R18恋愛官能小説 青山倉庫

人形地獄

第9話「悪阻」


 箱根発の定期船は月に一度しか出ていなくて、一等客室にはぼくたち以外は誰も乗っていない。
 優那と遥香に挟まれてビニルシイトの座席にすわり、さくらを抱いて、ゆっくりしたペエスで突きあげる。船室の窓から青い海がみえる。ぼくたち三人きょうだいは、初めてみる海原。優那が船の舳先に出たがったけれど、実次が許してくれない。向かいの座席には麗奈が横たわり、額の汗を優香理さんがハンカチで拭く。
「麗奈…、大丈夫?」
 ぼくは訊く。優香理さんが振り返る。
「麗奈はもともと乗り物に弱いのです。お兄様のお車でも、よく酔っていましたからね」
 眉間にしわを寄せた麗奈が、譫言のように、まだつかないの、まだつかないの、と問いかける。優香理さんが、まだですよ、と耳元で囁く。
 警察署から帰ったあと、ぼくたちは引っ越しをすることになった。実次が一存で決めたことだけれど、ようやく住み慣れてきたお屋敷を去るのは淋しかった。ほんとうの理由はわからないけれど、実次は「戦禍が近づいている」と云った。
 ラジヲから連日きこえてくる不穏な報道は、ぼくには難しすぎる。政治に詳しい佐喜治にきいた話でも、日本軍が重慶を空襲したとか、給料が天引きされるようになったとか、表面的なことばかり。だけど、世間に立ちこめる淀んだ空気は感じていた。
 汗をかいた麗奈のうなじを優香理さんが拭う。肩口のひらいたワンピイスに汗が滲む。麗羅は急に上半身を起こして、座席の脇に置いてある一斗缶に嘔吐する。
「苦しそうですよ、麗奈、やはりなにかの病気なのではありませんか」
 ぼくは優香理さんに訊く。優香理さんは溜息をつく。
「病気ではありませんよ。ただの悪阻ですから、お薬をのむことができないの」
「ツワリとは、なんですか?」
「麗奈は、妊娠しているのよ」
「妊娠?」
「あなたの子よ」
 ぼくは裸のさくらを抱いたまま、動きを止める。黙り込む。さくらは自ずから腰を振る。狭くて深い粘膜がぼくを呑み込むように蠕動して、陰茎全体をマッサアジする。ちゃぷり、ちゃぷり、と濡れたおとが狭い船室に響く。
「あなたの子を、孕んだのです」
「はぁはぁ…、どうして…?」
 ぼくは首を傾げる。優香理さんは麗奈の唇を水筒のみずで濡らし、ハンカチで拭う。
「おんなの胎内に精を放つと、おんなはお子を孕むものですよ」
「エッ…ああっ」
 優香理さんが大事なはなしをしているのに、ぼくはさくらの胎内に派手に射精する。噴きだした精液が、床にドバッと散らばる。さくらはぼくを抱きしめて、ぼくをぎゅうっと締めつけて、幼い子宮に受けた噴射の衝撃に、またたくまに絶頂する。両脚をつっぱるさくらをしっかり抱きしめて、ぼくは短く痙攣しながら、その小さな子宮に入りきれないほどの大量な精を注ぎ込む。
「もしか…して、さくらも…」
「あなたたちは、大丈夫よ」
「どうして?」
「幼いから…」
「おさないから?」
「麗奈は、としをとりすぎていたのよ」
 膣内につよい振動が走って、さくらの力が抜ける。ぼくに体重を預ける。
 麗奈と遥香がさくらのからだを抱えあげる。ぼくの長い性器が抜けるとき、泡だらけの精液がどぷどぷとこぼれ落ちる。隣に寝かせる。二人はぼくの濡れた性器を奪い合う。交互に呑まれる。しゃぶられる。これみよがしに濡れた音をたてる。ぼくは二人の頭を撫でながら、滑稽なほどがくがくと震える。
「みえてきましたよ」
 優香理さんが窓の外を指さす。
 青い水平線に浮かぶ巨大な軍艦のシルエット。それがおおきな島であることに気づく。
「あの島が…」
 ぼくは呟く。定期船が汽笛を鳴らす。併走する貨物船をゆっくりと追い抜く。
「あれが嶺禅様の遺産です」
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