだよ」
「ちがいますよ」
「セックスしてくれるの?」
 あたしは黙って歩く。公園の遊歩道にさしかかると、達也があたしの腕を掴む。携帯の画面を見せる。浴衣の前がはだけて、ほとんど全裸のあたし。あたしが携帯を奪おうとすると、達也は携帯を引っ込める。
「もっとスゴイのあるよ。みたい?」
「最低」
「恵未ちゃんのすきなひとに、これみてもらおうかな」
「やめてください」
「じゃあ、俺とセックスする?」
 あたしは立ち止まる。達也をみあげる。遊歩道を風が吹き抜ける。
「どうしてそんなことするの?」
 声が震えて、涙が溢れてくる。悔しくて、かなしくて、唇を噛んでうつむく。頬を伝う涙を、達也が親指でぬぐう。あたしは顔を背ける。達也があたしの肩に両手を乗せて、突き飛ばす。あたしはよろめいて、歩道脇の茂みにひっくり返る。公園の西口は、通学路じゃなくて、あまり人が通らない。怖い。あたしが起き上がろうとすると、達也が覆い被さってくる。
「いや、いやっ、やめてっ、だれかぁっ」
 達也があたしのワンピースに手を差し込んで、薄いショーツを無理矢理脱がそうとして、びりっと裂ける音。達也がジッパーを下ろす。なにかが太股に触れる。達也の手がものすごい力であたしの口をおさえる。
「達也!」
 達也の背後で声。達也はいちど振り返ってから、あたしを飛び越えて逃げ出す。智之お兄ちゃんが駆け寄ってくる。あたしは泣きながら、お兄ちゃんの肩にしがみつく。

 はぁ、はぁ、はぁ。
 お互いの吐息がお兄ちゃんの部屋に響く。ベッドの上であたしはお兄ちゃんの肩にしがみついて、胡座をかいたお兄ちゃんにまたがって、汗びっしょりになって、ずしんずしんと子宮を衝かれるたびにかすれた声をもらす。まだ震えがとまらない。
「達也がそう言ったの?」
 お兄ちゃんが訊く。あたしはちいさく頷く。
「あたしは、全然、おぼえて…いないの。ゆきえの家に、遊びにいった帰りで、めちゃくちゃ…眠かった。暗くなってから…起きて、頭が、めちゃくちゃ痛くて、雨が、あがってたから、帰った」
「それは、あのゲリラ豪雨の日?」
「そう、だよ」
 お兄ちゃんはあたしを抱いたまま、仰向けになる。ヘッドボードの壁にかかった姿見に、あたしとお兄ちゃんが愛し合う姿が映る。部屋のドアにカレンダーがかかっていて、あたしはお兄ちゃんとエッチした日の右上に赤マジックで点を打つ。先月は真っ赤。先々月、夏休みにはいる直前のあの日、初めてのあの日はハートマーク。今月初日も無事にこうして愛しあっていられる。今夜も点を打たなきゃ。
「ぼくも、おなじコトを言われたんだ。つぐみに……」
「なにを?」
「ぼくとセックスしたって。恵未とおなじ日だよ」
「セックス、したの?」
「覚えてないんだ。でも、してないとおもう」
「どうして?」
「つぐみは、虚言癖があるんだ。それに、ぼくはつぐみのことを、好きにはなれないとおもう」
「どうして?」
「さっき公園で、冗談でじゃれつかれたとき、生理的にムリだった」
「やん、赤西さん、かわいそう…」
「つぐみはかわいいけど、競争心で彼氏を欲しがるタイプっ…、っはぁーっ、きもちい……」
 お兄ちゃんがあたしのお尻を掴んで、すごい勢いで腰を振る。お兄ちゃんがちゅるちゅる出入りして、あたしの臓腑がぐっちゃぐちゃにかきまわされて、いやらしい声が漏れて、狭い部屋に響く。お隣にも響いているかもしれない。お兄ちゃんがあたしを引き寄せて、キスをする。舌をくるくる絡め合う。唇どうしをすりあわせながら、お兄ちゃんが囁く。
「ぼくは恵未のことしか愛せないよ。つぐみは、ライバルにも、ならない」
「あたしのどこがすき?」
「表情がすき。声もすき。きれいな躰もすき。恵未を、恵未とみわけることが…できる、面影が、すき」
「じゃあ、あたしに似てるひとなら、だれでもいいの?」
「恵未に、性格まで似てるひとなんて、いないよ。恵未は、恵未だけ…」
「あたしの、お母さんっ…は? あっあっあっ」
「あーっ、きもちいい、きもちいいよ、恵未、えっ、えみ…、ああっ」
 お兄ちゃんが絶妙な角度で衝きあげて、激しくて、きもちよくて、いまにもイキそう。
「あたし、あっあっあっあたしも、おに…ちゃんとしか、つながりたく、ないよ」
「これから、ずっと、二人だけで、する?」
「ゆきえは、かわいそ…な子だから、特別に、してあげて」
「いきそ…、恵未、イク…、なかに、出ちゃう…よ」
「いいよ、出して、お兄ちゃんの、あたしの、なかに、出して」
 絶妙な角度のまま、お兄ちゃんの先っぽが子宮頚におしつけられて、精液がびゅうううううっと勢いよくあたしの子宮頚を直撃する。きもちよすぎて、ベッドについた両腕がぶるぶる震えて、顔をあげると、鏡に映った部屋のドアが半開きで、お母さんが立っている。お母さんがみている、あたしたちを。
 ズン、という衝撃が子宮を直撃。
 全身の体液に波紋がひろがるように、快感がからだじゅうに染み渡る。胎内のお兄ちゃんを、ぎゅううっと締めあげて、お兄ちゃんはますます勢いよく放って、ぶじゅっ、ぶじゅっ、とあたしたちから泡が吹き出すところを、鏡のむこうでお母さんがみつめる。
 お兄ちゃん。
 あたしが呟くと、お母さんが部屋に入ってくる。あたしの手首を掴む。あたしの頬をぶつ。泣き出す。
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