R18恋愛官能小説 青山倉庫

人形地獄

第5話「十一歳の破瓜」


 はあ、はあ、はあ、あっ、あっ、あっ。
 スタヂヲの中央に敷かれたマットのうえで、仰向けのぼくは汗だくになって麗奈を突きあげる。ぼくの傍らには那須野雅美が寝そべり、優那と遥香は壁際の椅子にこしかけて、頂き物のカルピスを飲む。ぼくたちは全裸だったけど、初めてぼくたちの性を目の当たりにする雅美は、あの薄いヒラヒラしたワンピイスを着る。
 その光景を、実次が手持ちの写真機におさめていく。実次は撥水布で織られた作業着を着て、仮面のうえから頭巾を被り、手袋をはめる。実次は接写をするとき、そうやって全身を防護し、小型の写真機を使う。実次のうしろに控える優香理さんは、いつものように薄着で、濡れタヲルを腕にかけて待つ。
「麗奈、後ろ手をついて、腰を突き出して」
 実次が指示をする。麗奈は云われたとおり、からだを反る。
「こうですか?」
「そう、もっと両脚を拡げて…」
「恥ずかし…、いっあっあっ」
 麗奈とぼくの股間がぶつかる音と、シャッタアを切る音が、小気味よく交互にスタヂヲに反響する。ぼくは腰の回転を緩めずに、雅美に手を伸ばす。二の腕を掴んで、ひきよせる。あとすこし、あとすこしですよ、雅美、ぼくは、ああっ。
 腰を高らかと突きあげて、がくがくと震えて、股間から迸る精がお尻を伝ってマットのうえにボタボタと降る。ぼくは力をうしなって、マットの上にばしゃりと崩れおちる。雅美はぼくを麗奈からひきずりだして、噴きだす精を顔に浴びる。実次が何枚も連続で撮影する。射精が収まると、雅美は優香理さんにタヲルを受け取る。実次がそのタヲルをひったくる。
「まだです、雅美殿。カメラの前で、処女を捧げるのです」
「うぶ…、わたくし、目が…」
「そのまま閉じていてください。目をとじているほうが、美しい」
 麗奈が上半身を起こして、雅美を介添えする。麗奈が雅美にぼくを跨がせて、ぼくは雅美の割れ目に先端をあてがって、濡れた割れ目をくちゃくちゃとまさぐる。こどものころから外で遊ぶことのなかった雅美の肌は白く透きとおって、青白い血管が浮き出てみえる。麗奈が雅美の太股に指先を滑らせる。
「雅美さま、だいじょうぶですよ。ご開帳はどのようなおんなにでも、できますわ」
 麗奈の囁きに耳を傾け、雅美はおもいきりよくストンと腰を落とす。
 ぶつっ、にゅるるるるっ。
 生々しく処女が裂ける感触と、おとこをしらない粘膜に包まれる感覚。雅美は悲鳴をあげて、腰を浮かそうとするけど、ぼくは雅美の太股をがっちりと掴んで離さない。天井で回転するシイリングファンのリズムにあわせて、ぼくは雅美を残酷に突きあげる。ぶっちゃ、ぶっちゃ、ぶっちゃ。
「恥ずかしいおとが、しますよ、雅美」
「ひっ、いっ、いやっ、云わないで」
「痛くありませんか?」
 雅美は首を横に振る。顎と前髪から、精液がぱらぱらと散る。
「都築さん、今日、さくらは来ないのですか?」
 ぼくは実次に訊く。
「さくらは、いつも来ないじゃありませんか」
「さくらは、撮影、しないのですか?」
「きみがさくらを抱けたら、撮りますよ」
 ぼくは雅美を抱き寄せる。ザアメンに濡れた唇を舐める。頬を舐める。顎にぶらさがる体液を啜る。顔中に舌を這わせる。雅美はようやく目をひらいて、舌を絡める。その間も、やすみなく雅美の硬い子宮を突きほぐす。

 スタヂヲからの帰り道、実次はぼくたちを下町へ連れて行く。
 実次は知り合いの写真屋に所用だった。こぢんまりとした写真館の脇に、実次と佐喜治の車が駐まる。実次の用が済むまで、ぼくたちは向かいの団子屋に入る。優香理さんが大学芋を、ぼくたちきょうだい三人は焼き餅を、麗奈と雅美はめずらしい和菓子を注文する。小豆色の着物をきた娘が、煎茶を運んでくる。
「嗚呼、お腹がすきましたわ」
 雅美が両脚をぶらぶらさせながら言う。麗奈が微笑む。
「ふふ…、いつもなにも食べたくないと仰るのに、今日はどうされたのです?」
「数年ぶりに、あれだけからだを動かしたのよ。お腹がすくに決まってるわ」
「雅美さま、とてもお上手でしたわ。雅之さまもあんなにお悦びになって…」
「いけないわ麗奈…、おもいだしてしまうじゃない」
 雅美は麗奈に身を寄せて、ぼくをみつめる。店の娘がお団子と和菓子を運んでくる。優香理さんが黄金色の芋を摘む。店の入り口に黒ブチの猫がたちどまる。女将さんがカウンタアの向こうから覗き込んで「あらゴンちゃん、ご飯はまだですよ」と声をかけると、にゃあと一声鳴く。
「飼い猫ですか?」
 優香理さんが女将に訊く。女将は焼いた魚の身をほぐしながら云う。
「いいえ、ここの町内の店先を回って暮らしてる猫ですよ。近頃は野良猫も野良犬も増えてねえ…」
 カウンタアのラヂヲが、東京港開港のニュースを流す。ぼくたちきょうだいは、海をみたことがない。教科書に載っている軍艦の挿絵から想像するに、とても広くて深い湖のようなところだ。
 女将が焼き魚を店先の猫に与える。雅美と麗奈は花の蕾を模した和菓子を竹串で半分に割って、お互い半分ずつ交換する。ぼくが餅をもにゅもにゅ咀嚼していると、雅美が覗きこんで笑う。
「雅之は上品な食べ方をしますね」
「おとこらしく、ありませんか?」とぼくは訊く。
「いいえ、雅之は上品なほうがいいわ。だって、かわいらしいんですもの」
 そう云われて、ぼくは微笑む。雅美はぼくの太股に手をのせる。ぼくを毛嫌いしているさくらと違って、雅美はからだを触れあわせることに抵抗がない。
「わたくしは、いつまでご一緒できるのでしょうか…」
「さぁ、それは都築さんに訊いてみないと」とぼくは首を捻る。
「ひょっとして、今日で、オシマイなのでは」
 雅美が目を伏せる。優香理さんが云う。
「そんなことはないでしょう。お兄様は、すくなくともふた月はかかるとお考えです」
「それは、ほんとう?」
「ええ、紫陽花の咲いているあいだは、うちに居られますよ」
 雅美は無邪気な笑みを湛えて、ぼくの耳元で、ヨカッタワ、ヨカッタワ、と繰り返す。
 向かいの写真館から、いつの間にか実次が出てきて、煙草を吹かす佐喜治となにか喋っている。通りはスッカリ夕焼けの橙につつまれて、通りを行き交う人の歩みもせわしない。
<< 前のページ 戻る