R18恋愛官能小説 青山倉庫

ぼくと妹とガラスの少女

第15章「ギプス」

 ぼくの右脚はギプスに包まれて、紐で吊るされる。まだ麻酔が効いていて、冷たくて何も感じない。夕方、お父さんにお医者さんが全治四ヶ月だと説明していた。看護婦さんが蒸しタオルを持ってきてくれて、彩奈に体を拭いてもらう。お父さんもお母さんも、ぼくに何も聞かない。
 夜になると痛みがひどくなってきて、看護婦さんが痛み止めを点滴で打ってくれる。ひどい寝汗をかく。ぼくと同じように骨折してるのに、まだ手術して貰えない患者さんのうめき声が一晩中別の病室から聞こえてきて眠れない。
 翌朝、目を真っ赤にしたお姉ちゃんが病室に来てくれる。洋菓子を枕元に置く。
「ありがとう。一緒にたべよ」とぼくは言う。
「ううん、いい。食べて」と呟いて、お姉ちゃんは首を横に振る。
「ぼく、お茶も淹れられないの」
「紅茶でいい?」
 お姉ちゃんはコップにティーパックを入れて、ポットからお湯を注ぐ。ベッドを起こしてくれる。箱にはサワークリームのトルテが二つ入っている。ぼくはひとつづつお皿に載せる。窓の外は雪が降っていて、向かいの日産の工場は屋根が真っ白だ。
「あたしは、いらないよ。彩奈にあげて」
「いいの?」
「あたしが食べちゃったら、彩奈怒るもん」
「いただきます」
 ぼくはフォークでトルテの先端を切って、口に運ぶ。お姉ちゃんは丸いパイプ椅子に座って、ぼくのギプスを見ている。ぼくは紅茶を飲む。テレビをつける。病院のテレビは毎日、幸せの黄色いハンカチをやっている。おばあちゃんが入院してた頃から変わらない。
「避妊してる?」とお姉ちゃんが聞く。
「うん、一応…」と曖昧に答える。ぼくは嘘をつくのが下手だ。
「ちゃんとしなきゃだめよ」
「うん」
 お姉ちゃんは溜息をつきながら、ベッドの上に突っ伏す。お布団に顔を埋める。鼻を啜る。肩を震わせて泣き出す。ぼくはお姉ちゃんの肩を撫でる。お姉ちゃんはぼくの手首を掴む。手を握る。ぼくは妹やお姉ちゃんがなんで泣いてるか聞かない。ぼくは骨折したら泣くけど、女が泣く理由はぼくには一生わからない。お姉ちゃんは子供みたいに顔をくしゃくしゃにして、ごめんね、と言う。

 午後、お姉ちゃんを迎えに彩奈とお母さんがやってきて、果物を剥いてくれる。彩奈はトルテを平らげて、もっと食べたいと言う。お母さんはお姉ちゃんを塾に送る。夕方また来るねと言う。
 ぼくは自分のお財布を彩奈に渡して、飲み物買ってきてと言う。彩奈はパックのオレンジジュースとリンゴジュースを買ってくる。
「お兄ちゃん、リッチさんだ」
「お姉ちゃんが、お小遣い少し分けてくれたの」
「あたしには?」
「欲しいものあるの?」
「さっきのトルテ」
「お姉ちゃんに聞かないと、どこで買ってきたかわかんないよ」
「そっか」
 ぼくはリンゴジュースにストローを挿す。病院の朝ご飯についてる気味の悪いヨーグルトは、鞄に放り込んで飲んでない。
「明日、お姉ちゃんに、どこで買ってきたか聞いてあげるね」とぼくが言う。
「うん…」
「お姉ちゃんとは、話した?」
「うん、少し」
「なんか、言ってた?」
「特になにも。お父さんとお母さんにも、何も言ってないみたい」
「そっか」
「お父さんに、めちゃくちゃ怒られてた」
「そうなんだ」
「出てけって、言われてた」
「お父さんに?」
「うん。お姉ちゃん、かわいそう」
 ぼくの病室はナースセンターに近いから、申し送りの声が聞こえる。看護婦の西村さんがぼくの病室に入ってきて、ぼくに点滴を打つ。西村さんは若くて綺麗だけど、針を刺すのがあまり上手じゃなくて、昨日は針を打ったところが盛り上がってきて、慌ててナースコールした。今日はちゃんと打ってくれる。
 点滴が終わるまで二時間くらいかかって、西村さんが針を抜きに来て蒸しタオルをくれる。彩奈がぼくの体を拭いてくれる。ぼくは彩奈にされるがまま。お母さんが買ってきてくれた紙おむつを西村さんが交換してくれる。西村さんがぬるま湯でお尻の穴を洗ってくれるとき、彩奈が蒸しタオルでおちんちんを拭く。ぼくは我慢してるけど、おちんちんが硬くなってしまう。西村さんは最初何も言わなかったけど、交換したおむつからおちんちんがはみ出ると、おっきいね、と言う。
 西村さんが戻ると、ぼくは彩奈を引き寄せてキスする。
「お兄ちゃん、したいの?」
「うん」
「しばらく、できないね」
「うん…」
「お口でする?」
「うん、して」
 彩奈はぼくのおむつを外して、おちんちんを咥える。ぼくはシーツを掴んで、腰を動かさないようにする。喉の奥に滑り込む。彩奈は呻きながら上下する。ぼくが喉の奥がきもちいいと言うから、舌や唇では射精しないから、彩奈はフェラチオのときとても無理をする。ぼくは病室の真っ白な天井を見上げたまま、彩奈の奉仕に息を荒くする。

 翌月ギプスが外れて、リハビリが始まる。
 最初は足の指を動かすだけだったけど、手すりの間を行ったり来たりするリハビリはとても辛くて、折れたときよりも痛くて、ぼくは泣きそうになる。ぼくより小さな子がほっぺたを真っ赤にしながら頑張っているから、ぼくは涙を見せられない。
 病室にお母さんがお花を持ってくる。黄色いカードが入っていて、綺麗な字で「はやくよくなって下さい」と書いてある。名前はないけど、章子の字だ。あれ以来、章子とは喋っていないし、メールもない。お母さんがお花を花瓶に挿してくれて、お姉ちゃんが私立の高校に受かったよと言う。第一志望の高校は、試験日がまだ先だ。
 彩奈に便箋と封筒をお願いしたら、新宿の高島屋まで行ってポプリが貼り付けられたとてもかわいいレターセットを買ってきてくれる。男の子が出す手紙では絶対こんなの使わないけど、今時手紙を書く子はもっといない。ぼくは消灯時間を過ぎてから、章子に手紙を書く。ペンを持って、宙を見つめて、ぼくは何を書けばいいかわからない、言葉がみつからない。骨を折った経緯は避けて、リハビリのことや、よくお喋りする男の子や、看護婦さんやお医者さんや、まずい病院食のこととか。
 ぼくは便箋を丸めて捨てる。
 オナニーする。小学校からずっとオナニーしていなかったから、全然きもちよくなくて、右手が疲れてやめてしまう。
 看護婦の西村さんがおむつを替えてくれるとき、ぼくは毎回勃起する。おむつを脱ぐ前から勃起する。彩奈がいないとき、西村さんは蒸しタオルでおちんちんまで拭いてくれる。石鹸で泡だらけにしてにゅるにゅるマッサージしてくれる。タオルを渡すだけで、体を拭いてくれない看護婦さんもいるのに、西村さんは体中を丁寧に拭いてくれる。おちんちんを洗ってもらうとき、ぼくは恥ずかしいのに、声を出す。ごめんなさいと言いながら、はあはあ喘ぐ。他の看護婦さんと違って、西村さんはあまり喋ってくれないけど、タオルで手を覆って、見えないように、ぼくのおちんちんをしごいてくれる。自分の手では射精できないのに、西村さんの暖かい手に包まれて、ぼくは毎晩絶頂する。西村さんは、ぼくが射精すると、使い捨てカメラでぼくの顔とおちんちんと胸に飛び散った大量の精液を撮影する。
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