R18恋愛官能小説 青山倉庫

快楽コサイン

第5話「幼い好奇心」


「みて恵未これ、ほら」
 ゆきえが雑誌の見開きページをひろげる。モデルさんっぽい男女が、全裸で腰を絡め合う。ゴディバのアイスの記事と、夏服のページの間に、セックスの話題がいっぱい挟まっている。ゆきえはお姉さんがいて、お姉さんの部屋からレディコミや雑誌を持ってくる。エッチな内容ばかりで、最初はすこし嫌だったけど、最近は慣れてきて、好奇心が芽生えた。こういう情報をいくら遮断したって、どこかから漏れきこえてくる。識らないでいるより、こっそり識っていて、識らないふりをするほうがしたたか。
「ねぇ、恵未って、ひとりエッチする?」
「えっ?」
「するんだ」
「しないよ」
「今の反応はなに?」
「してないよー」
 ゆきえは恋の話と、エッチな話がすき。ゆきえはクラスに好きな男の子がいるらしいんだけれど、あたしはそれが誰だかしらない。ゆきえの両親はいまだにラブラブで、毎晩寝室から声がきこえてくるのだそうだ。ウチはお父さんがいないから、そういう環境を想像できない。クラスにも何人か、エッチな話をしたがる子がいるけど、ひとりエッチの話題を口にする子はゆきえだけ。
「あたしはしてるよ。毎晩」
「毎晩?」
「うん、最初は抱き枕でしてたんだけど、最近は指でするよ」
「どんなふうに?」
 ゆきえは襖を確認して、巻きスカートの裾をまくる。ここはお母さんの寝室。襖には鍵がかからないけど、また急にお兄ちゃんが帰宅しても大丈夫。ゆきえはショーツの中に手を入れて、アソコをなぞる。片手で胸をつつむ。ゆきえは成長が早くて、ぺたんこのあたしと違って胸がふくらみ始めている。
「あたし、すっごい、濡れるの」
 ゆきえの呼吸が荒くなる。きもちいいの、と訊く。ゆきえは小さく頷く。くちゃくちゃ、音が響く。あたしは黙って、ゆきえの仕草を観察する。ゆきえはあたしの手を取って、自分の胸にあてる。ねえ、さわって。あたしはゆきえの薄いふくらみをシャツの上からなで回す。乳首に指をあてる。ゆきえの手があたしのシャツのなかに滑り込んで、あたしの乳首をつまむ。自分でするのと違って、人に触られているとへんな感じ。あっ……、あん。ゆきえが声をあげると、ゆきえの指がとまる。あたしはもっと触ってほしくて、ゆきえの手を押しつける。ゆきえの指があたしのお腹の上を滑って、ショーツに触れる。布のうえから刺激する。脇から指が滑り込む。
 濡れてるね。
 ゆきえが囁く。あたしはイケナイ子になった気分で、股をおおきく開く。ゆきえはわざとくちゅくちゅ音をたてる。恥ずかしいけど、きもちいい。震えながら天井をみあげる。もう午後六時をまわった。そとは薄暗い。そのとき、玄関の鍵を開けるおとがする。
「ただいまー」
 智之お兄ちゃんの声がする。あたしたちは飛び起きて、乱れた服を直して、そわそわと部屋をでる。お兄ちゃんに、オカエリナサイ、と言う。ゆきえは、コンニチハ、と言う。お兄ちゃんとゆきえは初めて会う。お兄ちゃんはちょこんと頭を下げて、コンニチハ、と返す。
「あたし、ゆきえちゃんを送っていくね」と言う。
「じゃあ、ぼくも一緒に行くよ。早苗叔母さんから、外に出るときは一緒にいろって、いわれてるから」
「あ、マンションの玄関までだから、大丈夫だよ。スグ戻ってくるね」
 あたしはそう言って、ゆきえの手を曳いて外に出る。雨上がりに急に晴れたから、ひどく蒸し暑くて、風も吹かない。エレベータに乗る。降りる。オートロックの玄関を開けて、そこでバイバイと手を振る。ゆきえはあたしの手を取って、今日のことは二人の秘密ね、と囁く。手を振る。そこに、片山会長が通りかかる。町内会の偉い人だから、夕方になると見回りをしている。あたしはこのおじいさんが苦手。
「こんばんは、櫻井さん」
「こんばんは……」
「智之くんは、もう帰ってきた?」
「え、はい」
「智之くん、百瀬さんと仲がいいの?」
「いいえ、よくしりません。同じクラスじゃないですか?」
「ふうん、どうも家に遊びに行ってるようでね」
「はあ……」
「や、これは失礼しました。お嬢さんには関係ありませんね」
 そう言って、片山会長は立ち去る。あたしは曲がった背中をじっと睨む。

 あたしが戻ってくると、智之お兄ちゃんは制服のズボンを脱いで、ソファに座っていた。
「お兄ちゃん、どうしたのそれ?」
 右脚に包帯をぐるぐる巻きにして、お兄ちゃんは包帯の結び目を直す。
「歩いてると、ズレてきたの」
「怪我したの?」
「うん、エスカレータで足を踏み外して…」
「大丈夫? 痛い?」
「うん、なんか熱い……」
「冷やそうか、氷持ってくるね」
 あたしはキッチンに行って、冷凍庫から保冷剤を取り出す。お兄ちゃんと一緒に食べようとおもっていたカップアイスも取り出す。保冷剤をタオルで包む。戻る。包帯のうえからそっとあてがう。お兄ちゃんは、ありがとう、と言う。エアコンをつける。温度を下げる。アイスを差し出す。
「これ、一緒に食べよう」
 二人でカップアイスを食べる。お兄ちゃんはソファに座って、あたしは絨毯の上に座り込んで、向かい合ってたべる。リビングにはテレビもあるけど、普段あまりつけない。アイスを食べ終わると、急にからだが冷える。二の腕をさする。
「恵未、寒いの?」
「うん、冷たいもの食べたから……」
「お腹冷やさないようにしなくちゃ。エアコン切る?」
「いいよ、平気。お兄ちゃんは暑いでしょ」
「うん…。ねぇ、恵未」
「なあに?」
「抱っこしたげよっか」
「え……?」
「暖めてあげるよ、おいで」
 お兄ちゃんはあたしの腕をとる。立ち上がって、お兄ちゃんの太股をまたぐ。腰を下ろす。お兄ちゃんは、ワンピースの裾をまくって、あたしのお尻をぐいと引き寄せる。まだ乾かないショーツが、お兄ちゃんの熱いところに密着する。硬くて、熱い。お兄ちゃんはあたしの識っているどの男子よりも大きいから、すぐにパンツから飛び出してしまう。ちっちゃい頃は、お風呂場で見せてもらったり、触ったりするのだってチットモ抵抗なかったのに、いまは触れているだけで、いろいろ溢れ出しそう。
「恵未、冷たい……」
 お兄ちゃんが囁く。見下ろすと、わずか十センチの距離にお兄ちゃんの顔がある。
「あたし、スグ冷えるの」
「アソコも?」
「え……」
「すごいよ、濡れてて…」
 お兄ちゃんはあたしのお尻をつかんだまま、ぐいぐいと腰をおしつける。上下に揺り動かすと、布越しなのに、くちゃくちゃ、おとがする。お兄ちゃんをみつめたまま、恥ずかしくて、下唇を噛むけれど、目を逸らせない。
「恵未、かわいくなったね」
「ありがと…」
「お人形さんみたい」
「ゆきえちゃんの方がかわいいよ」
「ゆきえちゃんもかわいいけど……」
「かわいいよ」
「ぼくは恵未の方がすき」
 すき、と言われた途端、じぶんできこえちゃうくらい胸がトクントクンと高鳴って、両脚をお兄ちゃんの腰にまきつけて、指先をお兄ちゃんの柔らかい髪の毛にからめて、首を傾げながらみつめあって、じぶんから腰を前後に揺すぶって、ここから先どうすればいいかしらないけれど、お兄ちゃんにならなにをされてもいい、ううん、されたい、なにかされたい、お兄ちゃんになにかして欲しい。
 ねぇ、お兄ちゃん。
 囁く。お兄ちゃんは、唇で、え、み、と形をつくる。その濡れた果物みたいな唇に、あたしの唇をそっと重ねる。胸がいっぱいで、頭の芯が痺れてくらくらする。お互いの唇を咥えるようにうごめき、つるつると滑り、お兄ちゃんのにおいに包まれて、仕合わせ。
 玄関で鍵を開ける音がする。
 あたしは弾けるようにお兄ちゃんのうえから降りて、アイスのカップを持って、つま先だって足音もなくキッチンへ行く。一度出かけたお母さんが戻ってくる。こんなことは初めて。あたしはアイスのカップを流しで洗ってから捨てる。お母さんがキッチンに顔を出す。
「お母さん、どうしたの?」
「今日、お店休みになっちゃった」
 そう言いながら、冷蔵庫から取り出した漬け物を食べる。あたしも摘む。内股がびしょ濡れで冷たい。あたしはお母さんの部屋のタンスから新しい下着を出して、シャワーを浴びにいく。お兄ちゃんを意識しないようにつとめる。お兄ちゃんは制服のズボンを履いて、自分の部屋に戻る。
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