R18恋愛官能小説 青山倉庫

びろうどカンヴァス

第14話「初夜のように」


 通夜の夜更け、蔵の二階は涼しい風が吹く。ぼくはふと目を覚ます。
「起こしてしまいましたね、すみません…」
 初音がまだ乾かないぼくのお腹に、生地の薄いブランケットをかける。ぼくの周りに、三人の姉妹が寄り添って寝息をたてる。夜中にお風呂に入ったばかりなのに、ぼくたちは通夜の宵でさえ愛し合うことを止められず、たくさんの体液にまみれたまま、素っ裸で眠る。
 立ち上がろうとする初音の袖をひく。ぼくは娘たちを起こさないように、そっと起き上がる。立ち上がる。初音の手を掴んで、足音を忍ばせて階下におりる。銅の手提げランプを持った初音が、ぼくの顔を覗き込む。
「どうされたのです? お休みにならないのですか?」
「初音と、お話が、したいのです」
「どんなお話ですか?」
「外にでましょう。ここは暑いですから…」
「直央様、何かお召しにならないと…」
「はだかでは、だめですか?」
「いけませんわ、今宵はお客様が大勢みえていますので…」
「こちらには来ないでしょう。そうだ、初音もはだかになれば良いのです」
「わたくしも…?」
「はい、脱いでください」
「でも…」
「脱いでください。でないと、ぼくはこのまま母屋へ走っていきます」
 初音はランプを戸棚に置く。給仕服の帯を解く。真っ白なフリルのついたエプロンを外し、黒いビロウドのプリーツスカートを脱ぐ。ブラウスを脱ぐ。下着を脱ぐ。ぼくと同じように、はだかになる。ランプの明かりに浮かぶ初音の初心なからだを、ぼくは初めてじっくりと鑑賞する。毎日、娘たちに手入れされている陰部も滑らかで、ぼくより僅かに背が低い初音は、みっつも年上のおんなとはおもえない。
「綺麗ですよ、初音…」
「なんだか、恥ずかしいわ」
「お互い、いつも見せ合ってるではありませんか」
「ええ、だけど、二人きりなのは、初めてよ」
「来てください、月が綺麗ですよ」
 ぼくは初音の手を取る。初音はランプを置いたまま、蔵の草履を履いて、共に池の太鼓橋を渡る。はだかで歩くと、ぼくの長い性器は左右に揺れて、太股を打つ。ぼくは橋の中央で立ち止まり、空をみあげる。初音もみあげる。熱帯夜でもはだかのぼくたちには少し肌寒く、初音は自然とぼくに寄り添う。
「直央様、肌が燃えるように熱いですわ」
「ぼくはこどもだから、体温が高いのです」
「わたくしは、冷えているでしょう? すぐに冷たくなってしまうのです」
「ぼくが、暖めてあげますよ」
「あっ…」
 ぼくは初音を背中から抱き竦める。腕を初音のみぞおちで交叉させ、右手で左の乳房を、左手で右の乳房をやさしく包み、ゆっくりゆっくり揉みほぐす。まだ濡れている巨根が、みるみると漲って、初音のお尻の溝を撫でる。初音は両脚をひろげて、ぼくの肉を太股で挟む。くすくすと笑う。
「おかしいですか?」
「ふふっ…、直央様、わたしを抱きたいのですね」
「はい…」
「お嬢様たちは、今日はお疲れでしたから…、早くお休みになられたのでしょう?」
「いいえ、今夜も散々、搾り取られました」
「ご無理はなさらずに、今夜はもう遅いですし」
「いいえ、したいのです。ぼくは、初音を抱きたいのです」
 初音はぼくの腕をふりほどく。振り返って、ぼくを見つめる。
「どうなさったのです? 今日はおかしいわ」
「おかしくありません…、初音、抱かせてください」
「そんなふうに、おっしゃらないで。初音は、いつでも直央様にご奉仕いたしますわ」
 ぼくは首を横に振る。初音を抱きしめる。華奢なからだが、力なくぼくの胸にもたれかかる。
「ちがう、ちがうのです。初音、ぼくは、ぼくは…」
「直央様…」
「初音のすべてが、欲しいのです」
 初音はぼくの背中に腕を回す。無言のまま、ぼくを抱きしめる。初音の吐息が耳朶を撫でる。その長い睫毛に涙がきらきらと光る。

 通夜の夜は長いけれど、夜通し起きていても咎められない夜。
 ぼくは床の間のアトリエで、四つん這いの初音を後ろから突く。
「はぁはぁはぁ、直央…さま、あっあっあっあっあぅ…」
 汗に濡れた初音は、汚れた掛け軸に向かって、甘い喘ぎ声を漏らす。写生の時間以外は、近づくことを許されていない床の間で、ぼくと初音は夜通し愛し合う。畳に敷いた古い襦袢は精液に濡れて、ランプの明かりに照らされて、淫靡な輝きを放つ。
 なんども抱いているはずなのに、初音と初夜を迎えたかのようだ。いや、初音というおんなは、つながるたびに、初めてのような初々しさを感じさせてくれる。姉妹たち以上に、処女性がつよいのだ。
 ぼくは動きを緩めて、初音から性器を抜き取る。ぼくはその場にあぐらをかいて、初音を膝に座らせる。初音の濡れた粘膜が、ぬるりとぼくを包み込む。お尻と両脚に力を入れて、初音を小刻みに突き上げる。
「はつね、初音…、あいしてる、あいしてるよ」
「直央さま、あぁ…、うれしい…、あっあっあっ、あーっ、くうぅっ」
 初音の膣壁が引き攣って、ぼくの肉を飲み込むように蠕動する。娘たちとの秘め事の合間に初音を抱くとき、初音はぼくに突かれながらも女中の義務感から会話を絶やさず、それは奉公のひとつであった。だから、これほど奔放に何度も昇りつめる初音を抱いたのは初めてだ。
「はぁはぁ、はぁ…、直央さま、わたし…もう」
「すこし、はぁはぁ、休憩しましょうか…」
「はい…」
 初音は腰を浮かして、膝を立てる。それでもぼくの長い性器は抜けなくて、初音はいちど立ち上がる。腰が抜けたように、その場に崩れ落ちる。横になる。ぼくは覆い被さって、そっと唇を重ねる。初音の手が、ぼくの性器をそっと握る。にゅるにゅるとしごく。
「直央様…、たくましいわ」
「ぼくのは、少々大きすぎるのです。着物は良いのですが、洋服を着ると、下着がきつくてなりません」
「ふふ…、わたくしのなかも、きつくありませんこと?」
「ええ、初音はとてもきついですよ。だからきもちいいのです。お姉様よりもからだが小さいから、初音は締まりが良いのですね」
「おんなはきついほうが、よいのですか?」
「緩いとあまりきもちよくはないかもしれません。初音は、痛くありませんか?」
「ええ、不思議と…。こんなに長くて太いのに、すごくきもちよくて…。自分の指を入れると、痛いのに」
 ぼくは初音の傍らに横になる。初音の胸を撫でる。初音は、ぼくをしごく。再び唇を重ねる。お互いの舌を絡めあう。夜の山間から蝉の鳴き声がひっきりなしに聞こえてくる。もっと暑くなれば、蔵のある池の周りでも蝉が鳴き始める。そうすると、静かな土地で生まれ育ったぼくは、娘たちと違って眠れなくなってしまうのだ。
「初音は、自慰をするのですか?」
「そんなこと、お尋ねにならないで…」
「もうよいではありませんか、ぼくは初音のことを満遍なく、しりたいのです」
「恥ずかしいわ…、あん」
 ぼくは初音の濡れた割れ目に指を沈める。細かく震わせる。
「いつから、自慰をしていますか?」
「…なおさまが、お屋敷に召されてからです」
「そんなに早くから…」
「失望されました?」
「いいえ、ますます愛おしくなりました」
「初音はその頃から、直央様を想って、未熟なからだを持て余していたのです。だけど、直央様のお世話をできるだけで、初音は満足でした」
 ぼくは初音の太股を拡げて、濡れた割れ目に唇をつける。舌を膣口に挿し込んで、くるくると掻き回す。初音は両手で、ぼくの髪の毛をくしゃくしゃにする。声をあげる。
「はぁはぁ、直央さま、心配なさらないでください。はつねは、はつねは、直央さまが、奥様を娶られるまで、この家から、出てゆきません。もし、お子を授かっても、わたくしの、庶子として、育てます」
「そのようなことを、言わないでください」
 ぼくは顔を上げて言う。覆い被さる。初音の小さな割れ目に巨根の先端をおしつける。初音はいつも果凛がするように、両脚をぼくの腰にまきつけて、ぐいと引き寄せる。にゅるりと潤んだ粘膜に根元まで包まれて、ぼくは溜息を漏らす。そして初音を突く。突きながら、言う。
「ぼくの子がうまれたら、ぼくの子として育てるのです」
「あっあっあっ…、朱理様が、だっ、おっおゆるし…、にっひっあっあっ」
「ぼくは、初音に…、ぼくの子を、産んで欲しいのです」
「あっあっひっ、よっいの…ですか。そっあっあっあっ、そのよ…うな…」
「初音じゃ…なければ、いけません」
「あぁ、直央さま…」
 初音の両腕がぼくの背中を撫でる。ぼくは初音の底を休み無く突き続ける。こめかみを流れる汗が、顎を伝って、初音の薄い胸に滴る。三人の娘たちとの行為は一種のスポオツだったけれど、初音との結合は欲望だ。幾度味わっても、甘さは薄れず、ますます溺れてしまう。
「なおさま…、あっあっあぁ」
「つながって、いるときは、なおと、よんで、くださ…」
「なお、なお、いく、いく、ああ…、いくいくっ」
「初音っ」
 びゅううっ、びゅうううううっ、びゅくっ、びゅくっ、びゅくっ。
 初音の膣が、ぼくをぎゅっと締めつけるやいなや、ぼくはまた精液を放つ。余裕のない初音の膣から、注いだ分の精液がぶくぶくと泡を伴って溢れ落ちる。初音の下腹部はひどく痙攣を起こして、しゃくり上げるような動きを繰り返して、初音はぼくの背中にぐっと爪を食い込ませる。その軽い痛みがぼくには溜まらない。ぼくは初音を抱きしめたまま、びゅっくびゅっくと大量の精液を注ぎ込む。今までで一番長い絶頂を味わう。初音が痙攣する度に、ぼくは初音とつながっていることを実感する。
「はぁはぁ、初音…、だいじょうぶ、ですか?」
「なお…、あっ、あたしまだ…」
「じっとしていますね」
「はい…」
 初音の腕に力が入る。まだ射精がおさまらない。ぼくは初音に唇を重ねる。唇を摺り合わせる。くちびるをつけたまま、囁く。
「初音、ぼくはまだこどもだから、先のことは、わかりません」
「はい」
「だけど、今はこうして初音とつながっていたいのです。いつまでも、いつまでも…。今日は、朝まで、愛し合ってくれますか?」
「はい」
 初音の唇が微笑む。舌を絡め合う。ぼくは再び初音を突き始める。
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