R18恋愛官能小説 青山倉庫

人形地獄

第11話「初めての撮影」


 高瀬綾乃とその兄の義輝は、ぼくたちより先に新しいスタヂヲで撮影を始めていた。
 撮影中の実次は集中しているから、ぼくたちに声をかけることはない。珠莉が衝立を用意して、ぼくたちはそこで洋服を脱ぐ。はだかになる。部屋の隅のソファに座る。珠莉が用意した麦茶を飲む。
 高瀬綾乃はサテン生地の短いガウンを羽織り、白塗りの壁を背にポオズをとる。兄の義輝は車椅子に腰掛けて、体中を包帯でぐるぐる巻きにされて、車椅子に固定される。ぼくは二人のことをしっている。
「綾乃、その場でガウンを脱いでください」
 実次が指示する。綾乃はガウンを脱ぐ。床にふわりと落ちる。全裸になって、壁に背をつける。腰を突き出す。シャッタア音がスタヂヲに響く。再び実次がなにか指示をする。綾乃はからだの向きをかえて、お尻を突き出す。綾乃の一挙手一投足には躊躇いがない。綾乃は実次のモデルだから。
 綾乃はぼくたちのように性行為を撮るような被写体ではなくて、美しいお着物やお洋服を着て、云われるがママただポオズをとるだけ。兄の義輝はそんな妹の送り迎えについてくるだけで、写真機の前に立ったことはない。綾乃も、写真機の前で、その肌を晒したことはない。二人はぼくたちと喋ったことがないけど、ぼくたちの撮影をよく見学していた。
 スタヂヲの西側は、今まではなかった床の間の背景と畳の空間があって、珠莉が畳の上に布団を敷く。実次は三脚の写真機から手持ちの写真機に持ち替えて、布団の前に移動する。ぼくたちに指示をする。
「綾乃、布団の上で仰向けになってください。では雅之、いつものように」
 それだけで、ぼくは何をするかわかってしまう。
 綾乃は布団のうえに仰向けになる。珠莉が車椅子をおして、畳の空間の前に移動させる。布団の周りを蚊帳で囲う。ぼくは蚊帳の中に入り、綾乃の傍らに腰を下ろす。綾乃はぼくと同い年だけど、義輝はふたつかみっつとしうえの筈だ。実次にみられることには慣れているけど、義輝の存在はぼくのこころをかき乱す。実のお兄さまの前で、その妹を抱くとは、残酷すぎる。
「雅之さま…」
 綾乃がぼくの手首を掴む。
「綾乃は、処女です…」
「はい…」
「やさしく…してください」
「はい」
 ぼくは余計なことを頭から払拭する。綾乃に覆い被さって、そっと口づけをする。綾乃の指先が、ぼくの肩を撫でて、胸を滑って、乳首を弾く。唇を摺り合わせ、舌を絡める。綾乃は初めてでありながら、己の意志でぼくを愛撫する。綾乃の指先はするすると脇腹を滑って、硬くそりかえった陰茎に絡みつく。優那や遥香でも、もう少し焦らすのに、恥じらうこともなくぼくをマッサアジする。
 実次の写真機がシャッタアを切る音。実次は蚊帳越しに撮影する。車椅子の義輝をファインダーに含めない。
 車椅子に包帯で縛り付けられた義輝の鼻息が荒くなる。椅子の金具がカタカタ震える。ぼくは義輝のほうをみない。ゆっくりゆっくり、綾乃の肌をしたへしたへと滑り降りる。桜色の乳首をくちに含むと、綾乃は鳥肌をたてて、澄んだ声でぼくの耳に囁く。
「綾乃は、雅之さまと同い年ですわ…」
「ええ、そうですね」
 言葉がとぎれる。ぼくは綾乃の薄い胸に頬をのせて、訊く。
「いつも、ぼくたちの撮影をみていましたね」
「はい。雅之さまと、ご姉妹のおふたりを…」
「不快ではありませんでしたか?」
「いいえ…、チットモ。美しかったわ」
「綾乃も、美しいですよ」
 そう云って、ぼくは愛撫を再開する。左右の乳首を、交互に、時間をかけて愛撫する。だけど、綾乃のからだは鉄壁のようだ。どこをせめても、思い通りの反応はかえらない。ときどきからだが跳ねることもあるけど、何に反応しているのかわからない。ぼくは焦り始めるけど、焦っても綾乃は濡れない。ぼくの焦燥を感じ取った綾乃が、上半身を起こして、気遣ってくれる。
「雅之さま、急かないで…。わたくしにも、ご奉仕させてください」
 そういって、ぼくと上下を交替する。仰向けのぼくの顔に、股間を向けて覆い被さる。綾乃のお尻を引き寄せて、滑らかな割れ目を指で開いている間に、綾乃はアッサリぼくを半分ほど呑み込んでしまう。頭を左右に振って、上下に振って、喉の奥でぼくを愛撫する。綾乃の柔らかい舌が陰茎に絡みつく。ぼくは綾乃の割れ目に唇を密着させて、ぐるぐると掻き回す。
 しゅうしゅうと蒸気が漏れるようなおと。ぼくらを見下ろす義輝は、口元も包帯で巻かれて、喋ることができなくて、荒い呼吸が漏れるおとがするばかり。ガーゼの隙間から、爛れた皮膚が覗く。包帯も車椅子も、実次の演出だとおもっていたけど、義輝はほんとうになにか大きな怪我か、大きな火傷を負っている。実次の仮面のしたの皮膚のように、蚯蚓腫れに覆われた浮腫がみえる。ぼくが最後に二人に会ったとき、義輝はコオデュロイの上着を羽織って、実次に貰った扇子を自慢げにヒラヒラさせていた。
「綾乃…、あや、ああっ…ぐっ」
 ぼくは綾乃の喉に精を放つ。綾乃がごくりごくりと喉を鳴らすと、義輝が、うーっうーっと唸る。実次はあくまで義輝を写真に撮らない。何故、ぼくたちの行為をこうも間近で見せつけなければならないのか、仮面のしたで実次が考えていることはわからない。
「はぁはぁ、雅之さま、たくさんこぼしてしまいました…」
「綾乃、あやの、もっと、もっ…」
 ぼくは震えながら起き上がって、綾乃を背中から押し倒す。四つん這いの綾乃に覆い被さって、あまり濡れていない処女に、体液の糸を垂らす巨根をおしつける。
 ぶつり。
 硬く漲った性器が、綾乃の処女をやすやすと貫いて、ずぶずぶと奥深く沈みこんで了う。真後ろの義輝が、うなり声をあげる。ぼくたちのつながっている様子が、はっきりみえるはずだ。ぼくはそのままの格好で、綾乃を突き下ろす。綾乃は呼吸を荒げるだけで、声をださない。はぁ、はぁ、はぁ、ふう、ふう、ふうっ。
 義輝は童貞なのだろうか。ふとそんなことが気になる。おんなをしらない男を童貞と呼ぶことを、ぼくは最近知った。男たちは童貞であることに価値を感じるいきもので、それは処女の価値と等価なのだ。もし義輝が童貞なら、ぼくたちはなんて汚れた不幸ないきものにみえることだろう。
 ぶぢゅうっ。
 卑猥なおとをたてて、綾乃の胎内に放った精が噴出する。ストロボの閃光に照らされて、噴きだした濁流がきらきらとカアブを描いて、畳のうえに散る。
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