R18恋愛官能小説 青山倉庫

人形地獄

第14話「降り注ぐ仕打ち」


 病院の待合室、ぼくと綾乃は並んで長椅子に腰掛ける。
 綾乃は肩が露出した黒いワンピイスを着ていて、短パンを履いたぼくと二人、しろい太股を並べあう。怪我をした職人さんが運ばれていくとき廊下に落ちた血の跡を、青い作業服を着た女性が拭き取っている。
「高瀬さん、どうぞこちらへ」
 看護婦さんが綾乃を呼ぶ。この診療所には何人か看護婦さんがいるけど、みんなぼくたちのことをしっている。
 ぼくたちは一階の病室に案内される。ぼくたちは麗奈を迎えにきたのだけど、身支度に時間がかかると云われて、義輝を見舞うことにした。
 病室の引き戸を開いたまま、看護婦さんは中に入ろうとしない。ぼくと綾乃は手をつないで、病室に踏み込む。引き戸が閉まる。塗装の剥げたパイプベッドに横たわる義輝は、相変わらず顔中に包帯が巻かれ、しゅうしゅうと空気を漏らす。ぼくたちをみて、義輝は首を傾ける。モグモグとなにか譫言を発する。
「オニイサマ、綾乃です。おわかりになりますか?」
 綾乃は冷たい声で話しかけて、掛け布団を剥ぐ。ぼくは義輝のおぞましい姿に息を呑むけど、綾乃は冷ややかな笑みを浮かべる。
 両手両脚の骨はいびつに曲がり、全身が水ぶくれに覆われ、青白い肌に血管が浮く。顔と腕の一部は包帯が巻かれているけれど、からだは剥き出し。
「綾乃はお人形になったのですよ、ご覧ください、ホラ、ホラ」
 そう云って、綾乃はその場でくるりと回転する。短いワンピイスの裾がひらりと舞いあがって、綾乃のお尻と股間が露わになる。少女たちに与えられる洋服はますます短くなり、綾乃のワンピイスはギリギリの着丈だけれど、綾乃はそれを恥じない。堂々としていると、扇情的な服もうつくしくみえるものだ。
 義輝が綾乃をみつめるまえで、綾乃はぼくを壁におしつけて、ひざまづく。ぼくの短パンを引きずりおろす。上向きに硬直した性器をシャツのなかからひっぱりだして、義輝の目のまえで咥える。これみよがしに音をたてて愛撫する。みせつける。ぼくは壁を背に腰を突きだしたまま、綾乃の愛撫に身を震わせる。舌がくるくると陰茎に巻きつく。
「あ…、綾乃。ここ、病院だよ」
 そう云いつつも、ぼくは短パンを脱いで、スツウルに載せる。綾乃は立ち上がって、ぼくと唇を重ねる。左脚をあげて、ぼくを胎内に導く。オニイサマにみせてあげてください、と綾乃が囁く。あまり濡れていない粘膜をかき分けて、ぬるりと底に達する。立ったままつながって、つながっているところが義輝にみえるように、ぼくは綾乃の左脚を抱えあげる。
「オニイサマ、ちゃんとご覧になって、綾乃は、あっ…、あや…、あっあっあっ」
 ぼくは綾乃の腰に手を添えて、小刻みに突きあげる。ちゃぷちゃぷと濡れたおとと、綾乃の甘い喘ぎ声が、狭い病室に響く。看護婦さんにきこえないか心配になる。
「あ、綾乃…、どうして、はぁ、はぁ、こ、こんな…」
「オニイ…、サマ。綾乃は、雅之さまに、まいにち、こうして、愛して…いただいて、いますの、アァ…、アッアッアーッ」
 綾乃は奔放に声をあげるけど、病室には誰もこない。診療所に入院している患者はほとんどが二階の病室にいて、一階は寒々としている。誰かが通りかかるような足音もきこえない。消毒液と血のにおいが染みついた病室は、壁のあちこちに茶色の染みがまだらにひろがり、声がよく響く。
「ああっ…、だめっ、イクっ」
 ブシャアッ、と派手な音をたてて、ぼくは精を噴く。床にまき散らす。ぼくの激しい噴射が子宮を直撃して、綾乃のからだも痙攣する。仰け反る綾乃の腰に腕をまわして、抱き留める。からだを反ったまま、ガクガクと震える綾乃は、すぐ横の義輝からはさぞうつくしくみえることだろう。
「アヤノ…、ア…、アァ…」
 義輝が呻く。外側に湾曲した腕を微動させる。
「オレガ、悪カッタ…」
 ぼくは腰を落として、綾乃から性器を引き抜く。綾乃はスリッパを脱いで、震えながら義輝のベッドに登る。ベッドの上に立ち上がり、義輝を跨ぐ。壁に手を突く。
「もっと、悦ばせて、あげるわ…」
 綾乃がそう呟くと、中に放った精液がドボリとこぼれる。義輝の股間に落ちると、義輝は首を左右に振って、呻き声をあげる。綾乃は足指で義輝の性器を挟み、ちゅるちゅるしごく。義輝は悶絶し、瞬く間に射精する。僅かな体液が、義輝のふやけた腹の上に散る。包帯のあいだから覗く細い目に、涙がにじむ。
「キモチイイのね、オニイサマ。嬉しい? 綾乃に足の指で慰められて、嬉しい?」
 義輝の嗚咽が響く。綾乃はぼくのほうへ手を伸ばす。
「ねぇ、雅之さま、のぼって。はやく、お願い、はやく…」
「でも…」
「はやく、乾いちゃうわ、雅之さま」
 ぼくは綾乃の手をとって、ベッドに登る。綾乃は義輝を跨いだまま、壁に手をついて、後ろからしてと、ぼくを誘う。ぼくも義輝をまたいで、ベッドのうえに立ったまま、ふたたび綾乃とつながる。ぶりぶりと卑猥な音を立てて、泡だらけの精が義輝の顔面にしたたる。
「綾乃…、どうして、このような残酷なことを…」
 そう云いつつ、ぼくは綾乃を突く。突きあげる。ぢゅっぽ、ぢゅっぽ、ぶっちょ、ぶっちょ。悲惨なおとを響かせて、体液がぽたぽた滴って、ベッドがひどく軋んで、汚れた壁と髪を振り乱す彩奈をながめて、半開きの窓から風が吹き込んで、義輝はぼくが綾乃の膣を出し入れする光景を凝視して、たくさんの汗がからだじゅうを流れる。
「おんなを…卑下する、兄にとって、これほどの、くっ、屈辱は、はぁ、はぁ、ないでしょう」
「酷すぎるのでは、ありませんか…。綾乃の、実のお兄様…、くうっ」
 こらえきれず、ぼくはまた射精する。ぼくたちの結合が勢いよく精を噴く。義輝の顔面に瀧となって降りそそぐ。義輝は咳き込む。声をあげて泣く。ぼくはいたたまれなくなる。腰を引いて、綾乃から離れる。綾乃は壁に腕と頭をつけたまま、肩を震わせ、嗚咽を漏らす。

 麗奈は浅葱色の着物を着て、待合室でぼくたちを待っていた。
「雅之さま、わざわざお越し頂くなんて…」
「麗奈、もう具合はよろしいのですか?」
「ええ、あの…」
 麗奈と綾乃は目を合わせて、お互いお辞儀をする。
「初めまして綾乃さま、女中の朝倉麗奈と申します」
「ご懐妊、おめでとう御座います。綾乃は麗奈のことを、しっていますわ」
「あら…」
「いつもみていましたもの。麗奈のご奉仕は、とても上手だわ」
 麗奈は頬を赧らめる。ぼくは麗奈の手を取って、紫の風呂敷に包まれた着替えを代わりに持つ。玄関を出ると、強い日差しが照りつける。綾乃が日傘をさして、麗奈と並んであるく。
「暑くなりましたね」
 麗奈が呟く。綾乃がくすくす含み笑い。ぼくと綾乃は汗だくで、薄い洋服が肌にぴったりへばりつく。
「病院のなかは、暑かったでしょう? お待たせしてごめんなさい」
「ウフフ…平気よ麗奈。綾乃は雅之さまと…、スポオツを楽しんでいたの」
「診療所に、そのような施設があるのですか?」
「いいえ、兄の病室で」
「まぁ、病室で…。お兄様のお邪魔にはなりませんか?」
「兄はみてるだけよ。勝ち負けのない、とてもきもちいいスポオツだから、兄には参加資格がないの」
 麗奈はようやくハッと唇をおさえる。ぼくは麗奈と手をつなぐ。麗奈は上目遣いでぼくをみて、そういえば窓の外からお声がきこえていましたわ、と言う。濡れた開襟シャツに浮かんだぼくの性器に目をおとす。
「ぼくは麗奈を抱いても大丈夫なのですか?」
「ええ、もちろん」
 指先に伝わる麗奈のぬくもりを感じていても、このひとがぼくの子を産むのだという実感が湧かない。
 居住区を通過するとき、赤子をおぶった割烹着のおんなや、炭でまっくろになった男や、網を運ぶ漁師や、モオニングを着て港へ急ぎ足の紳士や、島の駐在さんたちとすれ違う。この島は自給自足を目指しているから、さまざまな職業が狭い地域に同居する。
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