R18恋愛官能小説 青山倉庫

ぼくと妹とガラスの少女

第10章「運動会」

 ぼくの中学の運動会はクラス対抗で、白組とか赤組とかに分かれてなくて盛り上がらない。
 運動会の直前まで応援団の練習を仕切っていた宮崎が盲腸で入院したから、ぼくらの応援は適当でみんな気合が入っていない。ぼくはムカデ競争とか障害リレーとかダンスに出たかったけど、陸上部は四百メートル走とかただ走るだけの種目に出なくてはならなくて、他のクラスも走る競技には陸上部ばかりが出場して、陸上部の大会と変わらない。
 ぼくは四百メートル走のゴール直前でコースに手を伸ばした父兄に邪魔され、後ろから来た丸山に抜かれて五位になる。同じクラスだし面倒なので抗議しない。丸山も気づいていたけど、何も言わない。ぼくは飲み物が置いてあるテントに行く。章子がタオルを渡してくれる。ぼくはありがとうと言う。
「あたしパン食い競争に出るの」
「いいなぁ。ぼくもパン食べたい、おなかすいた」
「じゃ、代わりに出て」
「パン食い競争イヤなの?」
「あたし走るの遅いもん」
「歩くのもね」
「歩くの遅い?」
「遅いよ。いつもふらふら、きょろきょろしてるし」
「いやん、どんなとこ見てるのよ。初めて言われたかも」
 章子とつきあい始めたことは、津田が言いふらしたからみんな知っている。最初の頃は冷やかされたけど、最近は何も言われない。夏休みは章子と海にいったり映画にいったりライブを観にいったりあちこちデートしたけど、まだ手を握って抱きしめてキスしかしていない。章子はぼくの隣に座って、水筒を奪う。
「今日、お母さんきてるの」
「ぼく、挨拶する?」
「ううん、いい。気にしないで」
「しおじさんは、お留守番?」
「そう、ひとりぼっち。綾川くん、ご両親は?」
「母親がきてるけど…。お姉ちゃんとこにいるんじゃないかな」
「そっか、美穂先輩ってお姉さんだよね」
「忘れてたの?」
「ときどき忘れる。だって、あんまり似てないよね」
「うち、みんな似てないよ。どっかで拾われたんだよ、ぼくたち」
「声は似てるかも」
「お姉ちゃんと?」
「声変わりしないよね、綾川くん」
 ぼくは咳払いして、肉が足りん肉が、と新開先生の真似をする。章子は笑いながら、脚を伸ばす。うちの中学の女子は青い短パンだけど、年々股下が短くなる。章子は短パンから上衣を出して着るから、短パンが股間しか見えなくて、青いショーツをはいているように見える。そんな着方をしてると新開先生に怒られる。
 妊娠して今年いっぱいで辞めることになった国語の荒崎先生が、パン食い競争の生徒は集まってと言う。ぼくは章子から水筒を返してもらって、頑張って二個食っちゃえと声をかける。障害走の競技中に倒れた女子生徒がテントに運ばれてくる。先生が団扇で扇ぐ。綾川くんタオル貸してと言われて、ぼくはタオルを渡す。
 ぼくは一生懸命大声で応援したけど、章子は一回のジャンプでパンが咥えられなくて、ビリから二番目になる。戻ってきた章子にパンを貰う。うちのクラス負けちゃうねと言う。ぼくは勝ち負けなんてどうでもいい。

 運動会が終わって、ぼくはテントを畳むのを手伝う。みんな体操服のままばらばらに帰る。章子は麻美と一緒に一度教室に戻る。二年になって別々のクラスになってしまった省吾と久しぶりに話す。
「なぁ綾川、お前陸上部だろ。津田とは仲いいの?」
「同じ長距離だから。なんで?」
「あんまりいい話聞かないからさ」
「どんな話?」
「ブックオフで万引きしてるとか、地下鉄でスリやってるとか。あいつとツルんでる仲間って、みんなヤバそうなのばっかりじゃん」
「そうなんだ、初めて聞いた…」
「あんま深入りしねえ方がいいぜ」
「でも、友達だもん」
「馬鹿、ぜってーヤバイって」
 ぼくは鞄を掴んで、先生にさよならと言ってグランドを走る。省吾が何か言ったけど聞こえない。
 体育館への渡り廊下を章子が走ってくる。ぼくは手を取られて一緒に廊下を走る。振り返ると麻美が追いかけてくる。ぼくらは笑いながら体育館の中に逃げ込んで、体育倉庫に隠れる。跳び箱の裏にしゃがみこむ。麻美が体育館の中に入ってきて、しょーこちゃーんと叫んでいる。
「どうしたの?」
「これみて」
 章子はノートを差し出す。ノートには綺麗な字で恥ずかしくなるような詩がいっぱい書いてある。
「これ岡本さんの?」
「そう、最初日記かとおもったんだけど。これは恥ずかしいよね」
「なんか鳥肌立ってきた。きっと怒ってるよ」
 ぼくはノートを章子に返して、窓から外を見る。片付けの手伝いをしていた生徒も帰り始めている。ぼくは再びしゃがみこんで、章子と畳まれたマットの上に移動する。並んで座る。今日は部活もないから、体育館は静かだ。章子は膝を抱えて、跳び箱を見ている。
「週末、暇?」とぼくは聞く。
「うん。今週、連休だね」
「映画観に行こうよ。割引券貰った」
「ほんと? 何観に行く?」
「アサインってのが観たいの」
「どんな映画?」
「アメリカのホラーだっけな、よくわかんない」
「じゃあ、一緒にカタリテでご飯食べよう」
「こないだのお水が美味しかったとこ?」
「そう、あたしオムライス食べたい」
「わかった。土曜日に行く?」
「うん。日曜日は?」
「日曜はどうしよう。ぼくんち、くる?」
 章子はしばらく黙っていて、うん、いいよ、と呟く。下校時間のチャイムが鳴る。まだグランドで遊んでる子の声が聞こえる。章子が伸ばした両脚が、窓から挿し込む夕陽で茜色に染まる。ぼくも両脚を伸ばして並べる。ぼくの脚も負けないくらい白い。
「ねぇ、手握っていい?」とぼくは聞く。
 章子はぼくの手に指を絡める。妹の手より白くて、指先が細い。ぼくは前を向いたまま、章子の手のひらに指先を滑らせる。章子は手を引っ込める。
「くすぐったい」
 ぼくはもう一度手を握る。指先でひらがなを描く。気づいてくれなくて、もう一度描く。すき。章子はぼくを見て、あたしも、と言う。ぼくは章子を引き寄せて、唇を軽く触れ合わせる。何度か触れる。肩を抱いて、強くキスする。舌先を舐める。絡める。出し入れする。ぼくはゆっくり章子をマットに寝かせて、胸に触れる。ブラジャーの硬い感触の上から撫でる。首筋にキスをする。章子はぼくの首に腕を巻きつける。
「ブラジャー外していい?」
「いいよ」
 ぼくは章子を起こして、体操服をまくる。肩越しにホックを見ながら外す。妹はブラジャーをしないから慣れていなくて、外すのに時間がかかってしまう。ホックだけ外すと、章子は上衣を着たまま肩紐を袖から引っ張り出して、ブラだけを脱ぐ。ぼくはブラジャーをボール籠にかけて、章子をもう一度寝かせる。体操服をまくって、両手で乳房を揉む。乳首を舐める。吸う。章子は身をよじって、笑い出す。
「くすぐったいよ」
「ごめん」
 ぼくは再び唇を合わせる。首筋に舌を這わせる。そのまま脇を通って、乳首へ。手を太ももに滑らせる。短パンの上から、股間に指を当てる。章子がぼくの手首を掴む。
「ちょっとはやいよ」
「ごめん、初めてだから」ぼくは嘘をつく。
「いいよ、あたしも初めて」
「ゆっくりするね」
 章子は頷いて、ぼくの髪を撫でる。ぼくは時間をかけて愛撫する。妹にするよりずっと優しく、ゆっくり。耳の裏やわき腹も舐める。章子はときどきくすぐったがるけど、ときどき甘い声を出す。いつの間にか、倉庫は薄暗くなる。ぼくは章子の短パンを下ろす。ショーツの上から触る。濡れている。妹と同じ匂いがする。
「触っていい?」
「優しくね」
 ぼくは章子のショーツを脱がせる。短パンと一緒にバスケットボールの籠にかける。章子の膝を立たせてひろげる。章子は恥ずかしいと言って両手で股間を隠す。ぼくは顔を近づけて、章子の手をどける。暗くてよく見えないけど、いっぱい濡れていて、ぼくや妹と違ってちゃんと毛が生えている。指先で粘膜をひろげて、舌の先でクリトリスを下から舐める。章子は小さな悲鳴をあげる。細かく震える。きもちいい?、感じちゃう、びちょびちょだよ、恥ずかしいよ。ぼくは妹にするみたいに、クリトリスを鞘で包んで指先でしごく。章子はお尻を持ち上げてびくびく震えるけど、ぼくの手を掴む。
「それ、刺激が強いよ」
「痛いの?」
「うん、ちょっと痛いかも」
 ぼくは唇でクリトリスを包む。舌で転がす。彩奈より大きくて形がはっきりしている。音を立てて吸う。唾液を塗りつける。舌を膣口に押し込む。入らない。ぼくは口を離して起き上がる。
「入れていい?」
「いいよ」
 ぼくは短パンをパンツと一緒に下ろして、章子に覆いかぶさる。章子がぼくのおちんちんの先端を握る。ゆっくり前後にしごく。
「やっぱり、すごい大きいね」
「大きいのは、嫌い?」
「ちょっと怖いかも。せめて短くして」
「無理だよ…」
「冗談だよ。ねぇ、お願い」
「なあに?」
「あたしが痛がっても、途中で止めないで」
「わかった」
 ぼくは指先で膣口を探って、そのままおちんちんの先端を手にあてる。手のひらをすべらせて、章子の割れ目におしつける。ぼくは肘をついて、章子の肩を抱く。ゆっくり、とてもゆっくり前後に動く。おしこむ。少しづつ力を加えていく。章子は眉間にしわを寄せて、ぼくの二の腕をしっかり掴む。
 ぶつっ、にゅるるるっ。
 おちんちんの先端に処女が失われる瞬間が伝わり、やわらかくて滑らかな凹凸のあるヒダに圧迫される。ぼくは小刻みに前後しながらおちんちんをおしこんでいく。三分の二くらい入ったところで、章子がぼくの肩をタップする。首を横に振る。だめ、だめ、死んじゃう。汗びっしょりで、頬が涙で濡れて光る。
「ごめん、ゆっくり動くね」
 ぼくはあまり奥を突かないように気をつけながら、前後に動く。おちんちんが出入りするちゅるちゅるという音が響く。章子は肩で息をしながら、ぼくの腕に爪を食い込ませる。ぼくは章子の乳房を片手で揉みながら、キスをする。舌を絡める。ぼくはイキそうと言う。
「いって」
「いって、いいの?」
「いって、いいよ」
 ぼくは息が荒くなる。吸って、吸って、吐いて。千五百メートル走と同じ呼吸。章子がぼくの肩に触れて、すごい汗だよ、体熱いよと言う。
 グレーの制服を着て黄色い帽子をかぶってバスに乗って同じ私立幼稚園に通ってた章子ちゃんは、いつも歌を歌ってくれたり、お昼休みに一人ぼっちのぼくと遊んでくれたり、お弁当のおかずを分ける代わりに折り紙を教えてくれた。ぼくも章子ちゃんもいつまでも子供のままで、笑ったり泣いたり怒ったりして、ぼくはいつも章子ちゃんに怒られて、なんでも章子ちゃんに頼って、章子ちゃんの影に隠れて、ぼくより背の高い章子ちゃんのグレーの服の裾を掴んで、そのまま永遠に何も変わらないと信じていたけど、章子ちゃんはぼくの腕の中でいつのまにか女になって、長い睫の目をとじて上下に揺れている。
「佐伯さん、すきだよ」
「佐伯さんはやめて」
「しょうこ」
「あっ、あっ、あっ、いっ」
「あいしてるよ」
「うっ、ひっ、うれ、しい」
 ぼくは章子を抱きしめて、章子の中で射精する。ひどく震えて頭に血がのぼってくらくらして、涙が滲む。びくん、びくん、腰の痙攣がとまらない。章子はぼくの背中を撫でて、溜息を漏らす。
「終わった?」
「うん」
「よかった?」
「すごく」
「寒いの? 震えてるよ」
「力抜けちゃったの。ごめん、今抜く」
 ぼくはゆっくりおちんちんを引き抜く。指先とお腹に乾いた血がついている。章子に下着とブルマを渡す。章子は体操服の上衣を着たまま、器用にブラジャーをつける。ショーツを履く。ぼくも短パンを履いて、窓の外を見る。校舎の電気は消えていて、職員室だけ明るい。渡り廊下は真っ暗。
「閉め出されちゃったかな?」と章子が言う。
「大丈夫だよ、中から鍵開くでしょ」
「あ、ねぇ、肩貸して。脚に力が入らないの」
 ぼくは章子を支えて起こす。いつもふらふらする章子がもっとふらふらして、自分で立っていない。ぼくは自分と章子の鞄を持つ。ぼくは大丈夫?と聞く。
「だいじょぶ、だよ。なんか、骨盤が痛い。あとこのへんも」と言って、章子はおへその下の両脇を指でさする。ぼくは章子の手の上から撫でる。女の子のおへその下には柔らかいお肉がついている。
「このへん?」
「そう。多分、卵巣が引っ張られてるの。きみのおっきいから」
「ごめん、痛かったよね」
「うん、声も出なかった。ちょっと泣いちゃった」
「ごめんね」
「いいの、ツウカギレイだから。あっ」
「どうしたの?」
「なんか出てきた」
 章子は内股を指で拭う。指先を見せる。暗くてわからない。
「中に出しちゃったから」ぼくは謝る。
「お手洗い、いこ」
 ぼくが章子を支えて歩き出すと、いい、自分で歩けると言って前を歩く。ぼくは二人分の荷物を持ってついていく。校舎に入って一階のトイレの前で待つ。先生が通りかかって、ぼくは柱の影に隠れる。コオロギの鳴き声が中庭を包む。戻ってきた章子にハンカチを渡す。
「ありがと。なんかね、絵の具みたいだった」
「絵の具?」
「血と混ざって、ピンクなの」
 ぼくらは手をつないで校門に急ぐ。先生たちが帰るまで門は少しだけ開いている。ぼくは坂道じゃなくて、章子の家に近い道を選ぶ。ぼくは何か歌ってと言う。章子は少し考えて、スプーンおばさんのエンディングを歌ってくれる。横断歩道の前で、ぼくと章子はキスをする。ぎゅっと手を握る。じゃあね。手を振る。章子は横断歩道を渡ってもう一度手を振る。ぼくは彼女が見えなくなるまで後姿を見送る。
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