R18恋愛官能小説 青山倉庫

絶頂ラジアン

第4話「貴婦会の手伝い」

 老人ホームの建物には巨大なホールがあって、窓に暗幕が張られて、舞台のうえで日本舞踊を舞う少女たちを、ホームのお爺さんとお婆さんたちがじっとみつめる。着物を着た少女たちのなかに、ぼくは夏美の姿をみつける。
「はぁ、はぁ、お兄ちゃ……、ヤバイよ。あたし…」
「大丈夫だよ、みえないよ」
「こっ……、こえ、でそ……、ふうっ、うっうっんっんっんっ」
 ホール二階のギャラリ、手摺の前に立ったまま、ぼくは恵未のうしろからつながって、小刻みに突く。恵未は白いワンピースの下になにも着けていない。ぼくはワンピースの裾を恵未の胸元までたくし上げて、平らな胸を撫でる。ちいさな乳首をつまむ。ぼくは恵未のお下がりのホットパンツを膝までおろして、リズムを変えながら衝きあげる。ぼくも下着をつけていない。恵未のお下がりのホットパンツは股上が浅くて、ぼくのどの下着よりもちいさくて、おちんちんだってはみ出してしまう。両脚をひらいて、手摺にもたれかかった恵未は、きもちひい、と囁いて、片手でぼくの袋を掴む。
「まいにち、お兄ちゃんに、せーしいっぱい…出されてたら、あたし、あっ、赤ちゃん、できちゃうよ」
「できたら、どうする?」
「わからない……。子育てって、大変そうだもん」
「早苗さん、怒るよね…」
「あたしも、お母さんみたいに、なるのかな」
「早苗さんみたいに?」
「こどもの前で、セックスするの」
「奈々ちゃん家も、そうらしいよ」
「奈々ちゃんとこは、お父さんとお母さんじゃない。うちのお母さんは、しらない男の人とするんだよ。あたし、お母さん盗られたみたいで、かなしっ…かっ…、はぁーきもちい…」
 ぼくは腰を回転させて、恵未の胎内をかきまわす。おちんちんの先端で、恵未の子宮頚の周囲をぐるぐるとえぐって、こんどは大きな振幅で腰を前後させる。長いおちんちんが出入りする、ちゅるちゅる、ぶちゃぶちゃ、というめちゃくちゃ恥ずかしい音が漏れる。だれかにきこえそう。ぼくは恵未に腰を密着させて、恵未の首筋にキスをする。横を向いた恵未に、唇を重ねる。舌を絡める。手摺を掴む恵未の両手にぼくの手を重ねて、ちいさな恵未のからだが浮き上がりそうなくらい激しく衝きあげる。
「はっあっあっあっ、あいして…るっ、恵未」
「お兄ちゃ……、あたし…、あっ」
 びゅうううっ、びゅくっ、びゅくっ、びゅくっ、脈打ちながらぼくは恵未の胎内に精を注いで、やがてぶくぶくと溢れた泡が床に滴る。ホームの床をあまり汚してはいけない。ぼくはおちんちんを抜き取ってその場にしゃがみ、恵未のお尻に顔を埋める。濡れた割れ目に唇を密着させて、膣口を舌でぐるぐると拡げて、中に放った精を吸い出す。ほっぺがふくれるくらい、いっぱい出てくる。立ち上がる。手摺を掴んだまま震える恵未を振り返らせて、こんどは向かいあったままつながる。ちゅるりと滑り込む。抱き合う。唇を重ねる。口に含んだ精液を、恵未にも口移し。半分ずつ飲む。恵未はくすくす嗤う。
「んふふ、お兄ちゃん、エローい」

 ぼくのお父さんは事故で行方不明になった。
 お母さんはぼくが小さい頃に家を出てしまって、ぼくにはお母さんの記憶があまりない。お父さんを失って、一度は施設に預けられそうになったけれど、お父さんの妹の早苗さんがぼくを引き取ってくれた。恵未は早苗さんの娘で、ぼくの従姉妹です。ぼくたちはもっとちいさい頃から一緒に遊んでいたけれど、五年生になった恵未は急に成長して、もうこどもではなくなっていた。
 ぼくはちいさい頃、早苗叔母さんのことがすきでした。
 母親のいないぼくにとって唯一身近に知る女性だったし、早苗さんはいつもぼくに優しかったし、早苗さんは美人だったし、なにより、早苗さんはぼくの好みのタイプなんだとおもう。だから、ぼくは毎年お父さんと夏休みに早苗さん家に遊びにくるとき、恵未より早苗さんが目当てだった。早苗さんに背中から抱っこされるたびに、生まれつきおおきなアソコがシャツのなかで硬くなった。早苗さんもそれに気づいていたけど、気づかないふり。幼いぼくにとっては、それだけで胸がいっぱいになる出来事だったのだけれど、こども心にそれが哀しい片想いだと諦めていた。だけど、こどもでなくなった恵未が、目鼻立ちがはっきりするにつれて、みるみる早苗さんに似てきた。ぼくが恵未を見る眼も変わってきた。
 それは恋といいます。
 中学生にもなれば、すきになった男女がなにをするのかしっている。ぼくは恵未と触れあうたびに、そのことを想像してしまって、以前のように自然に振る舞うことができなくなった。恵未もおなじように、以前のように大笑いしたり、抱きついたり、ほっぺにキスしたりしなくなった。代わりに、ぼくたちは少し離れてソファに座り、学校のことやお友達のことを喋って、微笑みあいます。恵未が女の子のお友達について喋るとき、ぼくはぼんやり微笑んできいているのだけど、男の子のお友達について喋るとき、ぼくは体中の血を抜かれたように脱力して、ひどく嫉妬する。切なくて苦しい。それはいまでも変わらない。
 ある日、ぼくは恵未に告白しました。すきだよ、というシンプルなことば。
 そのときはキスだけだったけれど、やがてぼくらは結ばれた。ぼくにとって恵未は初めての相手ではなかったけれど、初めてよりも遙かによくて、ぼくは仕合わせだった。だけど、その種の仕合わせはそう長続きしない。なんど抱いても絶頂に達しなかった恵未は、友達のゆきえの前で簡単にイった。それ以来、ぼくたちのセックスにはゆきえが同伴するようになって、やがてぼくとゆきえは恵未の前で結ばれ、恵未とゆきえはぼくの前で愛し合った。
 このいびつな三角関係は、もうひとつき以上続いていて、ぼくはその関係性に触れないようにしている。むやみにその関係をこじらせると、なにもかも失ってしまうような気がする。恵未とゆきえの求めることには、なにも言わずに応えます。二人を相手にするセックスは、二人きりのセックスと違って、劇的な快感がとめどなくおし寄せる。ぼくは唇を噛んで必死に我慢しないと、あっという間に出し尽くして、二人の求めに満足に応えられなくなってしまう。稚い仕草でぼくを誘うおんなのこたちは、時間の許す限りずっと求め続ける、ベッドの上の怪物なのです。きもちいいのに、しんどくて、くるおしい、いきもの。

 お寿司が並ぶ。
 ぼくと恵未は、貴婦会のおばさんたちから離れて座って、お寿司をつまむ。ゆきえと奈々はお爺さんお婆さんたちの間で何かおしゃべりしている。ゆきえのお母さんがぼくたちに麦茶を出してくれる。ゆきえのお母さんは、朋子さんと呼ばれている。貴婦会には松下姓が二人いるから。
 ぼくたちのテーブルをみつけて、着物姿のままの少女が駆けてくる。ぼくのとなりにちょこんと腰掛ける。
「なっちゃん!」
「えへへ、こんにちは。トモくんと恵未ちゃん、貴婦会のお手伝い?」
「そう、松下さんに誘われたんだ」
 夏美は髪を結って、お化粧もしていて、以前よりずっと大人びた表情で、ぼくを見上げる。夏美は失踪した家族のひとりで、ぼくにとっては初めてのおんな。初恋、よりも淡い関係。一緒にいられた時間が短すぎて、ぼくは夏美のことをよくしらないまま。
 恵未は夏美をじっとみている。夏美は着物の袖を振る。
「あたし、毎月ここきて舞ってるよ。松下さんが美浜のだれかと知り合いみたい。あたしたちって、人前に出してもらえるほどじゃないから、こういう機会があるとすごく有り難いの。おじいちゃんたちも喜んでくれるし」
「お芝居じゃなくて、日本舞踊なの?」とぼくは訊く。
「うん、ひとによって、いろいろだよ。あたしは着物を着たかっただけ。でもちょっと暑いなぁ…」
 そう言って、夏美は襟をひろげてパタパタする。女の子の甘い香りがパッと拡がる。恵未は夏美をじっとみている。夏美は恵未にほほえみかける。
「こんにちは恵未ちゃん」
「こんにちは」
「恵未ちゃんは、トモくんの従姉妹だよね」
「うん……、はい」
 夏美はテーブルに身を乗り出す。恵未に顔を近づける。
「恋人どうしだよね?」
「そんなんじゃないです」
「あれ、違うの?」
「どうして、そうおもうんですか?」
「舞台から、みえてたの」
「なにがですか?」
「二人が愛し合ってるところ……」
 恵未は真っ赤になってうつむいてしまう。ぼくが恵未の手を取ろうとすると、恵未はぼくの手の甲をぴしゃりと叩く。
「だからあそこはヤダって言ったのに」
「ごめん……」とぼくは謝る。
 夏美は両手で口を覆って、やっぱりそうだったんだ、と呟く。
「ごめんね、ちゃんと見えたわけじゃないけど、きっと……そうじゃないかなっておもって。あーそうなんだー、へえー、ふうーん。でも似合ってるよね、二人ともかわいいし」
「みんなに、みえてました?」と恵未が訊く。
「ううん。たぶん他の子は踊りに集中してるから。あたしはトモくんを捜してたから、運良くみえただけ」
 恵未はため息をつく。夏美はまたくすくす嗤う。
「でも意外、トモくんって大胆だね。そんなことするタイプにはみえないよ。恵未ちゃん、トモくんはいつもそんな感じ?」
「普段は、もっとふつうです」
「じゃあ、今日はとくべつ?」
「とくべつ……です」
「きもちよかった?」
 恵未はまた真っ赤になる。食堂の入り口で、スーツを着た女性が夏美の名前を呼ぶ。夏美は、はーい、と答えて、ぼくたちに、じゃあまたね、と手を振って席を立つ。入れ替わりに、車椅子に乗ったお爺さんが、果物のかごをもってテーブルに近づく。胸の名札におおきく『新浜』と書いてある。新浜、どこかできいた名前。
「今日は、朋子ちゃんの手伝いか?」
 新浜さんが訊く。ぼくたちは頷く。
「松下さんとこのな、なんちゅーたかな、史郎さん。先月、ホームを出てから、ちーっとも連絡をよこさん。なんぞ、朋子ちゃんに虐待されとるんやないかちゅーて、心配しとるんよ」
「史郎さん?」と恵未。
「しらんか」
「あたし、よく松下さんの家に遊びにいくけど、お爺さんとかお婆さんがいるなんて、きいたことないです」
「あらら、ほんならもうお墓の中かいな。おい、おーい、朋子ちゃん!」
 麦茶をお酌してまわっていたゆきえのお母さんが振り返る。歩いてくる。なんですか新浜さん。
「史郎は、ご臨終かいな?」
「あっはっは、ご臨終って……。相変わらず元気ですよ」
「手紙もよこさんとぜ」
「あら、じゃあ言っておきますよ。お手紙だすように」
「おう。でも、メールはあかんぜ、俺あ携帯ようわからんけ」
「はいはい」
 ゆきえのお母さんが歩み去る。ぼくと恵未はかごから葡萄を一房取る。食堂の向こう側で、奈々とゆきえがWiiで遊んでいる。お爺さんお婆さんたちも参加する。知らない間に、窓からみえていた新浜劇団のバスが消えている。また、さよならを言う前に夏美は姿を消した。だけど、ぼくはもう夏美になにも感じない。ただの、きれいな、少女。
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